婚約破棄されたから殴りたい~裏切り者の元婚約者を筋肉でごみ屑にするまで~

みやび

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1 突然の婚約破棄

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「ユウナ! 貴様との婚約を破棄する!」

夜会で婚約者が突然婚約破棄をしてきた。
そもそもエスコートすらしなくなってきているのでおかしいと思っていたのだ。
婚約者がエスコートに来ないからや界にも参加できずにいて早3か月。

どうしても不参加にしがたい叔母上の夜会であったのでしぶしぶ一人で来たのだが、そこに来ていた婚約者殿は右手を女性と組みながら、こんなことを言ったのである。
訳が分からない。

「何をおっしゃっているのかしら?」

そもそも婚約とは家と家の契約であり、婚約当事者である私たちに決定権はない。
決定権があるのは私の父と、彼の父だ。私に言われても困るだけだ。
そういう意味で、何を言っているのか聞いたのだが、愚かな彼には伝わらなかったようだった。

「我が愛しのレイにさんざん嫌がらせをして、挙句の果てに殺そうとしたのをとぼけるつもりか!」
「本当に何をおっしゃっているのかしら?」

会話が成り立っていない。
そもそもここ三か月、当家の仕事や中のこと以外で外出なんてできていない。
目の前の馬鹿婚約者に何度手紙を送っても返事はなし。
訪問もなし。
これでは不用意に外出だってできない。
下手に外出して不貞の噂でもたったらたまらないからだ。
もっとも相手はせっせと不貞をしていた様だ。今の姿だけでも十二分に理解できた。
ここまで婚約者殿は頭がおかしかっただろうか。
あまり賢い方ではないとは思っていたが、このように会話が成立しないのは初めてだ。

「お前といると、小賢しいことばかり! 気の休まることはなかった! しかし、レイといて、初めて安らぎを得たのだ!!!」

どうしていいかわからないで困惑していると、彼が一人語りを始める。つまり、馬鹿同士お似合い、ということだろうか。
どう反論しても聞いてもらえなさそうだ。本当に困った。

「貴様のような毒婦は成敗してくれる!!!」
「やっちゃえ!! ラルフ!」
「えっ!?」

馬鹿婚約者はいきなり剣を抜いた。夜会に剣を帯びてくるのはいったい何だろうと思っていたが、本当に抜くとは全く想像していなかった。

「くらえっ!」
「ひいいいっ!!!」

情けない声を出して必死に躱す。切っ先が頬をかすめた。
慌てて立ち上がると、ほほが切れ、血が流れている。
卒倒しそうになるが、この場にいたら本当に殺される。
私は必死にその場から逃げ去るのであった。

「悪逆な魔女を退治したぞ!」
「かっこいいわラルフ!」

騒然とする会場の中、婚約者と不貞相手の楽しげな声だけが聞こえてくるのであった。
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