昭和90年代のストリップ劇場は、2000年代アニソンかかりまくり。

坪庭 芝特訓

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20、劇場に辿り着くまでが楽しい

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 土日は混む、初日、楽日は混むので二人は平日にストリップ劇場へ行くことになった。
 お出かけなので詩帆は普段通り、本来の赤ちゃん的な可愛さを悟られないよう美人メイクで偽装している。
 更にデカイ女優グラサンを掛けて武装してるので美人度が余計に上がっている。


「あい、どおじょ」
「いらないって」

 電車の中で、詩帆がいつものように噛みかけのガムを遥心に食べさせようとし、遥心はそれをいつものように断るという、二人だけで通じるコミュニケーションを交わしたりしながら目的地に着いた。



「おいっ、はぐれないように手ぇつなごうZE!」
「なんでテンション高めなんだよ」

 一足先に改札を出た詩帆が、男前な口調でぐっと手を差し出し、はいはいと差し出された手を遥心が掴む。傍から見ると散歩に俄然意欲的なキャバリアと、あまりそうではない飼い主のようでもある。

「道、どっち?」
「《駅を出たら目の前に交番が見えるので、》」 

 遥心がケータイで劇場のサイトにある《最寄駅からの道順》を読みあげると、キャバリアは手を繋いだままどんどん歩き出す。

「《二つめの信号が見えたら、》」
「あれじゃない?」

 詩帆が前方を指差す。
 古い映画館をそのまま再利用した様な外観。入り口の上には細長い提灯がいくつも飾られていた。ストリップ劇場、DX飛翔だ。

「わーい」

 詩帆が手を繋いだまま駆け出す。
 入口付近の外壁に踊り子さん達の宣材写真を使ったポスターが貼られていた。

「へえーっ。これが本日の出演者さん?じゃああたし、テンキ?アマキ?みゅうちゃん推し」
「じゃあ私、希美霞ちゃん」

 宣材写真だけを見ながら、女子二人が手を繋いだままどの踊り子さんが可愛いかを言い合う。

「きみかちゃん、修正してるよ?」
「いいんだよ、別に」

 そんなことを言いながらようやく入口のドアを開けた。
 ロビーにはタバコを吸っている客が二、三人程度。
 入ってきた二人をほんのちょっとだけ珍しそうに見てくる。

「すいません、カップル一組」

 詩帆が薄い色のガラスが張られた窓口に向かって言うが、

「ちょっ!すいません女性二人。普通に女二人の方が安いから」
「あ、ほんとだ」

 後半部分だけを遥心が小声で伝えると、詩帆が料金表を見る。カップルは6千円、女性は2500円也だった。

「楽しんでってね。今からだと二番目の踊り子さんだから」

 支払いを済ませると若い女性客二人に従業員が愛想よく言い、詩帆がそれに、はーい、と愛想よく答えた。 
 元気で愛想のいい女の子客を、タバコを吸っていた男性客が不躾にじろじろと見てくる。詩帆はそれにも会釈で答えた。その間に遥心はロビーに置いてある香盤表を一枚貰う。

「女の子客って珍しいの?」

 グラサンを外しながら詩帆が遥心に訊く。

「さあ。見たことないなあ」
「じゃあナンパ出来ないねー」
「えっ?」

 二人はロビーから地下へと向かう階段を下りる。階段は狭く、曲がりくねり、遥心は消防法をきちんとクリアしているのか気になった。
 ワクワクを隠さないまま詩帆が場内へのドアを開ける。重厚に黒光りしているわりに意外とスッとドアが開き、詩帆がつんのめった。


 
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