異世界にトリップしたら魔王城のハウスキーパーとして雇われました。

たまき

文字の大きさ
3 / 6

私の担当区域はどこですか?(改稿中)

しおりを挟む
ミネルバさんは他の二人と比べて、比較的優しい印象がある。
そんな彼女が私の仕事の相棒をつけてくれたのだけど、タコ触手モップのシンディちゃんというタコなのか触手なのかモップなのか分からない生物(?)を渡された。

(……うん、他の二人と比べるから常識人に思えるだけでミネルバさんも結構アレな感じなんだな)

「ねぇ、ダーク。ヨシヨシちゃんの担当場所はどこにするの?」

「何を言ってるんだ、姉上。この魔王城の全部に決まっているじゃないか」

「ははっ、一部屋10秒で終わらせても一日じゃ終わらないね」

「汚部屋女子の私が出来る速さじゃないですよね!?」

この城全体なんて任されたら一日でハウスキーパー不適合と見なされて殺されてしまう。

(それにしても今更なんだけど……どうして私はこの城に来たんだろう? 何か理由があるのか、それとも本当に偶然でしかないのか……うーん)

「ヨシヨシちゃん、どうしたの? 悩む表情なんて美女にしか似合わないんだからやめなさい?」

「あ、はい……」

これこそ今更だけど、ミネルバさんってちょいちょい私が傷つくことを言ってくる。
けれど、それを言っても反論できないくらいの美女だから仕方ないのだけど。

「とりあえず比較的安全な南区を任せればいいんじゃない? 北区は宝物庫があるし……あ、ちなみに僕の部屋は自分で掃除するこら触んないで」

(宝物庫があるからって、別に私は宝物を盗んだりはしないんだけどな……)

当然ながら疑われていることに少しだけショックを受けている自分がいた。
それが態度に出てしまい、小さなため息を溢せば、アスティさんが不機嫌そうに私のおでこにデコピンをしてくる。

「イダァッ!?」

ちなみにされたのはデコピンなのに、威力は右ストレートを受けたくらいに痛くてその場に蹲ってしまう。

「言っとくけど、宝物庫の物を盗みれるとかは考えてないから」

「へ……」

「うふふ、アスティはヨシヨシちゃんを心配してるのよ。あそこには人間の魂が好きな鏡や身体を乗っ取ろうとする魔物もいたりするから」

ミネルバさんの言葉に少し驚いた。
辛辣チャイルドのアスティさんが私の心配をしてくれていたからだ。

「宝物庫にあるなは結構やお宝ばかりだから、人間なんかの臓物撒き散らされたら敵わないでしょ」

「あ、付き合いは短いですけどそれでこそアスティさんだって感じがします」

思わずツッコミをいれるとアスティさんはこれ以上ないくらいの険しい表情を見せてきた。

「おい、貴様。とりあえず仕事は明日からだ。母上は南国リゾートでバカンスを満喫中だから戻り次第挨拶をさせる」

(ま、魔王の母親か……きっとすごい人なんだろうな)

「ジャンヌ様なら君と気が合うんじゃない? 」

「そうかもしれないわね。お母様は元人間だから」

ミネルバさんの言葉に驚いた。
異世界に来たと思っていたけど、私が知らなかっただけで実はこの魔界とやらも現実に存在していたのかもしれない、と。

もしそうだとしたら、今すぐじゃなくても元の場所に戻れるのではないかと期待に胸が膨らむ。

「そういえば、母上はレール山の麓にある村から一目惚れした父上がさらってきたと言っていたな」

「レール山……?」

「人間の世界で一番高い山の麓よ」

ミネルバさんの言葉にやっぱりここは異世界なのだと認識した。
少なくとも私がいた世界で一番高い山はレールとかいう名前ではないからだ。

(僅かな期待すら打ち砕かれた……)

「とりあえずヨシヨシちゃんは自分の部屋を片付けて、明日からお城の掃除に取りかかればいいわ」

「わ、私の部屋を頂けるんですか?」

「適当にその辺で寝ろと言いたいところだが、我が魔王城には来訪客が多い。ハウスキーパーにうろつかれていると迷惑なのだ」

言われてみればその通りなのかもしれない。
私だって他の人(?)に会うのは遠慮したい。
事情を知らない人に問答無用で殺されそうな気もするから。

「南区にある物置でいいんじゃない? とりあえず寝れるだろうし」

「も、物置……」

ひくり、と表情がひきつるが部屋を与えてもらえるだけマシだとポジティブに考えよう。
 
「まずは自分の部屋を片付けろ。その片付け具合によっては即処刑するからな」

魔王さんの言葉にビシリと体が固まる。

(私、明日の朝日も拝めないかも……)

「ヨシヨシちゃん、この転移空間門ゲートを抜ければ物置につくから、シンディちゃんと頑張ってね」  

「は、はい……」

目の前に現れた門の向こうからは奇怪な鳴き声が聞こえてきて足がすくんでしまう。

「シンディちゃん。もし何か襲われたら、ちゃんとヨシヨシちゃんを守ってあげてね」

「グギョッ!」

「鳴いた!?」

「貴様、何を言っている。シンディはタコ触手モップ族なのだから生物に決まっているだろう」

(生き物なんだ、これ……確かにウネウネしてるけど、でもこれを使って掃除って……)

ぐるぐると考えながら、私は門をくぐり、物置がある場所へと移動したのだけどーー……。

「あれ、何でここに人間がいるんだ?」

門を抜けた先の物置では何故か金髪イケメンが樽の中を漁っていたーー。

続く……
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~

北条新九郎
ファンタジー
 三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。  父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。  ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。  彼の職業は………………ただの門番である。  そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。  二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

処理中です...