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LEVELZEROafterSTORY~Venus Tune~
人体実験の結果
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槍が真っ直ぐ心臓をめがけて繰り出される。風を切り、腕力を乗せ、前に突き出しては、後ろに引く。この一連の流れを、数秒の間に繰り返す。繰り返す度に、速さが増していく。それを繰り出すものの力はか弱い。千佳の腕は、細いいし、今の彼女は普通の少女だ。修業も訓練もしていない彼女には筋肉なぞついてはいない。
だが、それでもあれほどに槍を扱えるのは、やはり引き継がれ続けてきたデータがあるからだろう……データを継ぐ度に、その槍の速さは増していく。データを受け取るたびにその槍さばきは巧みになっていく。やがて、生身でもその槍は音速を超えてしまうだろう。だが、今はまだならなくていい。
「ちっ、千佳にデータ継がせたのが裏目に出たか……まあいいや、そろそろこんな詰まんねえことも終わらせてやるさ」
何体倒しただろうか。何人同じ人間を殺しただろうか。
追い詰められ始めた御蔭の顔は、少しだけ焦っているように見えた。
「さあ、こっから始まるのは――捕食だっ!!!」
御蔭が手を挙げると、ビーストが無数にこちらに近寄ってくる。だが、攻撃する気配はない。どういうことだ……?
ビーストは、私たちを無視して、御蔭の元へ向かって走っていく。
「なっ、あなた自分を捕食させるつもり!?」
「そうでもあるしそうでもない! 捕食されるのは自分、捕食するのも自分なんだからなあ!」
そう言うと、ビーストに自分を食べさせ始めた。なんて奴だ、自ら自分を殺すのか……!?
「綴! 離れて!」
私の後ろで、少しでも数を減らそうと戦っていた綴が叫ぶ。槍を投げるフォーム。――槍の投擲。槍を裁くよりもおそらく扱いは難しいだろう。投げる側の人間の力を込めて投げつける槍は、力の加減が難しい。それに加え、魔法を少し使えるといっても、私が投げても変わらない程度にしか投げられないはずだ。
投げる側の力を加えた槍は、一直線に向かって突き進む。だが、それでも途中で失速し、落ちていく。それに、槍を回収するのにはあいつに近づくことになる。それは危険だ。
「駄目! 投げたら回収できないと思っとかないと!!」
「それでも、それでも! 今仕留めないとどうなるかわからない!」
確かに、確かにそうだ。でも、外したら? 外したら同じではないか?
だったら、私が近づいて……
「お前らに言いもの見せてやるから待ってろよ」
ビーストに捕食され続けながら、御蔭は私たちにそう言った。いいもの……? どうせロクなものじゃない。
でも、その言葉で、早くしないと。と、焦ったのか、千佳の手から槍が放たれる。
「ち、千佳!?」
「どうなったっていい! でも、これが私の判断!」
千佳の放った槍は、まっすぐに飛んでいく。真正面。それは、御蔭の額をめがけてだった。
心臓を突き刺してもしばらくは生きて居られる。ならば、即死をさせるために直接脳を狙う――ちゃんと判断は出来ているようだった。
力加減もよかったのか、失速することなく、後数㎝のところまで飛んでいく。だが――
一歩遅かった――
「捕食かんりょーう」
御蔭は、捕食が終わった。そう言って、ギリギリのところで槍を避けた。また、反応速度が上がっている……?!
「ちげえよ。反応速度が上がったんじゃねえよ。ビーストと一体化したんだよーん」
槍の風圧で目を反射的に閉じていた私は、その言葉を聞いた瞬間目が見開いた。気持ち悪かった。あれが、人間だって言うの?
ビーストを取り込んだ御蔭は、腕は蛇。頭はライオン。体はミノタウロス。足は馬。――そう思わせるような見た目に変わっていた。おそらく、それらのビーストの能力も吸収している。
私たちは魔法が完全に使えない――
私たちは、負けた。この時点で、そう確信してしまった。いや、そう確信しなければいけない状況だった。
だが、それでもあれほどに槍を扱えるのは、やはり引き継がれ続けてきたデータがあるからだろう……データを継ぐ度に、その槍の速さは増していく。データを受け取るたびにその槍さばきは巧みになっていく。やがて、生身でもその槍は音速を超えてしまうだろう。だが、今はまだならなくていい。
「ちっ、千佳にデータ継がせたのが裏目に出たか……まあいいや、そろそろこんな詰まんねえことも終わらせてやるさ」
何体倒しただろうか。何人同じ人間を殺しただろうか。
追い詰められ始めた御蔭の顔は、少しだけ焦っているように見えた。
「さあ、こっから始まるのは――捕食だっ!!!」
御蔭が手を挙げると、ビーストが無数にこちらに近寄ってくる。だが、攻撃する気配はない。どういうことだ……?
ビーストは、私たちを無視して、御蔭の元へ向かって走っていく。
「なっ、あなた自分を捕食させるつもり!?」
「そうでもあるしそうでもない! 捕食されるのは自分、捕食するのも自分なんだからなあ!」
そう言うと、ビーストに自分を食べさせ始めた。なんて奴だ、自ら自分を殺すのか……!?
「綴! 離れて!」
私の後ろで、少しでも数を減らそうと戦っていた綴が叫ぶ。槍を投げるフォーム。――槍の投擲。槍を裁くよりもおそらく扱いは難しいだろう。投げる側の人間の力を込めて投げつける槍は、力の加減が難しい。それに加え、魔法を少し使えるといっても、私が投げても変わらない程度にしか投げられないはずだ。
投げる側の力を加えた槍は、一直線に向かって突き進む。だが、それでも途中で失速し、落ちていく。それに、槍を回収するのにはあいつに近づくことになる。それは危険だ。
「駄目! 投げたら回収できないと思っとかないと!!」
「それでも、それでも! 今仕留めないとどうなるかわからない!」
確かに、確かにそうだ。でも、外したら? 外したら同じではないか?
だったら、私が近づいて……
「お前らに言いもの見せてやるから待ってろよ」
ビーストに捕食され続けながら、御蔭は私たちにそう言った。いいもの……? どうせロクなものじゃない。
でも、その言葉で、早くしないと。と、焦ったのか、千佳の手から槍が放たれる。
「ち、千佳!?」
「どうなったっていい! でも、これが私の判断!」
千佳の放った槍は、まっすぐに飛んでいく。真正面。それは、御蔭の額をめがけてだった。
心臓を突き刺してもしばらくは生きて居られる。ならば、即死をさせるために直接脳を狙う――ちゃんと判断は出来ているようだった。
力加減もよかったのか、失速することなく、後数㎝のところまで飛んでいく。だが――
一歩遅かった――
「捕食かんりょーう」
御蔭は、捕食が終わった。そう言って、ギリギリのところで槍を避けた。また、反応速度が上がっている……?!
「ちげえよ。反応速度が上がったんじゃねえよ。ビーストと一体化したんだよーん」
槍の風圧で目を反射的に閉じていた私は、その言葉を聞いた瞬間目が見開いた。気持ち悪かった。あれが、人間だって言うの?
ビーストを取り込んだ御蔭は、腕は蛇。頭はライオン。体はミノタウロス。足は馬。――そう思わせるような見た目に変わっていた。おそらく、それらのビーストの能力も吸収している。
私たちは魔法が完全に使えない――
私たちは、負けた。この時点で、そう確信してしまった。いや、そう確信しなければいけない状況だった。
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