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引きされnext
リーダー
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こちらに来てから、数時間。ケビン達と合流出来て、少しは不安が解けていた。だけど、ケビンが言う、もう一人の存在が気になっていた。ケビンいわく、僕とかなり密接な存在らしいのだが‥…心当たりがない。
「おっ、来たみたいだ。んじゃあ、紹介する。パッチワーカーズのリーダー……」
そこにいたのは、密接な存在と言うよりも、もう少し深い関係の人物だった。ケビンが、その人の名前を口にする。口にしなくても、僕にはなんとなくだがわかるけど……
「木山春斗だ」
父さんだった。しかし、父さんは既に居ないため、失敗したとしてもこちらに来ることは絶対ないはずだ。箱の力で死も確定しているため、生存ルートなどない。だけど、少し若い気がした。
父さん(?)は僕を見て口を開いた。
「お前が、新人か」
まるで、初めてあったようだった。それも、この父さんが若いのと関係あるのだろうか? いや、晴ちゃんが数年後の姿だし、まさかーー
「と、とうさーー」
父さんと言おうとしたところで、ケビンに止められた。ケビンが言うには、ここで僕のことをいってしまえば、いくら拾い子とも言えども、存在が危うくなってしまう危険性があるのだと言う。過去の人間に未来を伝えると言うことは、すなわち、未来を変えてもらうと言うことだ。たからこそ、ケビンは止めたのだろう。存在が消えてしまえば、箱の力でもどうしようもなくなる。‥…‥…そうだ、ここにいるのはハルトさんであって、父さんではない。それを、理解するんだ。
「伊勢谷、堪えろ。その気持ちを耐えれば、耐えなければ、お前は……」
そうだ。そうしなければ、僕の存在が不自由になり、どうなるかわからない。でも、そんな会話を見ていた父さんは、こちらを少し不満げな顔で見つめているようだった。
父さんが少し戸惑っているが、僕は説明を受ける。脱出方法を探る。その為には、僕たちが情報を共有する必要がある。その為に結成したのが、このパッチワーカーズである。僕たちは、ここから出てしまえば、みんなどうなるかわからない。それに、晴ちゃん以外はすでに箱を使っている。そして、父さんは……もし、未来の事を言ってしまえば、さらなる分岐点を生んでしまうことになる。
だから、僕たちは必要以上に自分の事をかたらないと決めた。そうすることで、起こってしまう何かを防いだ。そうしなければいけなかったんだ。
「伊勢谷、伊勢谷慎二」
「木山春斗だ」
名前が、伊勢谷でよかった……もし、木山という旧姓だったならば確実に違和感を抱かれていた。父さん、もしかしてこうなることも想定したのか? いや、それはないか……いや、待てよ。ここの記憶が無効に持っていけるなら、意図的に付けたのもあり得るな……どちらにせよ、それを知っているのは父さんだけだ。……全く、箱の呪いに殺されるくらいなら自殺って……僕も、いずれそうしなければいけないのかな。いけない……これ以上はやめておこう。
と、父さんは自分の目的を話し始めた。
「俺はな、絶対に冷戦にして見せる。日本をな」
そうか。父さんがこれくらいの時って言ったら、無差別なテロ行為から発展した、悲劇。第三次世界大戦が起きていたんだ……まあ、戦争なんて僕の時代にはなかったけど……でも、それは父さんが色々やってくれた結果なんだ。父さんは、未来じゃ戦争自体なかったことになったって言ったら、どうなるんだろう。悲しむのか、喜ぶのか……でも、未来の事なんて、過去の人間にはわからない。わかってしまったら、つまらない。未来は見えないからこそ、無数に選択することが出来る。無数に分かれるからこそ、あの時の僕なら。と言える。未来はわからなくていいんだ。わかってしまってはいけないものなんだ。
「お前の、お前の目的は?」
「僕の……目的……」
教えていいものだろうか。でも、でも……
「施設を、子供たちが安心して暮らせる。そんな施設を……僕は作りたいんです」
父さんは、安心したような、優しい顔でよかった。そうつぶやいた。頑張れよ。と言い残して、父さんは情報集めに出るといった。
「なあ、伊勢谷。一つ、いいか?」
「なんですか?」
「お前、箱を使って後悔したか?」
そう父さんは同じ、箱を使ったものとして僕に投げかけた。確かに、僕は後悔した。晴ちゃんを失って、ケビンを失って、美雨さんと決別して。いいことなんてなかった。でも、それでも、自分のやりたいことだけは見つけられた。それだけは、唯一の後悔しなかったことだ。正直に、父さんに言った。
「後悔しました……でも、失ってから気付いた時には、もう遅くて……自分が嫌になって……それでも、僕は自分の目標のために今日まで頑張って生きてこれました」
そう聞くと、父さんは自分と重ね合わせたのか、優しい表情で、でも、どこか寂しそうな表情で僕に言った。
「俺はな、この力を好きな女に使ってしまった。でも、その女は死んだ。俺が、殺してしまったんだ。でも、そのおかげで、戦争を止める決意が出来た。だから……」
好きな女……? そう言えば、父さんは結婚はおろか、恋なんてろくにしたことがないって僕が小さいときに言ってたっけ。それは、その女性だけを愛するって決めた結果なのかも……案外、父さんってロマンチスト……?
「さて、そろそろ行くぞ」
そう言って、父さんは情報集めに行った。それにつられるように、ケビンと晴ちゃんも。僕も、行こうかな。
ケビンが行く前に、アドバイスしてくれた。
「この世界にも住民は普通にいる。だが、あえていうなれば、影の存在。人の悪の部分だけを取った存在だ。十分に気を付けろ」
そういっていた。まあ、要するに凶暴な奴らだから気を付けろってところか。
ケビンのアドバイスを受け、僕はこの薄暗い世界の中を歩き始めた――
「おっ、来たみたいだ。んじゃあ、紹介する。パッチワーカーズのリーダー……」
そこにいたのは、密接な存在と言うよりも、もう少し深い関係の人物だった。ケビンが、その人の名前を口にする。口にしなくても、僕にはなんとなくだがわかるけど……
「木山春斗だ」
父さんだった。しかし、父さんは既に居ないため、失敗したとしてもこちらに来ることは絶対ないはずだ。箱の力で死も確定しているため、生存ルートなどない。だけど、少し若い気がした。
父さん(?)は僕を見て口を開いた。
「お前が、新人か」
まるで、初めてあったようだった。それも、この父さんが若いのと関係あるのだろうか? いや、晴ちゃんが数年後の姿だし、まさかーー
「と、とうさーー」
父さんと言おうとしたところで、ケビンに止められた。ケビンが言うには、ここで僕のことをいってしまえば、いくら拾い子とも言えども、存在が危うくなってしまう危険性があるのだと言う。過去の人間に未来を伝えると言うことは、すなわち、未来を変えてもらうと言うことだ。たからこそ、ケビンは止めたのだろう。存在が消えてしまえば、箱の力でもどうしようもなくなる。‥…‥…そうだ、ここにいるのはハルトさんであって、父さんではない。それを、理解するんだ。
「伊勢谷、堪えろ。その気持ちを耐えれば、耐えなければ、お前は……」
そうだ。そうしなければ、僕の存在が不自由になり、どうなるかわからない。でも、そんな会話を見ていた父さんは、こちらを少し不満げな顔で見つめているようだった。
父さんが少し戸惑っているが、僕は説明を受ける。脱出方法を探る。その為には、僕たちが情報を共有する必要がある。その為に結成したのが、このパッチワーカーズである。僕たちは、ここから出てしまえば、みんなどうなるかわからない。それに、晴ちゃん以外はすでに箱を使っている。そして、父さんは……もし、未来の事を言ってしまえば、さらなる分岐点を生んでしまうことになる。
だから、僕たちは必要以上に自分の事をかたらないと決めた。そうすることで、起こってしまう何かを防いだ。そうしなければいけなかったんだ。
「伊勢谷、伊勢谷慎二」
「木山春斗だ」
名前が、伊勢谷でよかった……もし、木山という旧姓だったならば確実に違和感を抱かれていた。父さん、もしかしてこうなることも想定したのか? いや、それはないか……いや、待てよ。ここの記憶が無効に持っていけるなら、意図的に付けたのもあり得るな……どちらにせよ、それを知っているのは父さんだけだ。……全く、箱の呪いに殺されるくらいなら自殺って……僕も、いずれそうしなければいけないのかな。いけない……これ以上はやめておこう。
と、父さんは自分の目的を話し始めた。
「俺はな、絶対に冷戦にして見せる。日本をな」
そうか。父さんがこれくらいの時って言ったら、無差別なテロ行為から発展した、悲劇。第三次世界大戦が起きていたんだ……まあ、戦争なんて僕の時代にはなかったけど……でも、それは父さんが色々やってくれた結果なんだ。父さんは、未来じゃ戦争自体なかったことになったって言ったら、どうなるんだろう。悲しむのか、喜ぶのか……でも、未来の事なんて、過去の人間にはわからない。わかってしまったら、つまらない。未来は見えないからこそ、無数に選択することが出来る。無数に分かれるからこそ、あの時の僕なら。と言える。未来はわからなくていいんだ。わかってしまってはいけないものなんだ。
「お前の、お前の目的は?」
「僕の……目的……」
教えていいものだろうか。でも、でも……
「施設を、子供たちが安心して暮らせる。そんな施設を……僕は作りたいんです」
父さんは、安心したような、優しい顔でよかった。そうつぶやいた。頑張れよ。と言い残して、父さんは情報集めに出るといった。
「なあ、伊勢谷。一つ、いいか?」
「なんですか?」
「お前、箱を使って後悔したか?」
そう父さんは同じ、箱を使ったものとして僕に投げかけた。確かに、僕は後悔した。晴ちゃんを失って、ケビンを失って、美雨さんと決別して。いいことなんてなかった。でも、それでも、自分のやりたいことだけは見つけられた。それだけは、唯一の後悔しなかったことだ。正直に、父さんに言った。
「後悔しました……でも、失ってから気付いた時には、もう遅くて……自分が嫌になって……それでも、僕は自分の目標のために今日まで頑張って生きてこれました」
そう聞くと、父さんは自分と重ね合わせたのか、優しい表情で、でも、どこか寂しそうな表情で僕に言った。
「俺はな、この力を好きな女に使ってしまった。でも、その女は死んだ。俺が、殺してしまったんだ。でも、そのおかげで、戦争を止める決意が出来た。だから……」
好きな女……? そう言えば、父さんは結婚はおろか、恋なんてろくにしたことがないって僕が小さいときに言ってたっけ。それは、その女性だけを愛するって決めた結果なのかも……案外、父さんってロマンチスト……?
「さて、そろそろ行くぞ」
そう言って、父さんは情報集めに行った。それにつられるように、ケビンと晴ちゃんも。僕も、行こうかな。
ケビンが行く前に、アドバイスしてくれた。
「この世界にも住民は普通にいる。だが、あえていうなれば、影の存在。人の悪の部分だけを取った存在だ。十分に気を付けろ」
そういっていた。まあ、要するに凶暴な奴らだから気を付けろってところか。
ケビンのアドバイスを受け、僕はこの薄暗い世界の中を歩き始めた――
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