42 / 271
引きされnext
分岐?
しおりを挟むここは、失敗することのなかった世界。伊勢谷が、子供たちを。子供たちが、伊勢谷を。それぞれが、それぞれのために。そんな、子供たちの苦悩と葛藤を。これは、『次の世代』の分岐点である――
僕は、子供たちを集めた。スラムに住み着いた、子供たちを。集めて、説明するからだ。この子たちの、これからを。
集まった子供たちは、それぞれが傷を負っていた。多分、さっきみたいなやつらから受けた傷だろう。……ひどいな。恐らく、数年間ずっとそんな感じなのだろう。リーダー(?)と思われる子は体中がボロボロで、見ているだけで辛いほどだった。
「君たち、こんなところでもうこんな窮屈な生活をしなくてもいいんだ」
……言ってみたはいいが、ついて来てくれる人などいるのだろうか。いや、いるはずだ。こんな窮屈で、退屈な世界を、変えられるのなら。喜んでついて来てくれるだろう。この子たちの未来を、守ってあげないとな。
「本当―!?」
そう言って、子供たちはついて来てくれると、言ってくれた。正直、来てくれるかは怪しいところだったけど、わかってくれたみたいだ。
ここにいるみんなが施設に入る。という約束の下、施設開発はスムーズに続いた。スラムよりも楽しい場所で楽しい生活を。本来ならば、スラムなど到底要らない。だが、世界は今、落ちかけていた。
僕が度に出てからすぐの事だ。日本は、食糧難。飢饉に襲われることになる。それが何を意味するのか。それは、至って簡単だ。強いものが生き残り、弱いものは死んでいく。弱肉強食の世界。それが今、日本で起きようと居ていた。それに感づいた人たちは、ひたすらに今食料を確保しているだろう。
施設は、食料を提供できるだろうか。いや、なんとしても提供してもらわないと。いずれ、人口が増えすぎたときに、食糧難は起こるだろうといわれていた。一見、下降気味と思われていた人口の低下は、一時的なものだった。急に来たのだ。人口の一気に増える、ビックバンが――
そう言った事象も相まって、僕の活動にも熱が入る。全国で、協力者と子供たちを探し出す。それだけを胸に、僕は旅をつづけた――
―2月13日―
どれだけたったっけ? 小さいころからスラム街で暮らしていた僕が、こんな、施設で暮らし始めて。ここは、あの時とは違う。生活に困ることのない、そんな不自由のない生活が約束されていた。そこで暮らす僕たちは、ただ一つ。たった一つの同じ、目標を掲げ、毎日を過ごしていた。
小さいころ、命を救ってくれた彼のように。そんな目標を掲げて集まった数人の勇者みならい。まだ、経験不足だけど、人を助ける仕事と、もう一つ。大きな目標のために――
「圭ー! ご飯だよー!」
目が覚めたとき、居たのは、カエデだった。志筑カエデ。この施設、「next」の中でも多分一番不器用で、自分を出せていないと思う。言ってしまえば、引っ込み思案。そんな子だ。
「分かってるよ。今行く」
僕は、花園圭。この、家のない子供たちや、貧しい子供たちを援助するために設立された施設、「next」の一人だ。正確には、nextは施設の名前ではなくて、僕たち、「伊勢谷さんを探すための組織」の名前だ。この施設の開設者である、伊勢谷さんは、全国を回り、貧しい子供たちを引き取って施設に居れる活動をしながら、勇者として、軍事に介入したりを繰り返していた末、行方をくらませたという。そんな伊勢谷さんを探すための組織が、僕たち「next」だ。
メンバーは、僕と、カエデ。後、何人かいるけど、それはまあ、おいおい。
「今日はね? オムライスだって」
「えー、また卵料理かよ……」
卵料理が増えているのも仕方ない。ここ最近、野菜がろくに収穫できないのだ。いうなれば……飢饉……? とでも言うべきなのかな。野菜が足りなくなり、肉や卵。そんな生活が数年続いている。米は何とかなっているらしいが、野菜を使えない以上、飲食店の経営もきつくなり、店を畳む人も少なくはなかった。
「野菜、また食べれるようになればいいね」
「そうだね。卵ばっかはアレルギー起こしかけそうだ……」
野菜が食べれなくなって4年。人の体は、当然健康的とは言えない。その為、ここ数年は体調を崩す人が急増している。「ビタミン」不足が多発している。
理由はわからないが、この飢饉は、伊勢谷さんがいなくなってから起きていると語っている人もいた。でも、それは単なる偶然だろう。故意に、野菜が取れなく出来るなんてそんな超人じみた事出来るような人じゃない。
「伊勢谷さん、まだ見つからないんだよね……」
この組織も活動を始めて2年。この組織の結成の理由は、一つだった。5年前、この施設が出来てから1年だったが、そこに訪れた人物、フランと名乗った人物が、伊勢谷さんを探していると、この施設を訪れた。彼女は、行方不明になったのを仲間との会話で知ったらしい。でも、フランというのは偽名だろう。何となく、そんな気がする。
まあ、何はともあれ、これがきっかけでこの組織は結成された。伊勢谷さんの捜索もしているが、伊勢谷さんのしていた軍事……まではいかないが、人を助ける活動も、貧しい人たちを援助する活動も続いている。
この組織がいつまで続くかわからないけど……伊勢谷さんを探したいという結束だけは確かだ。早めに、会えるといいんだけどな……
0
あなたにおすすめの小説
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる