引きこもりの僕がある日突然勇者になった理由

ジャンマル

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勇者覚醒

一時の休息は大事である

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外は既に日が落ち、真っ暗になっていた。街の灯りを照らす街灯を辿りながら、美雨さんについていく。恐らく、向かう先は岬の方だろうが……
何故そんな場所へ行くのかはわからないが。何か意図があるんだろうな、ということは確かだった。

「私は春斗さんのさんに拾われた……っていうのは言いましたよね?」
「うん。聞いたよ」
「その時、私はここに連れてこられました」

彼女は戦争で家族が死に、晴ちゃんとふたりで路頭に迷った時に春斗さんに拾われた、という。
そして、それからすぐに戦争は集結した、とも。当時は小学2年生くらいの年齢だろうか。晴ちゃんも幼稚園くらいの年齢だろうし、幼すぎる彼女らに両親の死は鮮明に焼き付いただろう……だが、同時に、春斗さんに信頼を寄せていた、というのもよく分かる。親がいない事実を知ってもなお、春斗さんが育ての親だというのは変わらない。

「私を助けてくれた春斗さんを私は信用してます。……だから、私を誘拐するように頼んだんです」
「でも……何故?」

海を眺めながら、彼女は寂しげな顔で続ける。家族同然の人間が死んでしまったのだ。無理もないだろう……

「春斗さんに少しでも恩を返したかったんです。私たちが結束さえすれば、春斗さんの理想の計画が実行出来ましたから……」
「理想の……計画?」
「まあ、等の春斗さんが居ないんじゃ机上の空論、になっちゃいますけどね」

彼の理想はきっと、起こりうる、いやいずれ起きてしまう第三次大戦の回避を促す計画だろう。現に、国家組織が動いてる以上、僕達は既に命を狙われているし、実験道具にされるかもしれない。この状況下を春斗さんは想定していたし、これ以上の最悪の事態を回避するために死ぬことを望んだ……
だけど、なんだ、この違和感は……? あの時、七瀬さんは春斗さんの指示ではなくーー

「……美雨さん。急いで戻ろう」
「えっ……?」
「晴ちゃんはまだ才能を開花させてないんだよね?」
「え、ええ……あっ……」
「エルザさんと半蔵は今出払ってる! ここを狙われたら……!!」

晴ちゃんにも確かに才能を開花させる条件があるはずだし、妹だから、という理由で晴ちゃんを協会に籍を置かせないはずだった。このタイミングまで才能を開花させてないのならーー春斗さんにとって晴ちゃんが切り札になり得るものだった可能性もある。
もし、それをあいつらが知っているのなら……!こちらから何も動けない以上、あいつらが狙うには絶好の機会、ということなのか……!!

「ごめんなさい、こんなに離れてしまって!」
「美雨さんは悪くない、急いで!」

今狙われたらーー! その最悪のシナリオだけが脳裏に過ぎる。晴ちゃんは年齢的に……第2世代の可能性があるんだ……!!
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