俺の恋路を邪魔するなら死ね

ものくろぱんだ

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絶対に嫌だ

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「と、言うわけでリュオン、今日からこの子のことよろしく!」
「絶っっ対に嫌だ!!!」

大人気なくもそう宣言し、ソファーから立ち上がって踵を返そうとしたリュオンの裾を引っ掴んだのは、なんとレイドであった。

・・・強面であまり表情のない見た目に反して、この男は可愛いものが好きだ。
それはそれは大好きだ。

つまりこの手は・・・。

「リュオン様、俺は賛成です」

そう、性格を重視していない、顔が可愛けりゃいいじゃん精神である。
次いでレイドに援護射撃をしたのは何故かやる気に満ち溢れたシュネーだった。

「そうですよリュオン様!いいじゃないですか、似たもの同士きっと仲良くできます!」

どっかの姉のようなことを言い出したシュネーはふんすと拳を握りこみ、瞳を熱く燃やした。
それにぱちぱちと拍手を送るアリシア。
それに照れるシュネー。
片眉を上げて面白そうに見ているネロ。

唯一呆れたような疲れたような顔をしているのはルキスだ。
というか既に頭を抱えている。
リュオンが強行突破しようと力を使おうとしていることを察したからだ。

「っしっつけぇ!」

リュオンがそう叫んだ瞬間、リュオンの裾を掴むレイドの手の周りで雷がはしった。
軽いものだが、青白いそれがレイドの手に当たる。

が、

その力はそのほんのスレスレで、霧散することになった。

「ッな!」

意味がわからない。

そんな顔をして呆然とするリュオンをくすくすと笑ったのは、他でもないネロだった。

「それが聖女の力?かわいーね」
「っ、るっせー!」

不思議なことに封じられでもしたように何度やっても力は出ない。
まるで普通の人間に成り下がってしまったような感覚に、リュオンは酷く慌てた。

「な、なんで・・・」
「リュオン、聞いてちょうだい」

そう切り出したのはアリシアだった。

酷く真剣味を帯びたアリシアに、嫌な予感は高まる。

「・・・何」
「前・・・お母様と伯父様とリュオンと、四人で話したよね?」

その言葉で内容を察し、リュオンは盛大にため息をついた。

「あー・・・前言ってた半身の話か?でもあれは可能性が薄いって・・・」
「見つかったの」

紡いだ言葉はアリシアの端的な一言で両断された。
リュオンは軽く目を見張り、ありえないことを言い出した姉を見る。
紫水晶の瞳に、嘘は映っていない。

「・・・おい、まさか」

ありえない、そう言いたげにネロを見たリュオンに、アリシアは重々しく頷いた。

「そう・・・彼が、その半身・・・改めて、ネロよ」

そうして、似たもの同士で性格の合わない二人は出会いを果たした。

・・・ちゃんとした理由以外に、アリシアの私情も多大に孕みながら。
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