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「フェンティ伯!これはですなっ、」
「誰だ?」
「は?」
「全員知らない顔だ。お前達は誰だ?そして何故私のリーアに断りなく近付いている?」
エドワードが凱旋時、出迎えた貴族は大勢いた。
当然カインド伯もその場にいたが、その中でもエドワードと言葉を交わしたのはほんの数人。
その後も城へ面会を希望する貴族は後を絶たなかったが“一定の付き合いが必要“とディーンが判断した者以外はシャットアウトされており、出征前もエドワードが三男だったが故に父親である侯爵が社交場に連れて歩くこともなかったためエドワードと正式に顔を合わせるのはこの場が初めて、という貴族も少なくなかった。
カインド伯もその一人というだけだったが、執務室に通されないまでも何度も城で見掛けた青年に自分が全く認識されていなかったという事実がカインド伯は我慢ならなかったようで、
「これはこれは。私は伯が凱旋された折にはお出迎え(数百人の中に埋もれて)し、城ですれ違った折にも挨拶(遠くから会釈しただけ)などさせていただいておったのですがなあ?なんとフェンティ伯は覚えがないと仰る!これは問題ではないのですかな?貴族たる者__「黙れ」は?」
「黙れと言った、お前の演説なぞ聞きたくない。訊かれたことにだけ答えろ。貴様らはリーアに何をした?」
一瞬で殺気を漲らせたエドワードにカインド伯爵は竦みあがったが、
「何もしておりませんよ!」
と慌てて言った。
「本当か?リーア」
「ええっと、『自分の娘が私を侮辱したと言っても君が元は子爵令嬢なのは事実なのだから腹を立てること自体お門違いだろう、違うか?!』__と、言われていたところですわね、今」
声真似までして見せたアルスリーアに驚きつつ、周囲の視線がカインド伯に集まる。
「い、いや、何かの間違いだ……そう!フェンティ伯夫人の思い違いだよ!私は、」
「見苦しいぞカインド伯爵。貴様のことだから自分のようないい大人がフェンティ夫人のような若い娘にあしらわれたのを屈辱とでも思っているのだろう、親子揃ってそんな様だから未だ良縁に恵まれんのだ」
「陛下っ!お聞きください!私めだけのことならばともかく娘まで侮辱するのはやめていただきたい、娘は賢く優しく聡明に育っております!縁談はただ厳選に厳選を重ねておるが故でありまして__」
(ペテン師の演技審査みたいだな。)
大仰なカインド伯の仕草にそんな感想を抱く。
「あゝもういい、貴様の弁舌は聞き飽きた。今近くにいる者で、カインド伯およびこの三人の令嬢がフェンティ夫人に暴言を吐くところを見たか聞いた者はいるか?」
訊いたのが国王だっただけに、数名ではあるが挙手し、
「私はカインド伯令嬢がフェンティ夫人が名乗っているにも関わらず“子爵令嬢“と連呼するのを聞きました」
「私は“子爵令嬢の分際で伯爵令嬢である自分のことを覚えていないなんて、何で失礼で頭の悪い令嬢“だと言っているのを聞きましたわ。フェンティ夫人は三年も先に卒業されているのですから、覚えがなくて当然ですのに」
と次々に証言があがり、カインド親子は哀れ氷像になって砕け……じゃない、言葉を失った後、力なくその場にへたり込んだ。
「誰だ?」
「は?」
「全員知らない顔だ。お前達は誰だ?そして何故私のリーアに断りなく近付いている?」
エドワードが凱旋時、出迎えた貴族は大勢いた。
当然カインド伯もその場にいたが、その中でもエドワードと言葉を交わしたのはほんの数人。
その後も城へ面会を希望する貴族は後を絶たなかったが“一定の付き合いが必要“とディーンが判断した者以外はシャットアウトされており、出征前もエドワードが三男だったが故に父親である侯爵が社交場に連れて歩くこともなかったためエドワードと正式に顔を合わせるのはこの場が初めて、という貴族も少なくなかった。
カインド伯もその一人というだけだったが、執務室に通されないまでも何度も城で見掛けた青年に自分が全く認識されていなかったという事実がカインド伯は我慢ならなかったようで、
「これはこれは。私は伯が凱旋された折にはお出迎え(数百人の中に埋もれて)し、城ですれ違った折にも挨拶(遠くから会釈しただけ)などさせていただいておったのですがなあ?なんとフェンティ伯は覚えがないと仰る!これは問題ではないのですかな?貴族たる者__「黙れ」は?」
「黙れと言った、お前の演説なぞ聞きたくない。訊かれたことにだけ答えろ。貴様らはリーアに何をした?」
一瞬で殺気を漲らせたエドワードにカインド伯爵は竦みあがったが、
「何もしておりませんよ!」
と慌てて言った。
「本当か?リーア」
「ええっと、『自分の娘が私を侮辱したと言っても君が元は子爵令嬢なのは事実なのだから腹を立てること自体お門違いだろう、違うか?!』__と、言われていたところですわね、今」
声真似までして見せたアルスリーアに驚きつつ、周囲の視線がカインド伯に集まる。
「い、いや、何かの間違いだ……そう!フェンティ伯夫人の思い違いだよ!私は、」
「見苦しいぞカインド伯爵。貴様のことだから自分のようないい大人がフェンティ夫人のような若い娘にあしらわれたのを屈辱とでも思っているのだろう、親子揃ってそんな様だから未だ良縁に恵まれんのだ」
「陛下っ!お聞きください!私めだけのことならばともかく娘まで侮辱するのはやめていただきたい、娘は賢く優しく聡明に育っております!縁談はただ厳選に厳選を重ねておるが故でありまして__」
(ペテン師の演技審査みたいだな。)
大仰なカインド伯の仕草にそんな感想を抱く。
「あゝもういい、貴様の弁舌は聞き飽きた。今近くにいる者で、カインド伯およびこの三人の令嬢がフェンティ夫人に暴言を吐くところを見たか聞いた者はいるか?」
訊いたのが国王だっただけに、数名ではあるが挙手し、
「私はカインド伯令嬢がフェンティ夫人が名乗っているにも関わらず“子爵令嬢“と連呼するのを聞きました」
「私は“子爵令嬢の分際で伯爵令嬢である自分のことを覚えていないなんて、何で失礼で頭の悪い令嬢“だと言っているのを聞きましたわ。フェンティ夫人は三年も先に卒業されているのですから、覚えがなくて当然ですのに」
と次々に証言があがり、カインド親子は哀れ氷像になって砕け……じゃない、言葉を失った後、力なくその場にへたり込んだ。
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