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「僕を読書クラブに入れてもらえないか?」
「売れっ子アイドルさんが本の補修なんて出来んのか?」
「ちゃんとプロに教わって出来るようになってくるよ、次の登校までに。それなら問題ないだろう?あと僕はアイドルじゃなくて役者だ」
え ゼノ様そんな時間あるのかな……?
剣城瀬音は四年前に人気の連続ドラマの回変わりゲスト出演でデビューしたが、出番は短かったにもかかわらず「あの俳優は誰だ?」と話題になってオファーが殺到し、あっという間に主演を張るまでになった。
ドラマに限らずミュージカル、ストレート芝居の舞台までとその活動は幅広く、主演ミュージカルでの歌声が素晴らしいという事でCDデビュー、その売れ行きとMVの評判もまた高かったために昨年はライブツアーまで果たし、マルチな活動を続けている。
容姿も日本人にしては彫りが深く、色白で手足も長く切れ長の瞳と髪は金茶色で、甘いマスクをちょっと裏切るバリトンボイスは演じるキャラに寄っては堪らなく甘く、目の当たりにしたら腰砕けになること確実、“サラサラの長くした前髪から瞳が覗くショットが神ってる“などと写真一枚でもバズりまくる方なのだ。
当然、撮影だけでなく各種のリハや稽古時間もあるわけで……
「売れっ子役者さんにそんな暇あんの?」
「必要な時間なら作るさ。それで?入部は許可してもらえるのかい?」
「口先だけじゃなく、本当に出来るようになってくるならな。何日必要だ?」
「逆にどれくらいで出来るようになるものなんだ?そこまで言うからには相当な腕前なんだろうね部長くん?」
「数時間ありゃ充分だ、そう難しいコトじゃない……あと生憎部長はオレじゃない__ソイツだ」
と零が顎で瑠璃を指す。
(えっ……?!)
いきなりこんなとこで振る?!
ゼノが瑠璃の方に振り向き、あろうことか席を立ってこちらに向かって来る。
瑠璃はメドゥーサに睨まれたように動けない。
固まる瑠璃に構わず目の前に立ったゼノは、
「君が部長さん?えぇと、名前は?」
「か、橅木瑠璃です」
「橅木さん、だね。じゃあ入部届を貰えるかな?次来る時までに書いておくから」
「は、はい……!」
瑠璃は慌てて鞄から入部届の用紙を取り出す。
これでも部長なので必要な書類は持ち歩いている。
「ありがとう、じゃ。書いてきたら受理よろしく」
そう言って席に戻って行った。
「__もう、零ってばなんでゼノ様にあんなに攻撃的なの?!お陰で私まで皆に睨まれちゃったじゃない!」
帰り道、食って掛かる瑠璃に零はいつもの調子を崩さない。
「攻撃したわけじゃねぇよ、ほんとのこと言っただけだろ?それに__」
零は意味ありげに自分より頭ひとつ小さな瑠璃の旋毛を見下ろす。
「それに何?」
「睨まれたのはアイツがお前にだけ笑顔で話しかけたからだろ」
「そんなわけないでしょ。席で皆に囲まれてた時からずっと笑顔で話してたじゃない」
「__んだよ」
「え?なに?」
零が小さく口の中で呟いた声は耳に届かず、いつもはっきりきっぱりの幼馴染らしくない態度に瑠璃は首を傾げる。
「なんでもない。ほら、着いたぞ。明日はもう少し早く起きろよ」
当たり前のように持っていた鞄を瑠璃に渡し、玄関に入るよう促す。
いつも通り瑠璃が家の中に入るのを見届けて零も隣の玄関に向かう。
いつもは無言でそれを行う零だが、今日だけは違った。
「……笑顔の種類があからさまに違ぇんだよ、あいつ」
零は剣呑に眉を顰めて呟いた。
「売れっ子アイドルさんが本の補修なんて出来んのか?」
「ちゃんとプロに教わって出来るようになってくるよ、次の登校までに。それなら問題ないだろう?あと僕はアイドルじゃなくて役者だ」
え ゼノ様そんな時間あるのかな……?
剣城瀬音は四年前に人気の連続ドラマの回変わりゲスト出演でデビューしたが、出番は短かったにもかかわらず「あの俳優は誰だ?」と話題になってオファーが殺到し、あっという間に主演を張るまでになった。
ドラマに限らずミュージカル、ストレート芝居の舞台までとその活動は幅広く、主演ミュージカルでの歌声が素晴らしいという事でCDデビュー、その売れ行きとMVの評判もまた高かったために昨年はライブツアーまで果たし、マルチな活動を続けている。
容姿も日本人にしては彫りが深く、色白で手足も長く切れ長の瞳と髪は金茶色で、甘いマスクをちょっと裏切るバリトンボイスは演じるキャラに寄っては堪らなく甘く、目の当たりにしたら腰砕けになること確実、“サラサラの長くした前髪から瞳が覗くショットが神ってる“などと写真一枚でもバズりまくる方なのだ。
当然、撮影だけでなく各種のリハや稽古時間もあるわけで……
「売れっ子役者さんにそんな暇あんの?」
「必要な時間なら作るさ。それで?入部は許可してもらえるのかい?」
「口先だけじゃなく、本当に出来るようになってくるならな。何日必要だ?」
「逆にどれくらいで出来るようになるものなんだ?そこまで言うからには相当な腕前なんだろうね部長くん?」
「数時間ありゃ充分だ、そう難しいコトじゃない……あと生憎部長はオレじゃない__ソイツだ」
と零が顎で瑠璃を指す。
(えっ……?!)
いきなりこんなとこで振る?!
ゼノが瑠璃の方に振り向き、あろうことか席を立ってこちらに向かって来る。
瑠璃はメドゥーサに睨まれたように動けない。
固まる瑠璃に構わず目の前に立ったゼノは、
「君が部長さん?えぇと、名前は?」
「か、橅木瑠璃です」
「橅木さん、だね。じゃあ入部届を貰えるかな?次来る時までに書いておくから」
「は、はい……!」
瑠璃は慌てて鞄から入部届の用紙を取り出す。
これでも部長なので必要な書類は持ち歩いている。
「ありがとう、じゃ。書いてきたら受理よろしく」
そう言って席に戻って行った。
「__もう、零ってばなんでゼノ様にあんなに攻撃的なの?!お陰で私まで皆に睨まれちゃったじゃない!」
帰り道、食って掛かる瑠璃に零はいつもの調子を崩さない。
「攻撃したわけじゃねぇよ、ほんとのこと言っただけだろ?それに__」
零は意味ありげに自分より頭ひとつ小さな瑠璃の旋毛を見下ろす。
「それに何?」
「睨まれたのはアイツがお前にだけ笑顔で話しかけたからだろ」
「そんなわけないでしょ。席で皆に囲まれてた時からずっと笑顔で話してたじゃない」
「__んだよ」
「え?なに?」
零が小さく口の中で呟いた声は耳に届かず、いつもはっきりきっぱりの幼馴染らしくない態度に瑠璃は首を傾げる。
「なんでもない。ほら、着いたぞ。明日はもう少し早く起きろよ」
当たり前のように持っていた鞄を瑠璃に渡し、玄関に入るよう促す。
いつも通り瑠璃が家の中に入るのを見届けて零も隣の玄関に向かう。
いつもは無言でそれを行う零だが、今日だけは違った。
「……笑顔の種類があからさまに違ぇんだよ、あいつ」
零は剣呑に眉を顰めて呟いた。
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