【完結】エス★まほ ~エスパーと魔法使い、出会う~

みなづきよつば

文字の大きさ
25 / 32
11.エマの家出

11-2

しおりを挟む
★★★

 次の日。
 学校が終わり、マナトが家に遊びに来るということで、
 おれたちは一緒に帰っていた。
 道路を歩いていると、いきなり車がキキッと音を立てて止まった。
 黒塗りでいかにも高そうな車だ。
 おれたちがとまどっていると、ウィーンと後部座席の窓が開いた。

「こんにちは、リキくんに、マナトくん」

 後部座席から顔を出したのは、エマだった。

「ちょ、オマエ、なんでこんなとこにいるんだよ!」

 家出中じゃなかったのか⁉ 
 もう、自由を満喫して帰ってきたのだろうか。

「ちょっとね。
ねえ、それより、リキくんたち今ヒマ?」

「いや、マナトとうちで遊ぶ予定なんだけど……」

「リキくんの家で? 
わあ、なら、わたしもついていっていい?」

「えー……」

 できれば、なるべくかかわりたくない。
 だって、コイツ、おれのことエスパーだって思ってるみたいだし。
 エスパーなの? どうなの? って、話をされたら困る。
 迷っていると、運転席の窓が下がり、女の人の顔が見えた。
 うお、すっげー美女! 
 エマのお母さん? 
 いや、それにしては若すぎるか。

「エマのマネージャーの、霧浦(きりうら)です。
わたしからも、お願いします。
どうやら、エマ、そうとうストレスがたまっているみたいで……。
この子も、芸能人である前に、まだ中学生ですからね。
普通に、遊びたいんでしょう」

 霧浦さんの言葉に、うっとなる。
 ストレスか……。
 また家出なんてしたら、
 父さんのテレビ局の仕事に迷惑がかかるよな。
 ちら、とマナトをみるオッケーサインをされた。
 まあ、マナトがいるなら、エスパーの話はしてこないだろ……。
 エマは、マナトのことは、一般人だと思ってるんだから。
 マナトのやつ、ホントは魔法使いなのにな。

「えっ……、と。
じゃあ、わたしがお送りしますね」

 おれたちは霧浦さんの好意に甘えることにした。
 
「じゃあ、エマ。二時間後に、迎えに来るから」

 そう言い残して、霧浦さんは去っていった。
 家に入ると、エマはいやにきょろきょろと辺りを見回しだした。
 そんな珍しくもない、フツーの家だと思うんだけどな。
 おれの部屋へ案内すると、ある一点にエマの視線が集中した。

「これ……」

 げっ! やべえ!
 エマが見てるのは、
 壁にとりつけた棚にかざってあるジュエルドラゴンのウロコだ。
 宝石展の虹隕石が盗まれてから、
 虹隕石の画像がたくさんテレビに映った。
 だから、エマがこれを見て驚くのも無理はない。

「あ、これ? 虹隕石のレプリカなんだ。
よくできてるだろ? あはは」

 マナトが乾いた笑いでごまかそうとするも、
 エマはさっとそれを手にとった。

「あ、おい! なにすんだよ!」

「ごめん、リキくん! 
……見つけた! 
見つけました、だから、もう……、ウチを家に帰して!」

 虹隕石を手にして、エマは突然叫びだした。
 必死な表情。
 いったい、どうしたんだ⁉

「ご苦労さま」

 おれの部屋に、いるはずのない人の声が響く。
 おれのベッドに足を組み、腰かけていたのは……。
 霧浦、さん?
 え? どうして? 
 だって、さっき、車で去っていっただろ?
 それなのに、なんでいきなりおれの部屋に⁉
 こんなの、瞬間移動したとしか……。

「ピンポーン、正解。瞬間移動してきました」

 霧浦さんはそう言って楽しそうに笑う。
 コイツ、まさかおれの心を読んだ⁉ 

「さ、行きましょ、エマ。
まだまだ探してもらうわよ」

 霧浦さん……いや、
 霧浦はベッドから立ち上がり、エマの腕をとった。

「イヤ! お願い、もう帰して……。助けて!」

 エマはもう片方の手を、おれにむかってのばす。
 おれがその手をつかもうとした瞬間……、
 エマは霧浦とともに、瞬時にこの部屋から消えてしまった。
 しばし呆然とするおれとマナト。

「おい、今の、なんだよ! 
エマのやつ、『助けて』って……! 
それに、さっきの、瞬間移動⁉ 
あの霧浦ってヤツ、何者だ⁉」

「落ち着け、リキ! ……まずは、状況を整理しよう」

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お姫様の願い事

月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。

カゲロウノヨウニ 降リ積ムハ、

山碕田鶴
絵本
「かげろうのように降り積むは」(詩/「解釈的不正義」)の絵本版です。

城下のインフルエンサー永遠姫の日常

ぺきぺき
児童書・童話
永遠(とわ)姫は貴族・九条家に生まれたお姫様。大好きな父上と母上との楽しい日常を守るために小さな体で今日も奮闘中。 全5話。

運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

DRAGGY!ードラギィ!ー【フラップ編(リライト版) 好評連載中!】

Sirocos(シロコス)
児童書・童話
○現代を舞台にした、ふしぎ満載のドラゴン?ファンタジー!○ *本作は現在、リライトプロジェクトが進行中です* 最初の「フラップ編」から「フロン編」までの内容を見直し、 新たなシーンをくわえつつ再構成した部分もございます。 また、文体の変更やルビの追加、および文章の添削を行い、 より読みやすく、よりクオリティーの高い内容に仕上げることを目指しております! 【竜のような、犬のような……誰も知らないフシギ生物。それがドラギィ! 人間界に住む少年レンは、ある日、空から落ちてきたドラギィの「フラップ」と出会った――。 フラップの望みは、ドラギィとしての修行を果たし、いつの日か空島『スカイランド』へ帰ること。 同じく空島からやってきた、天真らんまんなドラギィのフリーナと、 知的だけどとても泣き虫なドラギィのフレディ! 三匹は大親友! 新しい仲間も続々登場! 白ネズミの天才博士しろさん、かわいいものが大好きな本田ユカに加えて、 レンの親友の市原ジュンに浜田タク、なんだか嫌味なライバル的存在の小野寺ヨシ。 さらに、ドラギィたちをつけねらう怪しげな黒猫のルドルフと、 なぜかドラギィを知っている謎めいたイケメン小説家、古杉志朗(こすぎしろう)先生―― さて、レンとドラギィたちの不思議な暮らしは、これからどうなっていくのか!?】 (毎週水・土の更新を予定しております)

瑠璃の姫君と鉄黒の騎士

石河 翠
児童書・童話
可愛いフェリシアはひとりぼっち。部屋の中に閉じ込められ、放置されています。彼女の楽しみは、窓の隙間から空を眺めながら歌うことだけ。 そんなある日フェリシアは、貧しい身なりの男の子にさらわれてしまいました。彼は本来自分が受け取るべきだった幸せを、フェリシアが台無しにしたのだと責め立てます。 突然のことに困惑しつつも、男の子のためにできることはないかと悩んだあげく、彼女は一本の羽を渡すことに決めました。 大好きな友達に似た男の子に笑ってほしい、ただその一心で。けれどそれは、彼女の命を削る行為で……。 記憶を失くしたヒロインと、幸せになりたいヒーローの物語。ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:249286)をお借りしています。

【奨励賞】氷の王子は、私のスイーツでしか笑わない――魔法学園と恋のレシピ【完結】

旅する書斎(☆ほしい)
児童書・童話
【第3回きずな児童書大賞で奨励賞をいただきました】 魔法が学べる学園の「製菓科」で、お菓子づくりに夢中な少女・いちご。周囲からは“落ちこぼれ”扱いだけど、彼女には「食べた人を幸せにする」魔法菓子の力があった。 ある日、彼女は冷たく孤高な“氷の王子”レオンの秘密を知る。彼は誰にも言えない魔力不全に悩んでいた――。 「私のお菓子で、彼を笑顔にしたい!」 不器用だけど優しい彼の心を溶かすため、特別な魔法スイーツ作りが始まる。 甘くて切ない、学園魔法ラブストーリー!

処理中です...