俺の恋路を邪魔するなら死ね

ものくろぱんだ

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☆神の子とか呼ばれている男

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ぱたんと軽い音を立て閉まった扉を見て、ルキスとか言う聖騎士の腕の中から飛び降りた。

「あ、ちょ」

そんな声が聞こえたが無視してリュオンの入っていった部屋を開けるため背伸びする。

・・・デカイな。

今の俺では届かなそうだ。

遺伝的にかなり背は伸びると思うが、今の俺は十歳の少年、十七歳にしては身長もでかいリュオンには勝てない。

それにさっき持ち上げられた時に感じたが、見た目より力もありそうだ。

・・・どうすっかね。

見た目より精神年齢が高いことを自覚している。
同時に人を屈服させることが容易であると自信を持って言える。
大抵の人間がまず、天使のようなネロの容姿を見て無意識に優先的に動く。

同時にネロには不思議な魅力が備わっていた。
ネロの前では誰もが敵意を失い、膝を着く。

だからこそネロは劣悪な環境で生き残ってきた。

そんなネロの人生に光明が差したのはつい先日。

ステンランド帝国という大国家の栄えある天才魔法使いが、ネロのことを迎えに来たのだ。

なんでもネロは噂に聞くとか呼ばれているやつの片割れなのだという。
意味がわからなかったが、御伽噺か伝説としか思えない存在が本当にいると知って興味が湧いた。

そして同時に、それを従えた時にどれだけの幸福を手にすることが出来るのか、そんな考えが一瞬で脳裏を駆け巡った。

そしてネロは誘いに頷き、はるばるここまで来た訳だが・・・。



・・・ぜんっぜんダメじゃん。

どうしてか、本質が似たもの同士だからなのか。
何故かリュオンはネロを受け入れようとしない。
リュオンの従者たちは易々と手に入ったのにだ。

ちらりと後ろを振り向くと、自分をうっとりと見ているレイドとか言う騎士と、楽しげに見るシュネーとか言う巫女と、呆れながらも心配気にこちらを見るルキスとか言う騎士。

間違いなくネロを受け入れている。
彼らの主人をあんなふうに扱って何も言わないのがいい証拠。

それでもせっかく同じ部屋で生活する権利を手に入れたのに、本人が篭もりきりでは意味が無い。

一瞬で計算し叩き出した答えに従い、ネロは笑みを浮かべた。

それからほんの少しが経って、仮眠室への扉は簡単に開かれた。



「多分寝てると思いますけど、あまり起こさないでくださいね?」
「はーい」

くどいほど言ってくるが理由はわかる。
リュオンの持っている力のせいだ。

・・・まあ、ネロが制御できるのだが。

なので起こして不機嫌でも問題ない。
天候が悪化する前に蹴散らしてしまえばいい。

その方法は嫌という程伝授された。
リュオンとアリシアの伯父からだ。

しめしめ、そう思いながらネロは部屋に足を踏み入れた。
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