〈完結〉八年間、音沙汰のなかった貴方はどちら様ですか?

詩海猫(9/10受賞作発売中!)

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「そんなの嘘よ!」
私は叫んで、すぐにアデリアに向かった。
お父様は「何事だ」とびっくりしてたけど、エドワード様と結婚する為に至急アデリアに行く必要があるのだと言ったら急いで手配をしてくれた。

この国に向かう道中、館に迎えた奥方のことを聞いた。
エドワード様には幼馴染の婚約者がいて、戦争に出る前に既に籍を入れていたこと。
その婚約者というか書類上の妻がエドワードが帰国した際行方がわからず、エドワードが必死に捜索していたこと。
おまけにその娘は子爵家の出で、爵位は弟が継ぐため子爵家に住んではおらず、地方領主の館で世話になっていたらしい事__「成る程ね」。

報告を聞いたレベッカは得心したように頷いた。
後継でない子息令嬢が幼いうちに婚約を結ぶのはよくある話だ。
エドワードは侯爵家といっても三男だそうだから、あり得ない事ではない。

「私の身分が、彼を苦しめていたのね……」
エドワードより六歳下だというその子爵家の娘も、後がなかったのだろう。
だから、エドワードが出征前に書類上だけでも妻の座に収まったのだ。
そして、予想より長いエドワードの遠征中寂しさを紛らわすために地方領主の妾にでもなったというところだろう。
だが、エドワードが凱旋将軍として帰国し、爵位を賜った途端、自分が妻だと名乗りをあげて館に迎えさせたに違いない。

エドワードは優しさから幼馴染の娘を無碍に出来ず、泣く泣く館に迎え入れたのだろう。

泣く泣くは合っているが、歓喜の号泣だった事を知る由もない王女は、
「そんな状態では、私を迎えに来れなくて当然ね……」
と悲しげに目を伏せた。

書類上にすぎないとはいえ妻がいるのに、王女である自分の降嫁を願うなど出来るはずがなく、国に帰って正式に離婚をしてから改めて求婚するつもりだったのだろう。
なのにその子爵家あがりの娘が離婚に応じず、妻の座に固執したので動くに動けなくなってしまったに違いない。
「なんて、図々しい娘なの……」
たかだか子爵家あがりの小娘の分際で、私達の愛を邪魔するなんて。

離婚しようとしていたのはエドワードではなくその妻の方なのだが、生憎ここにはミレスナ人(要するに太鼓持ち)しかいなかった。

待っていて、エドワード様。
私があなたを、救ってみせるから……!

レベッカはそう心に誓って、アデリアの王宮に乗り込んだ。
比喩ではなく、城門に到着すると同時に、
「私はミレスナの第一王女よ!今すぐエドワード・フェンティとその夫人を呼びなさい!」
命令したのである。




















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