引きこもりの僕がある日突然勇者になった理由

ジャンマル

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勇者覚醒

休暇

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 勇者たちに与えられた任務は、休暇。まだ迂闊に出れない上に、敵の規模もわからない。しばらく半蔵さんとエルザさんが調査の結果をまとめられる迄、小休止、ということだった。迂闊に動けば、人が死ぬだろう。少なくとも、七瀬さんが向こうにいる、というのはこちらの対策は万全、と考えた方がいい。あの広すぎる視野から逃れるのは不可能だし、なんだったら視野だけではなく、耳もいい。だからこそ逃れられないし、逃さないだろう。
 休暇を狙って殺しに来るかもしれないし、そうじゃないかもしれない。様々な意見や考え方が交わり、より確実な作戦の考案を僕達は求めた。

「お前の意見はどうだ? ちょっとでいい、才能を使ってでも教えてくれ」
「……まだ、しばらくは無理でしょうね」
「そうか……なら、だな」

 そう言うと、エルザさんが用意したのは、何やら診断セットのようなものだった。紙とペン、それを渡され、アンケートに答えろ。そう言われた。
 だけど、このタイミングで何故こんなものを……?

「やればわかるさ」

 とだけ言われ、恐る恐るやってみる。
 すると、直ぐにその意味を知った。これは、自分自身の才能をより深く自覚することで、さらにコントロール出来るようにするものだ、と。恐らく、春斗さんの残したものだろう。彼は才能の暴走を恐れこういうものを作っていたのだろう。
 アンケートは、自分自身に刺さるものばかりだった。

 つい最近トラウマになるようなものはあったか? とか、つい最近自分で気づいた変化はあるか? 等だ。
 トラウマといえば母親や春斗さんの事だし、気づいた変化は自分の才能の存在やそれのタイミングがいつ来るか、等だろう。
 アンケートに答え終わると、エルザさんは既に調査に出かけていた。

「伊勢谷さん。しばらくは事務所で自由にしててください」
「え?」
「春斗さんがいざと言う時に備えてあなたに残したものがありますから」

 そう言って、しばらくは休暇が取れることになった。休暇とは言っても、常に臨戦態勢は崩しては行けないし、いつどう行動できてもいいようにする緊張感はある。それでも、せっかくの休暇を無駄にする訳には行かない。

「休暇は心のケアです。大事な任務なんですよ」
「ありがと、晴ちゃん」
「伊勢谷さん……あの、いいですか?」

 そう言うと美雨さんは晴にあまり聞かれたくないので。と、社長室に僕を連れていった。
 このシチュエーションは……まさかな……
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