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LEVELZERO
本気の喧嘩
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『あまりいかるとまたレベルが――』
「んなもん関係ねえ!」
『そ、そうですか……』
「今必要なのは治癒能力だ!」
『わかりました。向かわせます』
「頼む」
『すぐには行けないので我慢してください!』
「すまんな」
そう言って、治療部隊を向かわせた。それがどうなるかはわからない。だけど――助けることが最優先だった。
それに、向かわせたところで能力者が助かる望みは薄い。
「どうする……どうする……?」
「な、なあ」
「あ?」
「能力者って……低いほど、有利なんだぜ……?」
「え?」
「演算が要らない分……使いやすい……」
そう言う事か。でも、喋るな。そう言って、少年は助けることを最優先した。失うものを失い自分を救わずみんなを救う少年。大事なものを失い、それでも自分と誰かを助けることを優先させる少年。
二人の違いは、明確になり始めていた――人間として、成長し始めていた。
「とりあえずしゃべるな、いいな?」
「うん……」
そう言って、二人はただ、助けを待った。
その後、終木神はなんとか助かった。幸いにも――能力者ではない。というのがよかったようだ。しかし――にしても――いや――だが――
「……」
「な、なあ、なんで無口なんだ?」
「わ、わかりませんよ」
「……」
すらすら。
紙に何かを書き始めた。そして――紙には、「声を失った」と、書かれていた。なぜなのか。答えは簡単だった。
能力者を監視するために派遣されていた彼は、能力の力をあやふやにするリミッターアイを持っていたからだ。あれは能力のレベルを判定する能力ではない。能力をめちゃくちゃにする能力だ。故に――めちゃくちゃとなった能力が命と引き換えに声を持っていったようだ。
「……」
「えーっと……?」
紙に書かれていたのは、『指揮官の大事なものを失ってしまった。もう指揮官としては無理だ』と。そんなことはないと全員で必死になって言うが、それは余計に空気を重くした。それは余計に相手の首を絞めていた。
「……そこまで指揮官にこだわる理由って何なんだ?」
それは、もっともな質問だった。それは、今一番知りたい理由だった。指揮官としてやっていけないと悟った彼が何故指揮官にこだわるのか。彼は、それが気になって仕方なかった。
『父親が指揮官だった』
「え……?」
『父は海軍の指揮官で、憧れていた。でも』
「でも……?」
『指揮官故に前線に出て死んだ』
「……」
『だから、僕は父の代わりに指揮官として生きたい』
「……なるほどな」
理由としてはよかった――そう。理由として、は。
「でもそれ、お前の望みじゃないだろ?」
『そうだよ。でも、それでいい』
「いいわけないだろ!」
『いいんだよ!! ……これで』
「でも!! それじゃあ……お前は……」
『呪縛に捕らわれてたっていい。だけど、指揮官としての能力はわかってるはずだろ?』
「そうだけどさ……」
呪縛。その言葉に捕らわれ続けてきた少年は、たった今、その呪縛から逃れようとしていた。指揮官になるという呪縛から。指揮官をしなくてはいけないという義務感から。
「義務感からの正義なんてそれは正義じゃない。ただの偽善だ」
『義務感なんて感じてないよ。ただ、そうしなきゃいけないってだけ』
「んなわけあるかよ!!」
『あるよ!!』
二人の喧嘩はまた始まった。……喧嘩。その言葉で抑えていいのだろうか。果たし、喧嘩で終わらせていいのだろうか。二人の指揮官は、確かに、お互いの義務感からお互いを解放しようとしていた。
「俺はお前に憑の復讐って呪縛から解いてもらったことに感謝してる。ありがとうって言いたい。でもな!! 今のお前にそれを言うべきだとは思わない!!」
『じゃあ、どうしろって!? 僕に何をしてほしいんだ!?』
「自分を大事にしろよ!! じゃないとお前がどんなにすごくったって部下はそれについてこないだろ!?」
『つ……!?』
「今の前は正義者じゃない!! 偽善者だ!!」
『そんなの……そんなの人じゃないお前に言われたくない!!』
二人の本気の喧嘩は続いた。まだ、続くだろう。しばらくは――そう、しばらくは――
「んなもん関係ねえ!」
『そ、そうですか……』
「今必要なのは治癒能力だ!」
『わかりました。向かわせます』
「頼む」
『すぐには行けないので我慢してください!』
「すまんな」
そう言って、治療部隊を向かわせた。それがどうなるかはわからない。だけど――助けることが最優先だった。
それに、向かわせたところで能力者が助かる望みは薄い。
「どうする……どうする……?」
「な、なあ」
「あ?」
「能力者って……低いほど、有利なんだぜ……?」
「え?」
「演算が要らない分……使いやすい……」
そう言う事か。でも、喋るな。そう言って、少年は助けることを最優先した。失うものを失い自分を救わずみんなを救う少年。大事なものを失い、それでも自分と誰かを助けることを優先させる少年。
二人の違いは、明確になり始めていた――人間として、成長し始めていた。
「とりあえずしゃべるな、いいな?」
「うん……」
そう言って、二人はただ、助けを待った。
その後、終木神はなんとか助かった。幸いにも――能力者ではない。というのがよかったようだ。しかし――にしても――いや――だが――
「……」
「な、なあ、なんで無口なんだ?」
「わ、わかりませんよ」
「……」
すらすら。
紙に何かを書き始めた。そして――紙には、「声を失った」と、書かれていた。なぜなのか。答えは簡単だった。
能力者を監視するために派遣されていた彼は、能力の力をあやふやにするリミッターアイを持っていたからだ。あれは能力のレベルを判定する能力ではない。能力をめちゃくちゃにする能力だ。故に――めちゃくちゃとなった能力が命と引き換えに声を持っていったようだ。
「……」
「えーっと……?」
紙に書かれていたのは、『指揮官の大事なものを失ってしまった。もう指揮官としては無理だ』と。そんなことはないと全員で必死になって言うが、それは余計に空気を重くした。それは余計に相手の首を絞めていた。
「……そこまで指揮官にこだわる理由って何なんだ?」
それは、もっともな質問だった。それは、今一番知りたい理由だった。指揮官としてやっていけないと悟った彼が何故指揮官にこだわるのか。彼は、それが気になって仕方なかった。
『父親が指揮官だった』
「え……?」
『父は海軍の指揮官で、憧れていた。でも』
「でも……?」
『指揮官故に前線に出て死んだ』
「……」
『だから、僕は父の代わりに指揮官として生きたい』
「……なるほどな」
理由としてはよかった――そう。理由として、は。
「でもそれ、お前の望みじゃないだろ?」
『そうだよ。でも、それでいい』
「いいわけないだろ!」
『いいんだよ!! ……これで』
「でも!! それじゃあ……お前は……」
『呪縛に捕らわれてたっていい。だけど、指揮官としての能力はわかってるはずだろ?』
「そうだけどさ……」
呪縛。その言葉に捕らわれ続けてきた少年は、たった今、その呪縛から逃れようとしていた。指揮官になるという呪縛から。指揮官をしなくてはいけないという義務感から。
「義務感からの正義なんてそれは正義じゃない。ただの偽善だ」
『義務感なんて感じてないよ。ただ、そうしなきゃいけないってだけ』
「んなわけあるかよ!!」
『あるよ!!』
二人の喧嘩はまた始まった。……喧嘩。その言葉で抑えていいのだろうか。果たし、喧嘩で終わらせていいのだろうか。二人の指揮官は、確かに、お互いの義務感からお互いを解放しようとしていた。
「俺はお前に憑の復讐って呪縛から解いてもらったことに感謝してる。ありがとうって言いたい。でもな!! 今のお前にそれを言うべきだとは思わない!!」
『じゃあ、どうしろって!? 僕に何をしてほしいんだ!?』
「自分を大事にしろよ!! じゃないとお前がどんなにすごくったって部下はそれについてこないだろ!?」
『つ……!?』
「今の前は正義者じゃない!! 偽善者だ!!」
『そんなの……そんなの人じゃないお前に言われたくない!!』
二人の本気の喧嘩は続いた。まだ、続くだろう。しばらくは――そう、しばらくは――
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