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ECO社
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たった一度。僕は妹に対して疑問を生んだことがある。なぜ彼女がこの家の人間として育っているのかと、なぜ彼女はこの家で生活しているのか、と。そんな素朴な疑問から始まった。そんな単純な問題から始まった。そして僕はとうとう口にしてしまった。まだ、生意気な餓鬼だったから。親に甘えたいほどの餓鬼だったから。
「お前はうちの子じゃない」
と。その言葉を聞いて妹は一日泣き止まなかった。当然僕は怒らることを望んだ。でも――親は僕を許した。当然の疑問だと言って僕を許した。だけど、それが妹との溝を生むことになった。今でも絶対に埋めることのできない溝。絶対に治らない傷。深く、深く。彼女の中で根強く生き続けるだろう。それでも僕は謝りたかった。彼女にあんなことを言ってしまった馬鹿な兄として。彼女にただ一言、「ごめん」というためだけに、僕は今を生きている。
僕には生きる目的がない。それは親が聞いたら幻滅するだろうが、事実だ。それは覆らない。それは隠し事には重すぎる。生きる理由が妹に謝りたいだけだなんて――とんだシスコン野郎だよ。どんなシスコンだよ。ああ、もう。悔しいな! 悔しい! 悔しいんだよ!!! せっかく溝を埋めれると思ったのに。せっかく溝が平らになろうとしたのに。それを王族派ごときが止めていいはずがない。
溝が出来たとしても、僕たち兄弟の絆がなくなるはずがないんだ……!!
「伊勢谷さん、妹さんの探索は探索班に任せましょう」
「ああ、そうだね……」
「私たちはその間、通常業務です」
「? 何するんだ?」
「当然、ブラック企業の殲滅です」
「ほんとに、やるんですね……」
「もちろんです」
殲滅、か。王族派にぶっかけてやりたい言葉だな。王族派、憎たらしかったけど尚更憎たらしい……!!
妹の探索は美雨さんの妹、花沢晴ちゃんがするらしい。妹には妹を、ってか。まあいいんだけどなそんなことは。さて……本番はここからだ。ブラック企業の殲滅。これを成さなきゃいけないらしい。って――待てよ待てよ……ひとこと言わせてください。
「なんで入所希望とおってるんですかああああああああああああ!」
「え? 嘘。入所希望所出てない!?」
「出してる暇ありましたか!?」
「なかったです」
いや、そこドヤ顔されましても……とはいえ、まあ、楽しそうな仕事ではある。楽しいのか……? ブラック企業の殲滅って……何するんだろう。取り押さえ? だろうけど、どうやってやるんだ?
「技量図りますね」
そう唐突に言われ蹴られる。正直骨がぶん曲がりそうだった。痛い……じゃ、すまないな。どう例えるか。それにこだわっている間にもう一発飛んでくる。これ完全にサンドバックだよね!? 僕遊ばれてるよね!? 痛い! やめろお! って、痛い痛い!!! やめてください、ちょ、ほんと痛いですって!!
「ふう。耐えましたね。合格です」
「なんのテストお!?」
「耐久値ですよ」
何言ってるんです? と、首をかしげている。そう言うやつなんだろ……という僕の偏見が確立された瞬間ある。まあ、すぐさま撤回されることになるけど。それでもそれまで彼女がゴリラ女ということは変わらなかったわけでもあるけど……
「さて、そろそろ行きましょうか」
「え、どこに?」
「任務です」
そう言って指定された場所はECO社と呼ばれる場所である。王族派の中でも引きこもりに支持されるトップクラスの会社だろう。その理由は簡単。ECO社がゲーム会社だから。とはいえ、ブラック企業なのか……僕の好きなねっとりファイターズもECO社だったな……ちなみにねっとりファイターズは動きがねっとりしているだけで健全なゲームである。健全! な! ゲームです!! 大事なことなので二回言いました。
とはいえ、今回の任務、あまりうかつなこともできないのも事実だった。
僕の中に一つだけ用注意すべき最悪な事態があった。それは、妹が王族派の人間なのではないか、ということだ。もしそうならそれは最悪のパターンで、一番想定してはいけないパターンだ。どうか、どうかはずれてくれ、僕の予感……!
その時だった。前が見えなくなるほどの立ちくらみを覚えた。それは確かに、現実では想定できないことが起こっていた――
「ふふ、残念だったね、お兄ちゃん」
「杏子……なんでだよ……」
「なんでって……お兄ちゃんが――」
そこで止まった。今のは何だ? 確かに未来に起こりうる可能性が見えた。まさか、未来予知……?
いや、そんなことが現実で起こりうるはずがない。もし起きたとしたらそれは幻想だ。理想だ。夢だ。人類のなそうとしていたことを僕が出来るはずが――いや、待てよ。もし、もし僕がジャンヌの子孫だったら……? もし、僕もジャンヌの末裔だったら……? ない可能性じゃない。それに、だとしたらつじつまが合う。神の声――今聞いたのはそれである可能性だ。
「お前はうちの子じゃない」
と。その言葉を聞いて妹は一日泣き止まなかった。当然僕は怒らることを望んだ。でも――親は僕を許した。当然の疑問だと言って僕を許した。だけど、それが妹との溝を生むことになった。今でも絶対に埋めることのできない溝。絶対に治らない傷。深く、深く。彼女の中で根強く生き続けるだろう。それでも僕は謝りたかった。彼女にあんなことを言ってしまった馬鹿な兄として。彼女にただ一言、「ごめん」というためだけに、僕は今を生きている。
僕には生きる目的がない。それは親が聞いたら幻滅するだろうが、事実だ。それは覆らない。それは隠し事には重すぎる。生きる理由が妹に謝りたいだけだなんて――とんだシスコン野郎だよ。どんなシスコンだよ。ああ、もう。悔しいな! 悔しい! 悔しいんだよ!!! せっかく溝を埋めれると思ったのに。せっかく溝が平らになろうとしたのに。それを王族派ごときが止めていいはずがない。
溝が出来たとしても、僕たち兄弟の絆がなくなるはずがないんだ……!!
「伊勢谷さん、妹さんの探索は探索班に任せましょう」
「ああ、そうだね……」
「私たちはその間、通常業務です」
「? 何するんだ?」
「当然、ブラック企業の殲滅です」
「ほんとに、やるんですね……」
「もちろんです」
殲滅、か。王族派にぶっかけてやりたい言葉だな。王族派、憎たらしかったけど尚更憎たらしい……!!
妹の探索は美雨さんの妹、花沢晴ちゃんがするらしい。妹には妹を、ってか。まあいいんだけどなそんなことは。さて……本番はここからだ。ブラック企業の殲滅。これを成さなきゃいけないらしい。って――待てよ待てよ……ひとこと言わせてください。
「なんで入所希望とおってるんですかああああああああああああ!」
「え? 嘘。入所希望所出てない!?」
「出してる暇ありましたか!?」
「なかったです」
いや、そこドヤ顔されましても……とはいえ、まあ、楽しそうな仕事ではある。楽しいのか……? ブラック企業の殲滅って……何するんだろう。取り押さえ? だろうけど、どうやってやるんだ?
「技量図りますね」
そう唐突に言われ蹴られる。正直骨がぶん曲がりそうだった。痛い……じゃ、すまないな。どう例えるか。それにこだわっている間にもう一発飛んでくる。これ完全にサンドバックだよね!? 僕遊ばれてるよね!? 痛い! やめろお! って、痛い痛い!!! やめてください、ちょ、ほんと痛いですって!!
「ふう。耐えましたね。合格です」
「なんのテストお!?」
「耐久値ですよ」
何言ってるんです? と、首をかしげている。そう言うやつなんだろ……という僕の偏見が確立された瞬間ある。まあ、すぐさま撤回されることになるけど。それでもそれまで彼女がゴリラ女ということは変わらなかったわけでもあるけど……
「さて、そろそろ行きましょうか」
「え、どこに?」
「任務です」
そう言って指定された場所はECO社と呼ばれる場所である。王族派の中でも引きこもりに支持されるトップクラスの会社だろう。その理由は簡単。ECO社がゲーム会社だから。とはいえ、ブラック企業なのか……僕の好きなねっとりファイターズもECO社だったな……ちなみにねっとりファイターズは動きがねっとりしているだけで健全なゲームである。健全! な! ゲームです!! 大事なことなので二回言いました。
とはいえ、今回の任務、あまりうかつなこともできないのも事実だった。
僕の中に一つだけ用注意すべき最悪な事態があった。それは、妹が王族派の人間なのではないか、ということだ。もしそうならそれは最悪のパターンで、一番想定してはいけないパターンだ。どうか、どうかはずれてくれ、僕の予感……!
その時だった。前が見えなくなるほどの立ちくらみを覚えた。それは確かに、現実では想定できないことが起こっていた――
「ふふ、残念だったね、お兄ちゃん」
「杏子……なんでだよ……」
「なんでって……お兄ちゃんが――」
そこで止まった。今のは何だ? 確かに未来に起こりうる可能性が見えた。まさか、未来予知……?
いや、そんなことが現実で起こりうるはずがない。もし起きたとしたらそれは幻想だ。理想だ。夢だ。人類のなそうとしていたことを僕が出来るはずが――いや、待てよ。もし、もし僕がジャンヌの子孫だったら……? もし、僕もジャンヌの末裔だったら……? ない可能性じゃない。それに、だとしたらつじつまが合う。神の声――今聞いたのはそれである可能性だ。
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