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第二章
対ロナルド戦
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「くそがっ! どうするっ!」
そう悪態をついて息を切らし、汗だくになりながらトンネルを走るのはバロン・メリオス。その後方で追いかけるのはロナルド。
その距離はあっという間に縮まり、いまやロナルドの手がバロンを追いかける護衛の背後に迫りつつあった。
「おいっ! てめえら、あいつの足止めをしてこいっ!」
後ろを何度も振り返りながらバロンがそう叫ぶと護衛たちは互いに顔を見合わせ、にやりとした笑みを浮かべて足を止め、ロナルドを振り返った。
こちらの人数は三人。対して相手はひとりだ。
警備隊に追われると思わず逃げてしまうのは悪人の性とでもいうべきものか。冷静になって考えてみればこちらの方が有利なのだ。たかが警備兵のひとり、三人でかかればたいした脅威ではない。
背中ごしにバロンがひとり逃げていくなか、護衛たちは手に手にナイフを握りロナルドを待ち構える。
ロナルドは目前に迫る三人を見据えてもなお、駆ける足を止めなかった。走りながら腰に携帯していた警棒を抜き出し、一直線に悪党に向かって突き進む。
まず始めに三人の中からひとりの男がわれ先にと飛び出しロナルドに向かってナイフを突き出した。
ロナルドはすっと目を細めて構えた警棒を横にないでナイフを打ち払い、凄まじい速さで体を半回転させ男の首に回し蹴りを入れた。男は受けた打撃の勢いで壁に体当たりをして跳ね返り、その場に仰向けに伸びて倒れる。
「この野郎っ!」
一人目があっけなくやられたことで、残りの二人は怒り任せに同時にロナルドに襲いかかった。
左右から挟むように突き出されたナイフ。
ロナルドは瞬時に身をかがめ、男の足元に回し蹴りを入れてひとり目をその場に転倒させると、背後から二人目が突き出したナイフを相手の腕ごと脇の中にするりと引き入れて手首と腕を締め、息つく暇もなく関節に打撃を入れた。
鈍い音と共にあらぬ方向に折れ曲がった手首と肘関節。
「ぎゃああああっ!」
腕を締められた悪党はその激痛に涙を浮かべ、背をのけぞりながら絶叫する。
その隙をついて前を見据えたまま、脇から背後にいる男の腹部めがけて警棒を突き出すと、カハッ……! という短い呼吸と共に男はその場に沈黙した。
背後でドサリと崩れ落ちた男には見向きもせず、ロナルドは次なる標的に立ち向かう。
足をすくわれ転倒した男は怒りで顔を真っ赤にしながら起き上がり、ナイフを片手に構えて器用にくるくると回しながらロナルドを待ち構える。
ロナルドもまた警棒を片手に構え、ゆっくりと男に向かって歩みを進める。その表情は常にマーリナスやアレクに見せるものとは別人のものだった。
柔らかな目元は細められ、鋭い眼光を称える。笑顔を絶やさぬその顔は引き締まり、口元はかたく結ばれる。
栗色の髪が歩みを進めるたびに整った眉をかすめて左右に揺れ動き、その毛先が男の一歩手前の位置で一段と輝いた眼光と共にふわりと浮いた。
「しゃあっ!」
男が動いた。ロナルドは突き出されたナイフを剣戟を鳴らしながら警棒で受け止め、弾いて男の脇腹を打ち抜く。
だが機敏な動きで男はそれをナイフで受け止めて弾き返すと、下半身をひねってロナルドの脇腹に蹴りを繰り出した。
それを身をかがめてかわし、男の足が頭上をかすめて通過したと同時にロナルドは男の軸足を狙って低姿勢で回し蹴りを食らわす。
足もとをすくわれ体勢を崩して倒れこんだ男だったが、とっさに地面に片手をついてなんとか無様な転倒をまぬがれると、低姿勢でさらにナイフを横一直線にないでロナルドに襲いかかった。
それを軽やかに飛び跳ねてかわし、着地と同時に男の首元めがけてロナルドは回し蹴りを入れた。
それをまともにくらい横に飛ばされた男に追撃をかけ、最後に地を蹴って警棒を男の腹部めがけて振り下ろすと、受けた衝撃で下半身は跳ねるように浮き上がり、その後男は泡を吹いてその場に沈黙した。
あっという間に静けさを取り戻した通路で、表情ひとつ変えぬままロナルドはゆっくりと立ち上がり辺りを見渡す。
そこには無様に沈黙する悪党が転がっているが、肝心のバロンの姿は見る影もない。
この迷宮のような遺跡の中で道筋もわからず動き回るのは危険だ。
ベインの後を追いかけてきた道筋はなんとかあたまに入っているものの、この悪党たちを放置して先に進むわけにもいかない。
ロナルドは小さくため息をつくと、探索用に携帯していた縄を腰から外して悪党を一カ所にまとめ一括りに拘束した。
「これでよしと。さて……」
ロナルドが視線を向けたのはバロンが逃げたのとは真逆の方角。真っ暗な闇が奥へ向かって口を開き、この遺跡に侵入した者を飲みこもうとしている。
きた道を戻ることになるが、ロナルドにはひとつ気になっていることがあった。それを確認するために地面に転がった松明を拾ってかかげると、ロナルドはその暗闇の中に再び姿を消していったのである。
そう悪態をついて息を切らし、汗だくになりながらトンネルを走るのはバロン・メリオス。その後方で追いかけるのはロナルド。
その距離はあっという間に縮まり、いまやロナルドの手がバロンを追いかける護衛の背後に迫りつつあった。
「おいっ! てめえら、あいつの足止めをしてこいっ!」
後ろを何度も振り返りながらバロンがそう叫ぶと護衛たちは互いに顔を見合わせ、にやりとした笑みを浮かべて足を止め、ロナルドを振り返った。
こちらの人数は三人。対して相手はひとりだ。
警備隊に追われると思わず逃げてしまうのは悪人の性とでもいうべきものか。冷静になって考えてみればこちらの方が有利なのだ。たかが警備兵のひとり、三人でかかればたいした脅威ではない。
背中ごしにバロンがひとり逃げていくなか、護衛たちは手に手にナイフを握りロナルドを待ち構える。
ロナルドは目前に迫る三人を見据えてもなお、駆ける足を止めなかった。走りながら腰に携帯していた警棒を抜き出し、一直線に悪党に向かって突き進む。
まず始めに三人の中からひとりの男がわれ先にと飛び出しロナルドに向かってナイフを突き出した。
ロナルドはすっと目を細めて構えた警棒を横にないでナイフを打ち払い、凄まじい速さで体を半回転させ男の首に回し蹴りを入れた。男は受けた打撃の勢いで壁に体当たりをして跳ね返り、その場に仰向けに伸びて倒れる。
「この野郎っ!」
一人目があっけなくやられたことで、残りの二人は怒り任せに同時にロナルドに襲いかかった。
左右から挟むように突き出されたナイフ。
ロナルドは瞬時に身をかがめ、男の足元に回し蹴りを入れてひとり目をその場に転倒させると、背後から二人目が突き出したナイフを相手の腕ごと脇の中にするりと引き入れて手首と腕を締め、息つく暇もなく関節に打撃を入れた。
鈍い音と共にあらぬ方向に折れ曲がった手首と肘関節。
「ぎゃああああっ!」
腕を締められた悪党はその激痛に涙を浮かべ、背をのけぞりながら絶叫する。
その隙をついて前を見据えたまま、脇から背後にいる男の腹部めがけて警棒を突き出すと、カハッ……! という短い呼吸と共に男はその場に沈黙した。
背後でドサリと崩れ落ちた男には見向きもせず、ロナルドは次なる標的に立ち向かう。
足をすくわれ転倒した男は怒りで顔を真っ赤にしながら起き上がり、ナイフを片手に構えて器用にくるくると回しながらロナルドを待ち構える。
ロナルドもまた警棒を片手に構え、ゆっくりと男に向かって歩みを進める。その表情は常にマーリナスやアレクに見せるものとは別人のものだった。
柔らかな目元は細められ、鋭い眼光を称える。笑顔を絶やさぬその顔は引き締まり、口元はかたく結ばれる。
栗色の髪が歩みを進めるたびに整った眉をかすめて左右に揺れ動き、その毛先が男の一歩手前の位置で一段と輝いた眼光と共にふわりと浮いた。
「しゃあっ!」
男が動いた。ロナルドは突き出されたナイフを剣戟を鳴らしながら警棒で受け止め、弾いて男の脇腹を打ち抜く。
だが機敏な動きで男はそれをナイフで受け止めて弾き返すと、下半身をひねってロナルドの脇腹に蹴りを繰り出した。
それを身をかがめてかわし、男の足が頭上をかすめて通過したと同時にロナルドは男の軸足を狙って低姿勢で回し蹴りを食らわす。
足もとをすくわれ体勢を崩して倒れこんだ男だったが、とっさに地面に片手をついてなんとか無様な転倒をまぬがれると、低姿勢でさらにナイフを横一直線にないでロナルドに襲いかかった。
それを軽やかに飛び跳ねてかわし、着地と同時に男の首元めがけてロナルドは回し蹴りを入れた。
それをまともにくらい横に飛ばされた男に追撃をかけ、最後に地を蹴って警棒を男の腹部めがけて振り下ろすと、受けた衝撃で下半身は跳ねるように浮き上がり、その後男は泡を吹いてその場に沈黙した。
あっという間に静けさを取り戻した通路で、表情ひとつ変えぬままロナルドはゆっくりと立ち上がり辺りを見渡す。
そこには無様に沈黙する悪党が転がっているが、肝心のバロンの姿は見る影もない。
この迷宮のような遺跡の中で道筋もわからず動き回るのは危険だ。
ベインの後を追いかけてきた道筋はなんとかあたまに入っているものの、この悪党たちを放置して先に進むわけにもいかない。
ロナルドは小さくため息をつくと、探索用に携帯していた縄を腰から外して悪党を一カ所にまとめ一括りに拘束した。
「これでよしと。さて……」
ロナルドが視線を向けたのはバロンが逃げたのとは真逆の方角。真っ暗な闇が奥へ向かって口を開き、この遺跡に侵入した者を飲みこもうとしている。
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