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11.真名と思い
11-1
しおりを挟む「ぎゃああああ! 熱い、熱いいいい!」
アルラウネの叫び声を聞きながら、
サカキはぽかんと口を開けていた。
「え、あれ?
カエデ、操られてたんじゃ……。
それに、ルーナ⁉ どうして⁉」
「話はあとですわ!
サカキ、来ますわよ、剣をかまえて!」
はっとサカキは頭を切り替え、剣をにぎりしめた。
「このおおお、妖精の入れ知恵か!」
蔓たちを大きく動かし、アルラウネは炎を無理矢理消した。
だが、そのダメージは大きく、
体からはぶすぶすと煙が立ち上っていた。
「ええ。
わたくし、ルーナに炎の魔法を習ってましたの。
初心者でもできる攻撃魔法。
宙に描くと魔法の威力が上がる、魔法陣と一緒にね!」
おそらくは、旅立って一日目。
遺跡近くでの野宿で、
見張りをカエデとルーナで行っていた時のことだろう。
サカキは寝ていて気づかなかったが、
そういえば、ふたりは魔法談義をしていたと言っていた。
その時に、カエデはルーナから教えを受けていたのだ。
では、カエデが真名の呪文に対抗できたのは、どうしてだろう?
「カミサマが……、いいえ、アルラウネ、
アナタが旅の前にした祝福の口づけ。
あれは、本当は呪いの口づけだったのでしょう?
わたくしの額に魔法を組みこむためのね」
「残念!
それも、聖なる水で流されちゃってるもんね~」
カエデとルーナの言葉に、サカキの心は喜びでふるえた。
そうか、そうだったんだ!
これで、戦える!
三人はそれぞれ戦闘のかまえをとった。
反撃開始だ!
というのに、アルラウネはひるまない。
それどころか、余裕の笑みさえをも浮かべていた。
「サカキ・クレイラ……」
サカキはぎくりとした。
他のふたりも、はっとする。
そうだ、真名の魔法の組みこみ……。
サカキは、聖なる水を浴びていない!
「生誕の名を与えた主が命ずる!
なんじの真名はサカキ・クレイラ。
なんじに命ずる!
その剣でもって、自らの首を切れ!」
だれもが、終わりだと思った。
サカキ自身ですら、もう、おしまいだとぎゅっと目をつぶった。
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