引きこもりの僕がある日突然勇者になった理由。ファイナル

ジャンマル

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引きされ

それでもやるべきこと

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「伊勢谷さん……手渡されたんですよね? 箱の能力を」
「うん……」
「なら、その箱で救える人を救ってください」

 それは、僕が一度死んでいることを受け入れての発言だった。
 その言葉、その顔は、真面目で、まさに美雨さん! という感じだった。それを僕は覚えている。

「晴はーー多分、ケビンの野望のために殺されたんじゃないです」
「え……?」
「あの子は、ジャンヌの血を引いていたんです」
「どういう……こと?」

 聖女の血を引く。それは、結末すらも分かってしまう、愚かな存在だった。
 火あぶり。魔女殺しとして処刑に使われていた方法だ。それは、聖女が嘆くほどの痛みと、絶望を与えたという。

「いずれ辛い運命を味わったんです……あの子は」
「だから……守るために国がフランスに……?」
「いえ、フランスへの攻撃はそうじゃないんです。本当に箱を狙っての行動なんです」

 じゃあ、世界線を塗り替えればーー

「ダメです。世界線を塗り替えれば、多分、晴も生き返ってしまいます」

 それは、姉として。彼女の一番の理解者としてのーー発言だった。

 彼女の決意は、本物だ。それでも、それでも!

「やりましょう、伊勢谷さん」
「本当に……?」
「はい。三国さんも、七瀬さんもいるんですから」

 にっこりと微笑んだ。にっこりと微笑んで僕に話しかけた。

「でもーー国同士の争いなんだよ?」
「規模なんて関係ありません! 晴がやり残したこと、それを実現させるまでです!」

 晴ちゃんの願い。
 争いのない世界。争いの起きない世界。
 彼女の願いは儚く、散っていくことも知らぬほど、大きく、果てしないものだった。

 それでも、彼女はやり遂げようとした。
 その努力は、絶対に報われる。報われるようにして見せる。
 僕が、彼女の願いを、美雨さんと一緒に。叶えてみせる。絶対に!

「で、どうしましょうか」
「まずは日本国連に殴り込みさ」
「ほ、本気ですか!?」
「それしかないじゃないか!」
「そ、そうですね……」

 話の規模がでかくなっているのは分かっていた。でも、それくらいがなんだ!
 晴ちゃんがやろうとしていたものはもっと規模がでかい!
 だからこそ、頑張れた。
 だからこそ、頑張ろうと思えた。
 晴ちゃんの為に。僕がこの国とフランスの争いを止めてる。

 日本国連。それは、とても大きなものだ。
 時には、それが敵となる時もある。それは、とても兄弟で、とても大きく、立ち向かい用のないものだろう。だがーー忘れないで欲しい。人ひとりが持つ力は、時にとても強大なものになるんだという事を。とても大きなものになるんだということを。

「さて、美雨さん。どうする?」
「決まってます。殴り込みに行きます! だってーーもう目の前ですしね!」

 今、僕達は、太刀打ちの仕 できようのない敵に挑もうとしていた。
 日本国連。いわば、日本の本部だ。
 そんな敵にどう挑むか。それは悩みどころだろう。でも、迷ってる暇なんてない! 迷ってたら時間が無い!
 とにかく、前に進め。前に進むんだ。

「行っきますよぉー!」
「承知している!」

 三国さんと美雨さんの組み合わせで左の扉から。僕と七瀬さんで右の扉から入ることになった。

「行くぜ、伊勢谷」
「うん、分かってる」

 そして、扉を開けた先に待っていたのはーー

 「よお、伊勢谷ぁ」
「なっ……」
「おいおい……嘘だろ……?」
「なんだよ、七瀬も一緒か」

 そこに待ち受けていたのはーー

 ケビンだったーー

「ケビ……ン?」
「ああ。そうだ」
「し、死んだはずだ!」
「確かにそうだ」

 そうだ……確かに、そう答えた。死んでいると、確かに答えた。

「あの時死んで、今じゃこうやって普通に話している――それが、そう言う事かわかるか」
「ど、どういうことだよ……」
「箱の複製に成功したのさ、この、日本の地で!!」
「は……?」

 何を言っているんだ? 箱の複製……? そんなのできるわけがない。

「Redfoxを甘く見過ぎだ。お前は」
「じゃあ、本当に……」
「半蔵がお前ように残しておいた手紙あったろ。あれから箱の能力を解析してな」
「そ、そんなの出来るわけ――」
「出来たからこうして今俺がいるんよ」
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