【完結】エス★まほ ~エスパーと魔法使い、出会う~

みなづきよつば

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10.言うべきか、言わざるべきか

10-2

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★★★



「ってなことが、あってさ~」

 マナトはおれの部屋で、
 エマに耳打ちされた内容を真剣に聞いていた。
 父さんと母さんは、
 タイムカプセル発見記念の飲み会へ行っている。

「なるほどな……。で?」

「……で? って?」

「リキは、どうしたいんだ? 
エマに、正体をばらしたいのか? 
それとも、隠したいのか?」

 ズバリ直球。
 そうなんだよな、おれ、それで悩んでたんだ。

「エマはさ……、なんか、
『エスパー』ってことをウリにして、
アイドルやりたいみたいなんだよ。
『エスパーガール』で、目立ちたいって」

「ほうほう、いいな。
リッキーも、アイドルになるか? 
『エスパーボーイ』」

「黙ってろ、ノワール」 

 ノワールのくちばしを指でこつんっとすると、
 マナトは「それで?」と続きをうながした。

「おれはさ、逆に『エスパー』なんてことをばらすなんて、
信じられないワケ。
絶対いやだ。
『仲間』以外には、ヒミツは隠し通したい」

「……考えが、エマとは真逆なワケか」

「そう。
だから、迷ってる。
もちろん、エマが『仲間』になってくれたら、うれしいよ。
うれしいけど……。
でも、おれはエスパーであることを、世間にばらしたくない。
エマから、世間にバレていったら困るんだ」

「そっか……。うーん、どうすっかなぁ」

 マナトは腕を組み、宙を見上げた。
 おれも、どうすればいいかわかんねー。
 しばらく沈黙が部屋を支配した。

「『言うべきか、言わざるべきか、それが問題だ』じゃな。
まあ、なんじゃ。
そんなの、もうほうっておけばいいじゃろ」

 くしくしっと足で器用にほほをかきながら、ノワールが言った。

「……ほうっておく?」

 そんな選択肢、アリか? 
 というまなざしでノワールを見るも、
 ノワールは必死に毛づくろいをしていて、
 こっちに気づいているのかどうかわからない。

「ノワールの言う通りかもな。
縁があるなら、また会えるだろ。
そしたら、その時また考えればいい」

 マナトもノワールの首のあたりを、
 こしこしと手でこすってあげだした。
 ぽろぽろとフケのようなものが舞う。
 おい、キタネーぞ。

「……そんなもんか?」

「魔法使いは、『縁』と『偶然』を大切にする。
……偶然、オマエにおれの念話がとどいたみたいにな」

「……じゃ、そうする」

「おう」

 こうして、ジュエルドラゴンとエスパーがからんだ
 タイムカプセル騒動は、幕を閉じたのだった。 
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