3 / 10
3 告白してきた従兄弟も裏切り者でしかなく
どうにかこうにか、アーベルジュ領まで逃げ切った。
追手が来ていた様だが、馬を軽装で走らせる私に追いつけなかったようだ。
途中で引き返していったようで、誰かに追いつかれることもなく自宅までたどり着いた。
「お帰り、大変だったね」
「げっ」
そこで待ち構えていたのは、従兄のアンドレア卿だった。
叔父の子供である彼は、王太子の腰ぎんちゃくをしていた。
つまり敵側の人間であり、会いたくない人間だったのに、どうしてここにいて、こんな笑顔でいるのだろう。
父に殺されかねないと思うが。
「相変わらずかわいいが生意気だね」
「お前にかわいいと思われたくないので」
全く空気が読めてないのだろう。これでも見た目がいいからか、女性には非常にモテる奴だ。
だが、叔父上と違い軍事的な才能はまるでなく、また努力もまるでしないし誠意もない彼は一族ではあぶれ者でしかなかった。
せめて王太子の腰ぎんちゃくをして情報を回してくれるかと思っていたが碌な情報を送ってこなかった。
一言で言ったら燃えないゴミである。
「なんだい、せっかく婚約破棄したから祝ってやって、あと嫁にもらってやろうと思ったのに」
「お前の嫁になるなら死んだ方がましですね」
「口では嫌と言いながらも、心はそうじゃないだろう?」
さわやかな笑みでそう言い切るこいつに、殺意しか生まれてこない。
当家がどれだけ追い込まれた状況で、今どれだけやばいのか、わかってないのか。
その原因の一部が、王太子の腰ぎんちゃくであったこいつがちゃんと働かなかったせいだと思うと、とても愛想よくなんてできるわけがなかった。
「せっかくお前の悪口を吹き込んだり、お前を妨害して王太子とお前を別れさせたんだ。もっと感謝してくれていいだろう?」
「! おまえなあああ!!!!」
「げふっ!!」
みぞおちに思わず拳を叩き込んでしまった。
吹き飛び壁にぶつかって倒れる阿呆。
どうやらこいつ、王太子の情報を碌に回さなかったのみならず、別れさせる努力をしていた様だ。
とても許容できる範囲の話ではなかった。
こいつが私に惚れていた、なんてことはないだろう。
単に公国宗家の地位が欲しかっただけなのはまるわかりだ。
叔父上ぐらい能力があれば譲ることを考えたが、この屑では譲りたくても譲れなかったのだ。
しかし、屑でも邪魔ぐらいはできる、というのは学んだ。屑に讒言などできまいと放置したミスである。
この屑の使い道を考えながら、私は父上のところへと向かうのであった。
追手が来ていた様だが、馬を軽装で走らせる私に追いつけなかったようだ。
途中で引き返していったようで、誰かに追いつかれることもなく自宅までたどり着いた。
「お帰り、大変だったね」
「げっ」
そこで待ち構えていたのは、従兄のアンドレア卿だった。
叔父の子供である彼は、王太子の腰ぎんちゃくをしていた。
つまり敵側の人間であり、会いたくない人間だったのに、どうしてここにいて、こんな笑顔でいるのだろう。
父に殺されかねないと思うが。
「相変わらずかわいいが生意気だね」
「お前にかわいいと思われたくないので」
全く空気が読めてないのだろう。これでも見た目がいいからか、女性には非常にモテる奴だ。
だが、叔父上と違い軍事的な才能はまるでなく、また努力もまるでしないし誠意もない彼は一族ではあぶれ者でしかなかった。
せめて王太子の腰ぎんちゃくをして情報を回してくれるかと思っていたが碌な情報を送ってこなかった。
一言で言ったら燃えないゴミである。
「なんだい、せっかく婚約破棄したから祝ってやって、あと嫁にもらってやろうと思ったのに」
「お前の嫁になるなら死んだ方がましですね」
「口では嫌と言いながらも、心はそうじゃないだろう?」
さわやかな笑みでそう言い切るこいつに、殺意しか生まれてこない。
当家がどれだけ追い込まれた状況で、今どれだけやばいのか、わかってないのか。
その原因の一部が、王太子の腰ぎんちゃくであったこいつがちゃんと働かなかったせいだと思うと、とても愛想よくなんてできるわけがなかった。
「せっかくお前の悪口を吹き込んだり、お前を妨害して王太子とお前を別れさせたんだ。もっと感謝してくれていいだろう?」
「! おまえなあああ!!!!」
「げふっ!!」
みぞおちに思わず拳を叩き込んでしまった。
吹き飛び壁にぶつかって倒れる阿呆。
どうやらこいつ、王太子の情報を碌に回さなかったのみならず、別れさせる努力をしていた様だ。
とても許容できる範囲の話ではなかった。
こいつが私に惚れていた、なんてことはないだろう。
単に公国宗家の地位が欲しかっただけなのはまるわかりだ。
叔父上ぐらい能力があれば譲ることを考えたが、この屑では譲りたくても譲れなかったのだ。
しかし、屑でも邪魔ぐらいはできる、というのは学んだ。屑に讒言などできまいと放置したミスである。
この屑の使い道を考えながら、私は父上のところへと向かうのであった。
あなたにおすすめの小説
とある断罪劇の一夜
雪菊
恋愛
公爵令嬢エカテリーナは卒業パーティーで婚約者の第二王子から婚約破棄宣言された。
しかしこれは予定通り。
学園入学時に前世の記憶を取り戻した彼女はこの世界がゲームの世界であり自分が悪役令嬢であることに気づいたのだ。
だから対策もばっちり。準備万端で断罪を迎え撃つ。
現実のものとは一切関係のない架空のお話です。
初投稿作品です。短編予定です。
誤字脱字矛盾などありましたらこっそり教えてください。
【短編】復讐すればいいのに〜婚約破棄のその後のお話〜
真辺わ人
恋愛
平民の女性との間に真実の愛を見つけた王太子は、公爵令嬢に婚約破棄を告げる。
しかし、公爵家と国王の不興を買い、彼は廃太子とされてしまった。
これはその後の彼(元王太子)と彼女(平民少女)のお話です。
数年後に彼女が語る真実とは……?
前中後編の三部構成です。
❇︎ざまぁはありません。
❇︎設定は緩いですので、頭のネジを緩めながらお読みください。
捨てられたなら 〜婚約破棄された私に出来ること〜
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
長年の婚約者だった王太子殿下から婚約破棄を言い渡されたクリスティン。
彼女は婚約破棄を受け入れ、周りも処理に動き出します。
さて、どうなりますでしょうか……
別作品のボツネタ救済です(ヒロインの名前と設定のみ)。
突然のポイント数増加に驚いています。HOTランキングですか?
自分には縁のないものだと思っていたのでびっくりしました。
私の拙い作品をたくさんの方に読んでいただけて嬉しいです。
それに伴い、たくさんの方から感想をいただくようになりました。
ありがとうございます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただけたらと思いますので、中にはいただいたコメントを非公開とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきますし、削除はいたしません。
7/16 最終部がわかりにくいとのご指摘をいただき、訂正しました。
※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。
わたしと婚約破棄? では、一族の力を使って復讐させていただきますね
ともボン
恋愛
伯爵令嬢カスミ・リンドバーグは、第二王太子シグマとの婚約お披露目パーティーで衝撃的な告白をされる。
「カスミ・リンドバーグ! やはりお前とは結婚できない! なのでこの場において、この僕――ガルディア王国の第二王太子であるシグマ・ガルディアによって婚約を破棄する!」
理由は、カスミが東方の血を引く“蛮族女”だから。
さらにシグマは侯爵令嬢シルビアを抱き寄せ、彼女と新たに婚約すると貴族諸侯たちに宣言した。
屈辱に染まる大広間――だが、カスミの黒瞳は涙ではなく、冷ややかな光を宿していた。
「承知しました……それではただいまより伯爵令嬢カスミ・リンドバーグではなく、ガルディア王国お庭番衆の統領の娘――カスミ・クレナイとして応対させていただきます」
カスミが指を鳴らした瞬間、ホール内に潜んでいたカスミの隠密護衛衆が一斉に動き出す。
気がつけばシグマは王城地下牢の中だった。
そこに現れたのは、国王バラモンと第一王太子キース――。
二人はカスミこそ隣国との戦争で王国を勝利へ導いたクレナイ一族の姫であり、シグマの暴挙は王家にとっても許されぬ大罪だとしてシグマとの縁を切った。
それだけではなく、シグマには想像を絶する処罰が下される。
これは婚約破棄から生まれる痛快な逆転劇と新たなラブストーリー。
【完結】婚約破棄した王子と男爵令嬢のその後……は幸せ?……な訳ない!
たろ
恋愛
「エリザベス、君との婚約を破棄する」
「どうしてそんな事を言うのですか?わたしが何をしたと言うのでしょう」
「君は僕の愛するイライザに対して嫌がらせをしただろう、そんな意地の悪い君のことは愛せないし結婚など出来ない」
「……愛せない……わかりました。殿下……の言葉を……受け入れます」
なんで君がそんな悲しそうな顔をするんだ?
この話は婚約破棄をして、父親である陛下に嘘で固めて公爵令嬢のエリザベスを貶めたと怒られて
「そんなにその男爵令嬢が好きなら王族をやめて男爵に婿に行け」と言われ、廃嫡される王子のその後のお話です。
頭脳明晰、眉目秀麗、みんなが振り向くかっこいい殿下……なのにエリザベスの前では残念な男。
★軽い感じのお話です
そして、殿下がひたすら残念です
広ーい気持ちで読んでいただけたらと思います
【完結】婚約破棄、その後の話を誰も知らない
あめとおと
恋愛
奇跡によって病を癒す存在――聖女。
王国は長年、その力にすべてを委ねてきた。
だがある日、
誰の目にも明らかな「失敗」が起きる。
奇跡は、止まった。
城は動揺し、事実を隠し、
責任を聖女ひとりに押しつけようとする。
民は疑い、祈りは静かに現実へと向かっていった。
一方、かつて「悪役」として追放された令嬢は、
奇跡が失われる“その日”に備え、
治癒に頼らない世界を着々と整えていた。
聖女は象徴となり、城は主導権を失う。
奇跡に縋った者たちは、
何も奪われず、ただ立場を失った。
選ばれなかった者が、世界を救っただけの話。
――これは、
聖女でも、英雄でもない
「悪役令嬢」が勝ち残る物語。
(完結)あなたが婚約破棄とおっしゃったのですよ?
青空一夏
恋愛
スワンはチャーリー王子殿下の婚約者。
チャーリー王子殿下は冴えない容姿の伯爵令嬢にすぎないスワンをぞんざいに扱い、ついには婚約破棄を言い渡す。
しかし、チャーリー王子殿下は知らなかった。それは……
これは、身の程知らずな王子がギャフンと言わされる物語です。コメディー調になる予定で
す。過度な残酷描写はしません(多分(•́ε•̀;ก)💦)
それぞれの登場人物視点から話が展開していく方式です。
異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定ご都合主義。タグ途中で変更追加の可能性あり。
わたしを捨てた騎士様の末路
夜桜
恋愛
令嬢エレナは、騎士フレンと婚約を交わしていた。
ある日、フレンはエレナに婚約破棄を言い渡す。その意外な理由にエレナは冷静に対処した。フレンの行動は全て筒抜けだったのだ。
※連載