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第三回公演
1、三番目の女
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ああ、まただ。
少々カルトな事件を扱ったニュース映像
アキバのメイド喫茶特集
浅草ぶらり散歩企画
バラエティでやるくだらないゲームのルール説明VTR
時短貧乏レシピ紹介
来週放送の生放送歌番組の豪華出演者を一挙紹介
大活躍したW杯選手、オリンピック選手を称える特別番組
知られざるタカラヅカの裏側大公開
日本が誇る国防力の凄さ
そんなものがテレビから流れ、それを裏から支えるかのようにアニメのサントラが流れてくる。
「うわー、これってなんのアニメの曲だっけ」
そんな答え合わせに忙しくて、内容が一切入ってこないよ。
「入院?」
「そう」
遥心(はるこ)が友人の蘭ちゃんにその話を聞かされたのは、大学近くのラーメン屋に行った時だ。
豚の三枚肉を乗せた大層旨くて肉々しい担々麺があると聞き、二人で食べに行ったのだが、そこで蘭ちゃんは親戚の叔父さんが入院したらしいという話をしだした。
「ちょっと体壊して病院行ったら数値がおかしいです!みたいに言われて、そんで即入院。そしたらなんか検査に結構時間かかるみたいで。検査入院?まあ、病院側も客逃がしたくないんじゃない?」
遠方に住む叔父さんは両親、蘭の祖父母と実家暮らしだったが今はその両親とも他界し、今は実家で独り暮らしらしい。その叔父さんの見舞いや簡単な身の回りの世話を蘭が任されたという。
唯一時間がある脛かじり学生ということで白羽の矢が立ったそうだが、
「大変だね」
「実はそうでもなくて」
労うように言う遥心に、蘭ちゃんは蓮華で旨辛スープを飲みながら言う。
「何?」
「行ったら世話代でお金出すって。電車賃コミコミで。あと叔父さんち繁華街の近くだからさ、帰りちょっくら遊んで帰ろうかなと」
「なんだよそれぇー」
どうやら見舞いにかこつけて遊びに行くらしい。楽しむ気満々だ。
遥心が心配して損したという顔をする。
「元々叔父さんも大したことないって言うし。それぐらいの旨みでもなきゃ親戚の見舞いなんて行かないよ」
「まあねえ…。お見舞いって朝イチとかで行くの?」
「ううん。ヒマな爺さん婆さん連中が朝早く来て混むから親が午後行けって。だから昼前に家出て、昼過ぎに病院着いたらパジャマとかいるもの聞いて買ってくるもの聞いて、買ってくるもの買って、叔父さんち行って持ってくるもの持ってきて、また病院戻ってお見舞いして、帰って、そこからパーリーターイム」
そこから晴れて自由時間の始まりらしい。
「でも昼過ぎからだと、よくて夕方じゃないの?」
「うん」
「繁華街で遊べる?そもそも何すんの?」
言われてそうかと蘭ちゃんの箸が止まる。
一人で繁華街で何をするのか。
バーで酒でも飲むのか。ホストクラブにでも行くか。
昼キャバか。
しかしそのどれもが違う気がする。
繁華街という言葉に浮ついていたが、夜より少し前の時間からとなると遊び方がわからない。
「そっかあー。夕方……、ああ、じゃあ ストリップいこっかな」
「え…」
挙げられたプランに今度は遥心の箸が止まる。女子大生としてはあまりにもなプランに。
「ストリップなら昼過ぎからでもやってるでしょ?」
「まあでも、劇場によるかと。っていうかあるの?ストリップ劇場なんて」
「確かあるって聞いたような。お母さんが高校まで実家いたからさ。家から繁華街までがかなり近いから行くなよーってお父さん…、おじいちゃんに言われてたって。お水に引き込まれたりストリップ小屋に売られたりするぞーって」
「……それ何年前の話?」
「20年…、じゃないか。もっとか」
自分の今の歳から蘭ちゃんが逆算する。少なくとも戦後ではあるはずだ。
「まだあるの?その、売り飛ばされるストリップ小屋」
「無いのかなあ」
言いながら蘭ちゃんがケータイを出して調べてみると、
「おっ、あったあった。結構あるみたいよ?」
とりあえず遊べそうな場所はあるようだ。
「でもストリップって時間うまく使わないと結構退屈だよ?」
「なにそれ。教えてよ先輩」
ストリップに関しては自分よりだいぶ先輩な遥心に、蘭ちゃんが楽しそうに教えを請い、
「うーん…。とりあえずケータイがダメだからぁ」
それに応じる遥心も満更ではなかった。
そして、若い女の子二人はラーメン屋の片隅でストリップ談義に花を咲かせた。
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「うわー、これってなんのアニメの曲だっけ」
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「入院?」
「そう」
遥心(はるこ)が友人の蘭ちゃんにその話を聞かされたのは、大学近くのラーメン屋に行った時だ。
豚の三枚肉を乗せた大層旨くて肉々しい担々麺があると聞き、二人で食べに行ったのだが、そこで蘭ちゃんは親戚の叔父さんが入院したらしいという話をしだした。
「ちょっと体壊して病院行ったら数値がおかしいです!みたいに言われて、そんで即入院。そしたらなんか検査に結構時間かかるみたいで。検査入院?まあ、病院側も客逃がしたくないんじゃない?」
遠方に住む叔父さんは両親、蘭の祖父母と実家暮らしだったが今はその両親とも他界し、今は実家で独り暮らしらしい。その叔父さんの見舞いや簡単な身の回りの世話を蘭が任されたという。
唯一時間がある脛かじり学生ということで白羽の矢が立ったそうだが、
「大変だね」
「実はそうでもなくて」
労うように言う遥心に、蘭ちゃんは蓮華で旨辛スープを飲みながら言う。
「何?」
「行ったら世話代でお金出すって。電車賃コミコミで。あと叔父さんち繁華街の近くだからさ、帰りちょっくら遊んで帰ろうかなと」
「なんだよそれぇー」
どうやら見舞いにかこつけて遊びに行くらしい。楽しむ気満々だ。
遥心が心配して損したという顔をする。
「元々叔父さんも大したことないって言うし。それぐらいの旨みでもなきゃ親戚の見舞いなんて行かないよ」
「まあねえ…。お見舞いって朝イチとかで行くの?」
「ううん。ヒマな爺さん婆さん連中が朝早く来て混むから親が午後行けって。だから昼前に家出て、昼過ぎに病院着いたらパジャマとかいるもの聞いて買ってくるもの聞いて、買ってくるもの買って、叔父さんち行って持ってくるもの持ってきて、また病院戻ってお見舞いして、帰って、そこからパーリーターイム」
そこから晴れて自由時間の始まりらしい。
「でも昼過ぎからだと、よくて夕方じゃないの?」
「うん」
「繁華街で遊べる?そもそも何すんの?」
言われてそうかと蘭ちゃんの箸が止まる。
一人で繁華街で何をするのか。
バーで酒でも飲むのか。ホストクラブにでも行くか。
昼キャバか。
しかしそのどれもが違う気がする。
繁華街という言葉に浮ついていたが、夜より少し前の時間からとなると遊び方がわからない。
「そっかあー。夕方……、ああ、じゃあ ストリップいこっかな」
「え…」
挙げられたプランに今度は遥心の箸が止まる。女子大生としてはあまりにもなプランに。
「ストリップなら昼過ぎからでもやってるでしょ?」
「まあでも、劇場によるかと。っていうかあるの?ストリップ劇場なんて」
「確かあるって聞いたような。お母さんが高校まで実家いたからさ。家から繁華街までがかなり近いから行くなよーってお父さん…、おじいちゃんに言われてたって。お水に引き込まれたりストリップ小屋に売られたりするぞーって」
「……それ何年前の話?」
「20年…、じゃないか。もっとか」
自分の今の歳から蘭ちゃんが逆算する。少なくとも戦後ではあるはずだ。
「まだあるの?その、売り飛ばされるストリップ小屋」
「無いのかなあ」
言いながら蘭ちゃんがケータイを出して調べてみると、
「おっ、あったあった。結構あるみたいよ?」
とりあえず遊べそうな場所はあるようだ。
「でもストリップって時間うまく使わないと結構退屈だよ?」
「なにそれ。教えてよ先輩」
ストリップに関しては自分よりだいぶ先輩な遥心に、蘭ちゃんが楽しそうに教えを請い、
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