引きこもりの僕がある日突然勇者になった理由。メモリーズ

ジャンマル

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引きこもりの僕がある日突然勇者になった理由。(NEXT)

シェイクスピア

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 見覚えのあるドア。社長室前のドアだ。
「……後はあなたが」
 そう、小さい声で秘書子(?)は、言って、仕事にもど……あれ、戻ったのか? 戻ったんだろう。
「さあ、社長が待っているな」
 コンコン。と、ドアをノックする。
 どうぞー。と、聞こえてきた後、ドアノブを回し、社長室に入る。
「やあ! 久しぶりだね。伊勢谷君」
 覚えている。確かに、あの時助けたECO社の社長さんだ。
「久しぶりです。社長」
 そう言うと、まあ座ってくれ。と、部屋の真ん中に設置されている、ソファに座らせられた。
「さて、伊勢谷君。確か、施設を作りたいと思っているんだっけ?」
「ええ。貧しい子供たちを援助する施設……そんな施設です」
「いいじゃないか。それで、その施設開設、うちでやらせてくれないか?」
 まあ、こうなるのは予想できてた。それに、ECO社はあの後、ゲーム会社として残りつつも、住宅の建設や、日曜グッズの開発など。色々なメディアに積極的に取り組む会社に切り替わったと聞いてはいた。まさか、こんな形でお礼をされるとは。
「もちろん。やってくださるのなら、大歓迎です」
 そういうと、社長は嬉しそうに、早速なんだけども――
 と、施設をどういったものにするのか。の話が始まった。でも、作業が進んでいくうちに、どうしても、ハイネさんに言われた言葉を思い出してしまう。
 分岐。それは確かに存在する。それは、自分が経験したことだし、よくわかっている。もちろん、だからこそ、僕の行動は慎重になってしまっていた。間違えた行動をしても、正しい行動をしても、そこから分岐が始まってしまう。それを知ってしまっているから。
「どうしたんです? 浮かない顔をして」
「あ、いえ。少し気になることがあって」
「そうですか。でも、あまり、無理をなさらずに」
 そう言われ、少し肩の力が抜けた気がする。今はこちらの作業に集中しよう。子供たちが、未来をなくさないように――

 その後、施設建設への作業はどんどん進んでいった。施設のデザインなど、難関な場所もあったが、それも乗り越えて。そして、施設の建設をECO社に託し、僕は千葉を目指すことにする。運のいいことに、千葉までは車を出してくれるといってくれた。帰りはどうするんですか? と聞かれたが、帰るつもりはない。全国を回って子供たちを助けて歩く。と、伝えてきた。
 もちろん、車はさっき案内してくれた執事さんの車だ。
 居心地が良かったからか、ためらいもなく乗った。
「さて、千葉までとは言いましたが、どこまで行きましょうか?」
 僕は、父さんの手紙に書かれていた住所を見せる。「かしこまりました」と、車を出発させる。もうすぐ、協力者が。
 車の中で、あまり会話はなかったが、僕は車の中で、再びハイネさんの言葉について考え込んでしまっていた。心配してくれているのか、ちょくちょくサービスエリアで止まって、リラックスしてください。と、そこの一押しの食べ物などを渡された。この執事、すごい。こんな執事が欲しかった人生だった……

 だが、東京のとあるサービスエリアに止まった時に、彼から再び質問をされる。
「そう言えば、ジャンヌダルク。知ってます?」
「ええ……知ってるもなにも、嫌な思い出しかないですけどね」
「……ジャンヌの遺産ですか」
 何故、そこまで知っている。僕は、少し彼を疑い始めた。遺産の事は、一部の人間しか知らないはずだ。だからこそ、色々な組織内で取り合いが発生する。まさか、この男もどこかの組織の……?
「どうしても思い出せない人がいるんですよね。その人は、いつもいつも、いいところで騙すような、そんな人物だった……気がします」
 少し、心当たりがあった。でも、僕にしかその記憶はない。
「もしかして、あなた政府の人間だった……とか?」
「よくわかりましたね。政府直属の特殊部隊の一員だったんです」
 ……なら、やはりケビンの事だろう。
「三国エルザ。知ってますよね? 元気にしてますか?」
 ああ。そう言えば、三国さんもケビンの部隊の一員だったな。
「ええ。今は、彼女にすべて任せてしまっていますけどね」
「そうですか……よかった」
 そう言うと彼と、三国さんがまだ部隊の人間だった時の写真を見せてくれた。その写真は、真ん中に『誰かが居たような』場所があった。おそらく、ここには元々ケビンが移っていたんだろう。
「ここに、誰か大事な人が居たような気がするんです」
 その人は僕が消しました。なんて、言えるはずもない。言ったら、確実に敵をとられそうだし。
「もしかして、エルザは知ってたりするかなー。と思ったんですけどね」
「はは……多分、彼女もあなたと同じことを思ってるんじゃないですか?」
 ケビンの事は、そっとしておくことにした。この世界線にはもうない人間の記憶が戻ったりなんてしたら、何が起こるか。
「おっと、すみません。私情を話してしまって」
「別に構いませんよ」
 彼の話は、興味を持てた。僕が今までしてきたことと、密接な関係があったから。
「そうそう、東京のこの辺りなんですけどね? この辺に、シェイクスピアは住んでたらしいですよ」
 住んでた? 彼は、外国の作家じゃないか?
「シェイクスピアって言うのは、彼の名前を外国に行った際に英語読みにして、一部を合わせたものらしいんです」
「そうなんですか?」
 そんな感じの、歴史の話についても話してくれたりと。彼の話は僕の肩の重りを和らげてくれている気がした。
「さて、あと数時間の辛抱です」
 色々話してるうちに、千葉にはついていた。しかし、目的地へはもうしばらくかかるらしい。
「あともうちょっとですが、もう少しだけ私の話に付き合てくださいね」
 そう言って、僕は彼の面白い話をずっと聞いていた――

 目的地につく。ここからはあなた自信で。そう言って、彼と別れた。
父さんの手紙の地図を便りに、僕は歩き始めた。
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