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読書クラブの朗読というか読み聞かせは大成功だった。
何なら演劇部の発表より拍手を集めたくらいだ。
それは言わずもがな、“剣城瀬音“効果によるものだったが。
「部長、真に迫ってて凄かったです!」
「ゼノ君のベルナルド、すっごい良かったです!妹への想いが伝わってくるみたいで」
「副部長のトニーもめっちゃ凄かったです!やっぱ部長が相手だからですか?」
本番終了後の部員たちの興奮した声に、零が至って冷然と返した。
「あー……、お前一年だっけ?退部届書くか?」
「す、すみませんでしたあぁっ!」
副部長の絶対的命令に、一年生が慌てて平謝りする。
「最初の“凄い良かった“だけでいいんだよ、余計なひと言付け加えんな」
「はい……」
このやり取りに驚いたらしいゼノが、
「いつもこうなのかい?」
と近くにいた生徒に訊くと、
「うん。いつもこんな感じ。亜城君は凄い頼りになる副部長なんだけど、部長とのことをネタにされるの、すっごい嫌がるから……」
訊かれた生徒が顔を赤らめて答えると、
「ふぅん……」
すぅ、とゼノの顔がいつもの柔和な笑みから能面のように変わったのを、零だけが見ていた。
いつもなら文化祭後そのまま打ち上げになだれ込むのだが、肝心の功労者であるゼノが「ごめん、仕事があるから参加できない」
と言ったことで、誰ともなく「ゼノ君が参加できないならやめとこっか……」といった声があがり、自然「じゃあ後日改めて」という方向に話ができ上がってしまった。
零はもちろん、部長である瑠璃も釈然としない表情をしていたが、部員の総意を無視は出来ないので「じゃあ今日は解散」と帰路についた。
二人が連れ立って出て行くと、
「ほんとにあの二人はいつも一緒なんだね?」
ゼノが誰に尋くとでもなく呟いた。
「あ うん。毎朝亜城君が橅木さんを迎えに行って帰りも絶対連れて帰るって有名だよね」
「うん、それで部長結構恨まれてるよね?亜城君に憧れてるって子結構多いし」
「そうそう、それでいて部長無自覚天然ちゃんだからねー」
ゼノが口火を切ったことで何かの箍が外れたらしい女生徒から辛辣な意見が飛ぶ。
が、
「お前ら部長たちがいなくなった途端言いたい放題だな?」
という男子生徒のひと言に沈黙し、やがて皆気まずげに辞去を告げた。
「変な雰囲気にしてしまってごめん、埋め合わせは必ずするよ」
とゼノも出ていくと、部室には男子生徒数名のみが残った。
「ゼノ君って、もしかして部長に気があるのかな?」
「確かにうちの部長可愛いけど」
「副部長が全力で囲ってるもんなーそれに……」
「それに?」
「ゼノ君も確かに上手かったけど、ほんとに代役かってくらい上手かったけど」
「うちの副部長と部長相手じゃなぁ……」
「あの二人って何するにもやたら呼吸があってんだよなぁ。違和感なさすぎってーか……」
「あーわかる。実際このクラブも部長目当てのヤツは副部長に容赦なく落とされた。なんてーの、それに対する嗅覚?もう野生の獣並じゃね?うちの副部長」
「じゃあ副部長が入部許可したゼノ君は部長目当てじゃないってことか?」
「うーん……」
「まぁ、でも」
「もし部長に気があったとしても……」
「あの副部長押し退けて部長の隣に立つのは、」
「いくら相手がイケメン俳優でも……」
「たぶん、」
「「「無理」」」
何なら演劇部の発表より拍手を集めたくらいだ。
それは言わずもがな、“剣城瀬音“効果によるものだったが。
「部長、真に迫ってて凄かったです!」
「ゼノ君のベルナルド、すっごい良かったです!妹への想いが伝わってくるみたいで」
「副部長のトニーもめっちゃ凄かったです!やっぱ部長が相手だからですか?」
本番終了後の部員たちの興奮した声に、零が至って冷然と返した。
「あー……、お前一年だっけ?退部届書くか?」
「す、すみませんでしたあぁっ!」
副部長の絶対的命令に、一年生が慌てて平謝りする。
「最初の“凄い良かった“だけでいいんだよ、余計なひと言付け加えんな」
「はい……」
このやり取りに驚いたらしいゼノが、
「いつもこうなのかい?」
と近くにいた生徒に訊くと、
「うん。いつもこんな感じ。亜城君は凄い頼りになる副部長なんだけど、部長とのことをネタにされるの、すっごい嫌がるから……」
訊かれた生徒が顔を赤らめて答えると、
「ふぅん……」
すぅ、とゼノの顔がいつもの柔和な笑みから能面のように変わったのを、零だけが見ていた。
いつもなら文化祭後そのまま打ち上げになだれ込むのだが、肝心の功労者であるゼノが「ごめん、仕事があるから参加できない」
と言ったことで、誰ともなく「ゼノ君が参加できないならやめとこっか……」といった声があがり、自然「じゃあ後日改めて」という方向に話ができ上がってしまった。
零はもちろん、部長である瑠璃も釈然としない表情をしていたが、部員の総意を無視は出来ないので「じゃあ今日は解散」と帰路についた。
二人が連れ立って出て行くと、
「ほんとにあの二人はいつも一緒なんだね?」
ゼノが誰に尋くとでもなく呟いた。
「あ うん。毎朝亜城君が橅木さんを迎えに行って帰りも絶対連れて帰るって有名だよね」
「うん、それで部長結構恨まれてるよね?亜城君に憧れてるって子結構多いし」
「そうそう、それでいて部長無自覚天然ちゃんだからねー」
ゼノが口火を切ったことで何かの箍が外れたらしい女生徒から辛辣な意見が飛ぶ。
が、
「お前ら部長たちがいなくなった途端言いたい放題だな?」
という男子生徒のひと言に沈黙し、やがて皆気まずげに辞去を告げた。
「変な雰囲気にしてしまってごめん、埋め合わせは必ずするよ」
とゼノも出ていくと、部室には男子生徒数名のみが残った。
「ゼノ君って、もしかして部長に気があるのかな?」
「確かにうちの部長可愛いけど」
「副部長が全力で囲ってるもんなーそれに……」
「それに?」
「ゼノ君も確かに上手かったけど、ほんとに代役かってくらい上手かったけど」
「うちの副部長と部長相手じゃなぁ……」
「あの二人って何するにもやたら呼吸があってんだよなぁ。違和感なさすぎってーか……」
「あーわかる。実際このクラブも部長目当てのヤツは副部長に容赦なく落とされた。なんてーの、それに対する嗅覚?もう野生の獣並じゃね?うちの副部長」
「じゃあ副部長が入部許可したゼノ君は部長目当てじゃないってことか?」
「うーん……」
「まぁ、でも」
「もし部長に気があったとしても……」
「あの副部長押し退けて部長の隣に立つのは、」
「いくら相手がイケメン俳優でも……」
「たぶん、」
「「「無理」」」
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