〈第一部完・第二部開始〉目覚めたら、源氏物語(の中の人)。

詩海猫(8/29書籍発売)

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そして現在、時代(とき)は移る

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「まさか、透夜アイツをこっちに戻した途端こんなことになるとはなぁ……」
「まさかあの蓮花殿がここまでするとは」
結月と月影は顔を見合わせてため息を吐いた。

「蓮花殿がいなくなって内裏の澱みも酷くなりましたね」
「それでなくても内裏とはよくも悪くも人の想念が集まる場所であるからなぁ」
「善きものより悪しきもののほうが多いですからね、今も昔も」
「しかもこの世界そのものから離脱してしまうとは……」
「蓮花殿の身だけはこちらに残されていますがね……身代わりの魂も今のところ問題なく馴染んでいるようですが」
「だが__時代ときが違う」
「そればかりは何とも」
「今は良くともじきに元の世界が恋しくなろう。元々生きてきた場所が違うのだ、いくら相性が良くともここで長くは保つまいよ」
「そこは気の逸らし方次第で仕様があるかと。幸い蓮花殿は元々人目のある場所に出向かぬ深窓の姫君でありますゆえ」
「だからこそ窮屈に感じるのではないか?」
「そこはそれ、こっそり外出させるくらいわけはないではありませんか」
「そりゃそうだが__何を企んでる?」
「企むなどと心外な。ただ織羽どのがこちらに馴染むのに手を貸そうというだけのことでございますよ」

*・゜゚・*:。. .。:*・゜゚・*



実際、織羽は違う世から来たとは思えないくらいよく馴染んだ。
形ばかりの夫婦であった薫はじめ周りの人々を魅了し夢中にさせてしまうくらいに。
女二の宮・蓮花と薫に子が出来るとは誰も思っていなかった。
だが、やはり生まれ持った魂と器が違うということは異常な状態には違いない。
若く頑健である蓮花の体が二人目の子を生んだ辺りから酷く疲れやすくなり、寝込むことが増えた。
産後の肥立ちのせいかとも思ったがその後もよくなることはなく、一番目の姫が七つになると同時に若くしてこの世を去った。



幸い生まれた姫と二歳下の若君は元気に育っていると聞くが……、
「まさかこのようなことになろうとはなぁ」
「ええ。本当に驚きました」
蓮花の身が亡くなって八年が経つ現在の帝の名は薫___蓮花の夫であったかつての薫大将の君である。
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