引きこもりの僕がある日突然勇者になった理由。ファイナル

ジャンマル

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引きされ

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 「聖女の血が必要なら聖女の末裔を殺せばいい」
「お、お前――!!」

 七瀬さんの心身弾が放たれた――が。

「聞かねえよ。言ったろ、箱を解析したってよぉ」
「リターン……フューチャー……」
「分かってんじゃねえか」
「じゃあ、お前は別世界線の――!!」
「ど、どういうことだ!」

 別世界から呼ばれたケビン……
 それじゃあ、本当に……

「仕方ねえけどな……行くぞ!!」

 そう言って、再びケビンとの戦いの幕が開けた。

「行くぜ、伊勢谷!」
「もちろん!」
「「ツイン心身弾!」」

 二つ放たれた心身弾。しかしーー二つではない。

「三つめは――お見通しだぁ!!」
「つ――!」

 避けられた……じゃあ、希望はもうない? いや、ある!

「違うよ――ケビン」
「あ?」
「4発だ!」
「何!?」

 心身弾は二つ放たれた。ならば、一度に4発まで打てるということ!!!

「ちいいいい!!!」

 決まった! そう思っていた――

「なんてな」
「え……?」
「パンドラーーいや、ハデスの箱よ、わが願いを叶えたまえええええええええ!!」

 やら……れた……

 パンドラを解析したのが恐らくハデスだろう。
 それ故に、憎たらしかった。ハデス? 破壊神? なんだ、それ。
 多分、中二をこじらせたなにかだろう。絶対そうだ。      ……ふふ、いいじゃないか。見せてやるよ、本物の中二病を!!

「心身弾……」
「聞かねえっての」
「全弾よぉーい!」
「は……?」

 全世界線の心身弾を一斉に集める。
 その数、ざっと100発か。

「おいおい……嘘だろ?」
「嘘じゃない!」
「糞がぁぁぁぁぁ!」

 これで、本当にケリがついたのだろうか。悩ましいところがあるが……
 しかし、それでも不可解な点がある。ハデスがあるなら、何故フランスに攻撃を?

 これはーー本当の魔王の野望が関わっている気がする。
 魔王を倒すのは勇者。つまり、僕だ。
 ここで僕が止めなきゃ誰が止める! 多分いない!

「伊勢谷、合流するぞ、2人と」
「もちろん!」

 美雨さんたちと合流し、本部へ乗り込むことにした。

 日本本部へ攻撃ーーこれ以上ないくらい大規模じゃないか! 燃えるぜ!

 合流……地点には、誰もいなかった。

「おい、どうなってんだ、伊勢谷!」
「し、知りませんよ!」

 ははは。聞き覚えのある声で、そうかん高い声で、笑うのが聞こえた。

「君たちが探しているのはこの子達かね」

 近くにあったモニターに映し出された、美雨さんと三国さんの姿。

「な、なんで三国まで捕まってんだ!」
「なぁに、簡単ですよ。刀がなければ彼女は無能。ケビンはそう言ってましたよぉ。ねぇ? ケビン?」
「ええ。間違いないです」
「……は?」

 信じられなかった。何故、向こうにもケビンが?

「ケビン・アルトベルト。総理大臣の私の右腕にしてーー不死の男。知らなかったかね」
「不死だァ!? んなこと信じられっかよ!!」

 七瀬さんの言葉は本当にそう言う通りだ。。でも、ハデスの箱の性質は、なんでも希望を叶える。つまりーー

「ジャンヌ・ダルクの遺産によって彼は不死身となりました。そうですね?」
「ええ。間違いないですよ」
「でも、なんでそっちにいるんだ! 今、遠い場所にいたはずじゃ……」
「伊勢谷……タイムスリップが出来るなら瞬間移動も出来る。わからなかったか?」

 そうだ……確かに、そうだ……

 でも、このケビンに対する違和感は何なんだろうか?


「なあ、お前、本当にケビンなのか……?」
「もちろんに決まってんだろ。何言ってんだ」
「違和感が――違和感があるんだ」
「あ? 知るか」

 この違和感は、父さんの時と同じだ。……どうして、どうしていつもこうなんだろう。周りの人はみんな、嘘が苦手だ。

「ケビン。願い事は?」
「日本人への復讐」
「じゃあ、なんで協力してる?」
「つ……」

 痛いところを突かれた。そんな感じだ。果たして――

「……つ!」

 ざくっ。瞬間だった。

「そ、総理いい!」
「わりいな。これが仕事だ」

 やっぱり、ケビンはこっち側だ。

「どの辺から感じていた?」
「さっき」
「そうか」

 でも、まだ、まだ何かありそうだ。

「お前。晴ちゃん復活させねえのか?」
「そ、それは……」
「別に、いいんじゃねえか?」
「それも……そうだけど……」

 僕自身の願い。その為に箱を使えと、ケビンは言っていた。
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