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33、やっとおもしろくなってきた、ぐらい
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ロビーから戻ると、ちょうど次の踊り子さんのショーが始まったところだった。
聴こえてくるのは90年代風の打ち込みキラキラアイドルソング。
おおっ、と詩帆のテンションがわかりやすいほどに上がる。
だが、遥心はわからない。
流れてきたのは、劇場版アニメ ロキソニンと花束 挿入歌『恋はなんでアラート機能』だった。
詩帆がサビの振りを小さく真似する。
黄色と黒の縞々チューブトップに、淡いシャーベットピンクのフリルスカート。
触覚のついたカチューシャと、足元は黒のショートブーツ。
ミツバチを摸したブリブリな衣装で、踊り子さんが本舞台で滑らかに踊る。
意外と激しい振付だが、無尽蔵な体力で息切れもせず笑顔で踊りきった。
続いて流れてきたのは、PCゲーム 壁の花の少女達 挿入歌『一度で決めてネ!』だった。
マニアックな名曲だが、これは流石に遥心でもわかった。
おまけに歌手が上手過ぎなテレビアニメ版ではない、たどたどしくも煌めきのあるオリジナル版を持ってきた。
キラキラしたポップなメロディと鼻にかかった歌声に、セクシーさすら伴ってクールに絡むギター、90年代末期に作られたアイドル歌謡曲。
同じ曲でもゲーム版は90年代が舞台で、アニメ版は80年代末期を舞台にしているのに、今流れているゲーム版の方が80年代の色が強く出ているのが遥心は不思議だった。
ダンスを身体で感じ、曲を耳で感じ、思考停止した脳で遥心がステージを見る。
全体的に余裕を感じるステージだった。
軽やかに舞い、仕事、パフォーマーとして自分のやるべきことがわかっていて、曲に漂う音符を弾くような見ていて心地いいステージだった。
曲と衣装は可愛らしいのに、ダンスは爽快で、ステップの間に時折見せる表情もきりりと決まっている。
前の踊り子さんのレベルがあまりにも残念だったからかもしれないが、入場料分くらいの価値はあった。
ベッドショーで踊り子さんが衣装を脱いでいくと、身体は細く白いけれど、日本人にしては脂質の多そうなクリーミィな肌が露になる。しかし肌理の細やかさは日本人のそれだった。
「ハーフかな」
詩帆がぽつりと呟く。
「みたいだね」
日本人以外の女性の裸を見るのはなんだか悪いことをしているような気がして、遥心は妙に落ち着かなかった。
「さっきの、知ってる曲?」
撮影ショーが始まると、自分がわからなかった一曲目について遥心が詩帆に訊いてきた。場内にはアニメ 黒幕は別にいる。 エンディング曲『フローズン・シップ』が流れていた。
ということは使った曲が偶然アニソンだった、のではなくこの踊り子さんもガチなのかと予想しながら。
「ロキソニンと花束ってアニメに出てくる、架空のアイドルグループが歌う曲」
『恋はなんでアラート機能』は、冒頭でヒロインの女の子が自分の所属するアイドルグループが解散発表をする時に流れてくる曲だと詩帆が教えてくれる。
正確には解散発表をし、ヒロインが今までの活動、主にデビュー曲発売のインストアライブのことを思い出すシーンだ。
「確かライブシーンって回想シーン交ぜながら飛び飛びで流れるから、最初とサビとくらいしかオフィシャルの振り付けってないはずなんだけど」
詩帆が記憶を手繰り寄せながら言う。
アニメで見たシーンだけを残して、あとは踊り子さんがオリジナルで考えたのかもしれない。
だが遥心はそれがどんなアニメなのかわからない。
「どんな内容?」
「なんかアイドル辞めた子達のその後を追うドキュメンタリー風のやつ。5年後、10年後、20年後みたいな」
「ああっ!私のトラウマアニメじゃん!なんか会社立ち上げたらマネージャーが金持ち逃げしたり、結婚したのに息子が将来問題起こしたり」
「そうそうっ!」
「一番人気ない子がヒロインで、辞めた後語学留学して、生き方解んなくなって」
そこで、なにかを思い出したように遥心が言葉を切る。
「ストリップ劇場でストリッパーやってたら、帰り道で客に集団レイプされるやつ」
詩帆がひゅっと息を飲んだ。
「……あったわそんなシーン」
詩帆と遥心が揃って舞台の方を見る。
おはようございます、と元気な声で踊り子さんが撮影客に対応していた。
こんな平成の世において、おまけに表向きだけは平和な日本でそんな狼藉を働く輩は居ないだろうと思うが、まさか、という視線で遥心が客を見回す。
「曲だけ聞いて選んだのかな」
遥心が小さな声で詩帆に問う。
「わかんない。でも内容知ってて選曲したんなら、」
客の指示を受け、踊り子さんが舞台端に置いた椅子の上で大きく生殖器を開き、にこやかに笑う。
「対したタマだよ」
オープンショーは件のアニメで、事件が起きる直前のショーでヒロインが着ていた衣装にとてもよく似ていた。
聴こえてくるのは90年代風の打ち込みキラキラアイドルソング。
おおっ、と詩帆のテンションがわかりやすいほどに上がる。
だが、遥心はわからない。
流れてきたのは、劇場版アニメ ロキソニンと花束 挿入歌『恋はなんでアラート機能』だった。
詩帆がサビの振りを小さく真似する。
黄色と黒の縞々チューブトップに、淡いシャーベットピンクのフリルスカート。
触覚のついたカチューシャと、足元は黒のショートブーツ。
ミツバチを摸したブリブリな衣装で、踊り子さんが本舞台で滑らかに踊る。
意外と激しい振付だが、無尽蔵な体力で息切れもせず笑顔で踊りきった。
続いて流れてきたのは、PCゲーム 壁の花の少女達 挿入歌『一度で決めてネ!』だった。
マニアックな名曲だが、これは流石に遥心でもわかった。
おまけに歌手が上手過ぎなテレビアニメ版ではない、たどたどしくも煌めきのあるオリジナル版を持ってきた。
キラキラしたポップなメロディと鼻にかかった歌声に、セクシーさすら伴ってクールに絡むギター、90年代末期に作られたアイドル歌謡曲。
同じ曲でもゲーム版は90年代が舞台で、アニメ版は80年代末期を舞台にしているのに、今流れているゲーム版の方が80年代の色が強く出ているのが遥心は不思議だった。
ダンスを身体で感じ、曲を耳で感じ、思考停止した脳で遥心がステージを見る。
全体的に余裕を感じるステージだった。
軽やかに舞い、仕事、パフォーマーとして自分のやるべきことがわかっていて、曲に漂う音符を弾くような見ていて心地いいステージだった。
曲と衣装は可愛らしいのに、ダンスは爽快で、ステップの間に時折見せる表情もきりりと決まっている。
前の踊り子さんのレベルがあまりにも残念だったからかもしれないが、入場料分くらいの価値はあった。
ベッドショーで踊り子さんが衣装を脱いでいくと、身体は細く白いけれど、日本人にしては脂質の多そうなクリーミィな肌が露になる。しかし肌理の細やかさは日本人のそれだった。
「ハーフかな」
詩帆がぽつりと呟く。
「みたいだね」
日本人以外の女性の裸を見るのはなんだか悪いことをしているような気がして、遥心は妙に落ち着かなかった。
「さっきの、知ってる曲?」
撮影ショーが始まると、自分がわからなかった一曲目について遥心が詩帆に訊いてきた。場内にはアニメ 黒幕は別にいる。 エンディング曲『フローズン・シップ』が流れていた。
ということは使った曲が偶然アニソンだった、のではなくこの踊り子さんもガチなのかと予想しながら。
「ロキソニンと花束ってアニメに出てくる、架空のアイドルグループが歌う曲」
『恋はなんでアラート機能』は、冒頭でヒロインの女の子が自分の所属するアイドルグループが解散発表をする時に流れてくる曲だと詩帆が教えてくれる。
正確には解散発表をし、ヒロインが今までの活動、主にデビュー曲発売のインストアライブのことを思い出すシーンだ。
「確かライブシーンって回想シーン交ぜながら飛び飛びで流れるから、最初とサビとくらいしかオフィシャルの振り付けってないはずなんだけど」
詩帆が記憶を手繰り寄せながら言う。
アニメで見たシーンだけを残して、あとは踊り子さんがオリジナルで考えたのかもしれない。
だが遥心はそれがどんなアニメなのかわからない。
「どんな内容?」
「なんかアイドル辞めた子達のその後を追うドキュメンタリー風のやつ。5年後、10年後、20年後みたいな」
「ああっ!私のトラウマアニメじゃん!なんか会社立ち上げたらマネージャーが金持ち逃げしたり、結婚したのに息子が将来問題起こしたり」
「そうそうっ!」
「一番人気ない子がヒロインで、辞めた後語学留学して、生き方解んなくなって」
そこで、なにかを思い出したように遥心が言葉を切る。
「ストリップ劇場でストリッパーやってたら、帰り道で客に集団レイプされるやつ」
詩帆がひゅっと息を飲んだ。
「……あったわそんなシーン」
詩帆と遥心が揃って舞台の方を見る。
おはようございます、と元気な声で踊り子さんが撮影客に対応していた。
こんな平成の世において、おまけに表向きだけは平和な日本でそんな狼藉を働く輩は居ないだろうと思うが、まさか、という視線で遥心が客を見回す。
「曲だけ聞いて選んだのかな」
遥心が小さな声で詩帆に問う。
「わかんない。でも内容知ってて選曲したんなら、」
客の指示を受け、踊り子さんが舞台端に置いた椅子の上で大きく生殖器を開き、にこやかに笑う。
「対したタマだよ」
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