〈完結〉八年間、音沙汰のなかった貴方はどちら様ですか?

詩海猫(8/29書籍発売)

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「あゝ、そういえばあなた達親子の罪状が途中だったかしら?」
王妃がこともなげに言い、騎士たちが周囲を囲む。
まるで暴れだすことを確信しているかのようだ。

「な、なんの真似よ?!」
「自国でやりたい放題が通じたからといって他国でもやらかせばただの犯罪だという常識くらい、身につけておくべきだったわね。まあもっとも関税の誤魔化しだけでも国交断絶には充分なのだけれど」
「こ、国交断絶だと……?しかしそれで不利になるのはそちらではないのか?此度の戦で領土とした国には我が国を通過するのが一番早いのだから」
「もちろん普通に通るに決まっているでしょう、最早ミレスナを通るのに貴方の許可は必要ないと言っているのよ」
「……は……?」
「属国にでも領土の一部にでもしてしまえばいいのよ。フェンティ伯が喜んでやってくれるでしょう、これだけフェンティ伯をコケにし、夫人を侮辱したのだから__あゝもしかして焦土にしてしまうかもしれないわねぇ?」

楽しげに言う王妃に、
「なっ……、」
とミレスナ王は絶句するが、当然ここに味方はいない。
「もういっそ焦土にしてしまった方がすっきりするでしょうね。ですが、ミレスナの民にも罪のない者はいるでしょうし__」
そう続けたエドワードが一旦言葉を切ると、
「そうですわエドワード様!私達に罪はありません!!」
と宣う王女。
って、誰を指すんだろ?)

「やっぱり焦土にするか?」
「その方が早そうですわねぇ」
国王夫妻が頷き合うが、エドワードが、
「リーアはどうしたい?」
と訊ねる。
「特にどうも。そもそもミレスナという国にもこの王女さまにも興味がないので。まあ不快なことしか言って来ないので、二度と目の前に現れないで欲しいな とは思いますけど」
「そうか。ならばそうしよう」
エドワードが請け負い、
「アルスリーア嬢、いやフェンティ夫人は本当にレベッカ王女を相手にしていないのだな」
国王が感心して呟く。
「そうね。眩しいくらい自分をきちんと持っている。だから貴女は他人の言などに左右されないのね……」
(王妃さまとレベッカ王女の母親って昔何があったんだろ……)
聞いてみたい気もするが、訊いてはいけないことの気がする。

アルスリーアからすれば行動力はあってもそれについての説明力が圧倒的に不足しているエドワードに対し、その行動から読み取るしかなかっただけで、ちゃんと言ってくれるようになった今疑う理由もない(上手く誤魔化せる人でもないという確信もある)だけだが、周囲からは違って見えるらしい。

何故かエドワードも誇らしげだ。

「国王陛下、ご裁可を」
エドワードが騎士の姿勢で促すと、
「ふむ。共謀していた貴族は資産没収のうえ平民に落とし、ミレスナの王家は解体とす「畏れ入りますがそれは待っていただけませんか?」、なに?」
国王の言に、違う声が割って入った。

























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