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コーク商会長アトワ
アリス
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この女······アリスは、青みがかった銀髪を持っている······らしい。
俺には霞んだような鈍色に見えるが。
この女はハイネを探す途中、青みがかった銀髪の持ち主を片っ端から見つけ出している最中、魔物によって崩壊した街の中から見つけだした子供だった。
ルイが抱いて走ってきた子供の髪は、到底銀髪とは思えないもので、ほんの少しも心惹かれなかったが。
周りが青みがかった銀髪だと騒ぐので、やっと視線を向けたら、やっぱり淀んだような瞳が俺を伺っていて気持ちが悪かった。
だから、「そんな目で見るな」と言って、俺は背を向けて······それの何が気に入ったのか、子供は俺に着いてきた。
そしていつの間にか、幹部の一人にまで登り詰めて見せたのだ。
何を欲しているのかは知っている。
この女は、俺の心が欲しいのだ。
そのためなら、何をしてもいいと考えている。
それが、ハイネと違って。
あまりにも違いすぎて。
俺はこの女を、常々排除したいと思っている。
「本日はお供させていただきます」
丁寧に頭が下げられ、鈍色が床に向かって垂れる。
それを横目で見て、声をかけぬまま書類を捌いた。
もうほとんど終わっているものばかりだが、この女とまともに会話を交じわしたくないと思ったのだ。
適当に書類をパラパラめくり、ついさっきまで眺めていた一枚の書類で手を止める。
それは、巷で囁かれている『傭兵団の聖女』に関するものだった。
どうやら厳しい箝口令が敷かれているらしく、ほんの少ししか情報が手に入らなかった(異様なことだ)のだが、聖女が傭兵団長の娘であるということはわかった。
ハイネである可能性はどれくらいだろうか、そう計算して、ふと視界に鈍色が映った。
顔を上げ、ただその場に立ち尽くすだけの鈍色の女の瞳は、あの日と同じように薄暗く濁っていた。
俺には霞んだような鈍色に見えるが。
この女はハイネを探す途中、青みがかった銀髪の持ち主を片っ端から見つけ出している最中、魔物によって崩壊した街の中から見つけだした子供だった。
ルイが抱いて走ってきた子供の髪は、到底銀髪とは思えないもので、ほんの少しも心惹かれなかったが。
周りが青みがかった銀髪だと騒ぐので、やっと視線を向けたら、やっぱり淀んだような瞳が俺を伺っていて気持ちが悪かった。
だから、「そんな目で見るな」と言って、俺は背を向けて······それの何が気に入ったのか、子供は俺に着いてきた。
そしていつの間にか、幹部の一人にまで登り詰めて見せたのだ。
何を欲しているのかは知っている。
この女は、俺の心が欲しいのだ。
そのためなら、何をしてもいいと考えている。
それが、ハイネと違って。
あまりにも違いすぎて。
俺はこの女を、常々排除したいと思っている。
「本日はお供させていただきます」
丁寧に頭が下げられ、鈍色が床に向かって垂れる。
それを横目で見て、声をかけぬまま書類を捌いた。
もうほとんど終わっているものばかりだが、この女とまともに会話を交じわしたくないと思ったのだ。
適当に書類をパラパラめくり、ついさっきまで眺めていた一枚の書類で手を止める。
それは、巷で囁かれている『傭兵団の聖女』に関するものだった。
どうやら厳しい箝口令が敷かれているらしく、ほんの少ししか情報が手に入らなかった(異様なことだ)のだが、聖女が傭兵団長の娘であるということはわかった。
ハイネである可能性はどれくらいだろうか、そう計算して、ふと視界に鈍色が映った。
顔を上げ、ただその場に立ち尽くすだけの鈍色の女の瞳は、あの日と同じように薄暗く濁っていた。
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