引きこもりの僕がある日突然勇者になった理由。ファイナル

ジャンマル

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木山春斗の勇者録/花沢美雨の勇者録

帰還

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「!」
「戻ってきたか」
「その様子じゃ知ってるみたいだね……」
「ああ。未来視じゃなくて、予言をな」
「ああ。なるほど」

 未来視か。確かにそれならいけるな。だけど、それだと色々矛盾が……まあ、いいか。まあ、気にするほどの矛盾もないよな。うん。

「さてさて、どうしますか?」
「箱はここにある。だけど――」
「使えば世界の秩序は崩壊する。だろ?」
「そこまで……」
「なんでもお見通しってこった」

 やはりケビンに嘘は通じないな。でも、だからこそ一緒に居がいがあるんだ。でも、さすがにここまでくるとドン引きかな……

「ま、なんでも気楽に相談しろや」
「うん」
「まあ、相談する前に見通すんだけどなっ!」
「変態! 獣!!」
「あの、お二方――盛り上がってる中悪いんですけど――」
「おっと、そうだな」
「え?」

 ケビンいわく、既に未来でオクタヴィアがどう存在するかを教えてもらっているらしい。千里眼――強い(確信)だけども、それでも既に知ってしまっている以上離さないわけにもいかない。だけども、それだけに許しがたい。許すわけにいかない。許しちゃいけない。あんな現状を。オクタヴィアを黒の朝の生贄にする現状を。現状はまだ黒の朝はない。だけど、許しちゃいけない。黒の朝――災害をもたらすというその朝を、許してはいけないんだ。
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