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傭兵団の聖女マロン
黒髪の青年
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「圭吾さん」
「うん?」
夢の中の私は、鉄の箱のようなものの中にある椅子に座っている。
拘束するようにベルトが巻き付けられているのに、少しも気にせず当たり前のように受け入れているのが不思議だった。
箱の外の景色が次々流れていくのが不思議。
そして、隣に座る青年の存在も、私にとっては不思議だった。
彼は、星空のようなキラキラ輝く黒髪に、同じ色の切れ長の瞳をしていた。
落ち着いた雰囲気の美青年で、思わずドキリとしてしまう。
清廉な空気の中に滲む色気は、国すら傾けてしまいそうだ。
とにかくものすごい美形。
その彼に、私はなんと呼び掛けただろうか。
······ケイゴ?敬語?
いや、違う。
多分名前だろう。
聞き慣れない、随分とめずらしい名前だった。
夢の中の私は現実の私よりも随分オシャレに気を使っているようだった。
服は綺麗でシミもほつれのひとつもない。
手首にはガーネットのブレスレットがはまってて、左手の薬指にはキラキラ輝く指輪がはまっていた。
よく分からないけど、すごく高そうだ。
「どうかしたのか?」
ああ、声をかけたんだった。
慌てて取り繕う。
「ええっと、どこに行くんでしたっけ?」
「何言ってるの、今は別荘に向かってるんだよ」
ふ、と息を吐くように笑ったその横顔があまりにも美しくて心臓が飛び跳ねる。
そこまでしてから、私はやっと気がついた。
──────初恋の君だ······。
思うと、こうして話したり名前を呼んだりするのは初めてだ。
ケイゴと言うのか、覚えておこう。
「楽しみだね、新婚旅行」
「えっ、それは流石に気が早いと言うか······」
展開が早すぎる······?
ふと、鉄の箱が止まった。
丸い円形のものから手を離して、ケイゴさんが私を見る。
心底不思議そうな顔をして、言った。
「何言ってるんだ、もう結婚して一ヶ月経つだろ、莉緒」
瞬間、私の視界がブラックアウトした。
「うん?」
夢の中の私は、鉄の箱のようなものの中にある椅子に座っている。
拘束するようにベルトが巻き付けられているのに、少しも気にせず当たり前のように受け入れているのが不思議だった。
箱の外の景色が次々流れていくのが不思議。
そして、隣に座る青年の存在も、私にとっては不思議だった。
彼は、星空のようなキラキラ輝く黒髪に、同じ色の切れ長の瞳をしていた。
落ち着いた雰囲気の美青年で、思わずドキリとしてしまう。
清廉な空気の中に滲む色気は、国すら傾けてしまいそうだ。
とにかくものすごい美形。
その彼に、私はなんと呼び掛けただろうか。
······ケイゴ?敬語?
いや、違う。
多分名前だろう。
聞き慣れない、随分とめずらしい名前だった。
夢の中の私は現実の私よりも随分オシャレに気を使っているようだった。
服は綺麗でシミもほつれのひとつもない。
手首にはガーネットのブレスレットがはまってて、左手の薬指にはキラキラ輝く指輪がはまっていた。
よく分からないけど、すごく高そうだ。
「どうかしたのか?」
ああ、声をかけたんだった。
慌てて取り繕う。
「ええっと、どこに行くんでしたっけ?」
「何言ってるの、今は別荘に向かってるんだよ」
ふ、と息を吐くように笑ったその横顔があまりにも美しくて心臓が飛び跳ねる。
そこまでしてから、私はやっと気がついた。
──────初恋の君だ······。
思うと、こうして話したり名前を呼んだりするのは初めてだ。
ケイゴと言うのか、覚えておこう。
「楽しみだね、新婚旅行」
「えっ、それは流石に気が早いと言うか······」
展開が早すぎる······?
ふと、鉄の箱が止まった。
丸い円形のものから手を離して、ケイゴさんが私を見る。
心底不思議そうな顔をして、言った。
「何言ってるんだ、もう結婚して一ヶ月経つだろ、莉緒」
瞬間、私の視界がブラックアウトした。
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