俺の恋路を邪魔するなら死ね

ものくろぱんだ

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☆顔だけはいいと多分お互いに思っている

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入った部屋は随分と薄暗かった。

寝ているというのは本当のようで、短時間しか経っていないのに寝息が聞こえてくる。

シングルベッドから垂れる長い純白の髪。
近づけば見えるのは女神像のように整った美しい顔だ。

元々アリシアや伯父を見てもわかる通り、リュオンの血筋は全体的に美形が多い。
ネロですら尻込みするほどだ。

まあタダで負けてやる気は毛頭ないが。

ネロはおもむろにベッドの上に乗りあがった。
ネロはまだ全体的に小さいので男一人がだらりと寝転んだベッドの上でも自分の場所を確保できる。

・・・顔だけはいいな。

そう思いながら、ネロはリュオンの肩に手を伸ばした。



パシッッ・・・。

・・・驚いた。

ネロの手はリュオンによって受け止められていた。
リュオンは顔を顰め軽く身動ぎすると、うっすらと目を開いて起き上がった。

「・・・なんだ、お前か」
「おい、手ぇ離せよ」
「ああ?口が悪ぃな」
「お前にだけは言われたくねぇ」

どちらにせよ口が悪い。

リュオンはぱっと手を離すと、まじまじとネロを見下ろした。

「・・・顔だけはいいな」

どうやら似たもの同士は考えることも似ているようだった。






その後ネロは仮眠室からポイッと追い出された。

というのもネロが、仮眠室があるのに追い出そうとしたのか、という気付きを持ってリュオンを問い詰め始めたからだ。
それを面倒に思ったリュオンは実力行使でネロを三人組が待っている自室の方に投げ込んだ。

言わば、いつものやつである。

どうやらその間に三人組もその事実に気が付いたらしく、ネロにこの部屋を使っていいという言葉を送った。
一筆も書いた。

つまり既成事実である。

と、言うわけでネロは無駄に顔がいいが口が悪い男との半同居が決定した。



それから、一週間が経った。

「なあリュオン、お前まじでなんもしねぇのな」 
「怠惰こそ至高だろ、何言ってんだ」
「その何言ってんだこいつみたいな顔やめてくれる?俺絶対間違ってねぇから、つうか働け暇人」
「暇人じゃねえ、ここにいるという偉業を成し遂げてる。いるだけで社会貢献している」  
「してねえよ世界も末期だよ」
「うるせぇなじゃあお前が代わりに働いてこいよ」
「あ、今働いてないって認めたな?」
「は?何の話だよお前の聞き間違いに決まってんだろ」
「はーん、そうやって逃げる、リュオンは自信が無いんだな?」
「なんの自信だよ」
「俺に口論で勝てる自信?」
「はあ?あるわ、バチクソにあるわ」
「どうだか」
「んだと?」
「ああん?」
「やんのか」
「はん、やってみろや」

「・・・あの人たち、本当に神の子とその片割れ・・・」
「しっ、ダメよ口に出したら・・・」

「「「ほんと顔だけはいいんだから」」」
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