引きこもりの僕がある日突然勇者になった理由

勇者覚醒

目的に近づくために

第2世代。それは才能の開花がどこまで行けるか。というのの第二世代だ。僕達のような今いるメンバーの才能は第一世代で、その才能はひとつのものだけに留まり、時間も限りなく一瞬だ。だが、そうじゃないのが第二世代。才能がふたつまで開花する事があり、時間も第一世代とは比べ物にならないほど長くなっている。
第二世代であれば、5分ほど才能を発揮出来るだろう。仮に、世界を滅ぼす技術を作るほどの天才ならば、五分もあれば世界を滅ぼす兵器の設計図を脳内に作り上げることが出来るだろう。もし空間認識能力の高い人間なら、建物の真ん中に立てばその場所の図形を全て把握しきることが出来るだろう。

だが、もちろんデメリットも存在する。それが、寿命の短さだ。
その才能の引き換えに、平均寿命は四十歳までと言われている。だが、それも才能を衰退させた場合、の話だ。もし、才能をずっと維持し続けている人間ならば……三十歳など迎えられないだろう。早すぎる死は、次の世代の才能のために死んでいく。いずれ、春斗さんのオリジナルの才能を超えるほどに強大で、危険なものを持つ人間が現れる。

「美雨さん、あくまで仮定ですが……」
「はい」
「もしーーあいつらの狙いが僕達を殺すことによる強制的な第二世代の育成……だとしたらどうしましょうか？」
「それは……恐ろしく笑えない話ですね……」

急いで事務所に向かう車の中で、出来るだけの可能性についての考慮をして行く。そうすることで、少なからずあいつらの目的に近づけるようにしておくのだ。深読みがすぎる……かもしれないが、それでも大事な工程に変わりはない。

「私たちが死ねば、第二世代が完全に頭角を表すでしょう。そして、第二世代を乗り越えた第三世代……そこまで言ったのなら、人類の進化は目前です」
「それが……目的だとしたらーー」

もし、彼らの目的が僕らの抹殺、そして第二世代の子供たちを集め、僕達の暗殺の後に殺すものだとしたらーー

「そうなれば日本は第三世代の才能を所有することになります。そうなればーー春斗さんの見ていた最悪のシチュエーションになるでしょうね」

第三世代は才能の時間が第一世代と近い代わりに、3つ才能が開花する可能性がある。そうなった場合、それはもう人間ではない。例えば、人間が動物並みの嗅覚と聴覚。そして視力を得たら。それはきっと人間の手に余るだろう。だが、それを利用できるとしたら。それは恐ろしいものだろう。僕達第一世代は既に不可能だが、第二世代の子供たちを軍事利用のために拘束し、その遺伝子を強制的に軍に残せたなら。……第三世代以降は完全に国の権力化に置かれ、それはーー

いずれ世界を滅ぼす最強の災害となり自らを殺すだろう。そうならないために、僕達はーー