お母様が私の恋路の邪魔をする

ものくろぱんだ

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罪悪感とは人を縛る最良の手段である

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私にはお兄様が居る。
名をレイツァザルト・ウィナフ。

当たり前だがお母様とお父様の第一子だ。

お父様そっくりの外見にお父様譲りの膨大な魔力。
無関心な反応。

・・・お母様を愛さなかった。
その事実以外、お父様と瓜二つである彼は、今、魔力持ちのみが(生徒として)立ち入ることを許される魔法学園で寮生活を送り、ここ数年一度も帰っていない。
下手すれば卒業後も研究やら就職やらで帰ってくる気配がない。

天才レイツァザルト。
私のお兄様。
そして今日から共犯者になっていただく予定だ。



ステフとともに足を踏み入れた魔法学園では、どうやらドレス姿の令嬢も付き従う従者も珍しいらしい。
ものすごい視線を向けられているわ。

・・・でも、不思議なことにここには黒と青だけを身に付ける人間が、いない。

・・・これは皇帝陛下の仮説に裏付けができるのでは?

そうこうしているうちに野次馬よろしく囲まれてしまった。
困る。

「エルメ様、下がって・・・」
「あっ、待ってステフ・・・あそこにいるわ。お兄様!!!」

ものすごい遠くで、数人の人影の中に紛れていた純白の髪がびくりと震えた。



「お兄様」

久々に見た兄は随分と背が伸びていた。
純白の髪はお父様より少し短い。
赤い瞳が伏し目がちにこちらを見る。
なんだか表情が暗い。

・・・もしかしたらお友達らしい数人に人質宜しく差し出されたからかもしれないけれど。

でも・・・なんだか、思ったより人間味がある気がするわ。
その認識どうなのって言われそうだけどこればっかりはねー。

ともかく目が覚めるような美青年に駆け寄って、影に詰め寄る私は多分相当悪どい。
でもまあ、いいわ。
別にお兄様に嫌われようが痛くも痒くも無いもの。

「お兄様、私の話を聞きなさい」
「え・・・」
「聞きなさい・・・」
「レイってやっぱそういう趣味あるんだ・・・」
「待て!僕にはそんな趣味断じて・・・」
「黙らっしゃい!」
「ひゃいっ!」

・・・思うと初めてね、お兄様に怒鳴るの!
こんな初めてやだわ~。
あ、ステフはもういいの。
諦めたから。

「お兄様」
「は、はい」
「お兄様には私に負い目があります。そうですね?」
「・・・え、負い目?」
「あるでしょう?・・・お母様の真実に気が付いていたのに、幼い私一人置いてあの家から逃げたくせに」
「!?」

目を見開くお兄様。
ああ、ぱくぱく口を開いちゃって。
そんな可哀想な顔をしたって、残念だけど逃がしては差し上げませんわよ。

私、これでも怒っていますので。
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