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木山春斗の勇者録~オクタヴィアサンクチュアリ~
タビノハジマリ
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この世界には必要な人間、不必要な人間がいる。
この世界において、人間の秩序は亡くなり、すべての物が神に与える供物と化した。
しかし、その中で神に対抗出来る人間が世界には100万人に1人はいるという。
この産廃した世界において人類の人口は大幅に減り、総人口は約600万ほどだ。
しかし、その中で6人も神に対抗できる「オクタヴィア」が居るとは限らない。
だがその中に「オクタヴィア」が居ることは確実だ。
僕も「オクタヴィア」については話だけで、その素性や、所在地を知っているわけでもない。
僕は父から【選ばれし4人】を探し出すことを受け継いだ。
つまり、父の話が正しければ、この世界にオクタヴィアは4人存在する。
さっきも言ったとおり、話だけで詳しくは知らないが、オクタヴィアとしての
候補を選び出す手段は教えられた。
4人すべてに共通していることだ。その4人は全員、左右非対称の瞳、「オッドアイ」らしい。
だが、それだけではない。オクタヴィアは全員16歳の少女だという。
この二つだけを頼りに、父の探していたオクタヴィアを探している。
彼女達のことはわからないが、自分が彼女たちにどうしてもしてもらわなければいけないことがあるのは確かだった。
「坊主、前を向いて歩かなきゃダメだろ」
聞き覚えのある低い声。
またか……溜息と同時に、少しだけ安心感を覚えた。
「坊主、坊主って……いい加減名前を憶えてください」
そうだ。彼とは長い付き合いだが、その中で一回も彼に名前を呼ばれたことはない。
「ほう、面白いこと言うじゃねえか、坊主」
「というか……なんでついて来てるんですか!」
そうだ。今は彼と名前についてのやり取りをしている暇はない。
彼は、数日前から、なぜかずっと僕についてくる。
「なんでって聞かれても……なあ……」
彼は父の知り合いだ。しかし、彼まで僕の旅についてくる義務はない。というか、邪魔されたくない。
「まあいいじゃねえか、お前さんの父親に言われてんだ」
言われた? 初耳だ。そんなことは事前に父から聞かされてない。でも、なんで彼に頼んだんだ……? 父さんは。
「でも、お前ひとりで彼女たちを見つけるのは無理だろう?」
「確かに……そうですが……」
確かにそうではある。僕一人で4人も全く素性の分からない人間を見つけるのは不可能だ。でも、それをやるのが僕の仕事だ。
「まあ、そういうことだ。坊主の父親だと思って優しくしてくれや」
それは逆じゃないか?
父親なら父親が子供に優しくするのが普通じゃないか?
まあ……そもそも家族ですらない彼に言うのは間違っている。
「なあ…坊主」
「……なんですか」
「そこまで一人にこだわりたい理由があるのか?」
「理由……そんなの、あるわけないじゃないですか……ロメオさん」
忘れていた。彼はロメオ・ゴメス。
父の冒険仲間で、父とともにオクタヴィアを探しに冒険に出ていた。
「それになあ…俺たちは幾度となくオクタヴィア探しをしたんだ。探し方のわからない甘ちゃんの坊主ひとりより、俺がついてた方が色々いいだろ?」
まあ……そうだ
「…分かりました…もう何も言いませんよ…」
何故だろう。言葉は勝手に口にしてい。別にロメオの事を嫌いなわけじゃない。
「坊主、さすがにその言い方には傷つくぞ」
「……謝りませんよ」
ああ、まただ。言葉っていうのは自分の意思とは別に口にしてしまうこともある。
今はまさにそれだ。
「まあいい、坊主、今晩はどうするんだ?」
「今晩……?まだ、決めてませんけど……」
「なら、このあたりにちょうど前の冒険で知り合った宿主が居るんだ。彼のとこに行ってみないか?」
「まあ、いいですけど……」
さすがに宿の一つくらいは知っているとは思っていた。しかし、前の冒険といった。
前の冒険……すなわち、1週間前だ。
その1週間で宿主と仲よくなった……?
彼がフレンドリーな性格じゃなければ無理だろう。
「まあ、前に行ったときはただ泊まっただけなんだがな」
ロメオは高笑いを上げながらそう言った。
ロメオのフレンドリーな性格じゃなければ確実に切れていた。そう思って次に口にした言葉は……
「でも、宿代は?」
そうじゃない。宿代くらいはさすがにロメオでも持っているだろう…
「ん? そんなもの元から用意してないぞ? わはは」
そこは笑う場所じゃないだろ。と、僕の中で鋭い突っ込みが入った。
でも、突っ込みどころじゃない。僕も宿代はない。
「この状況って……」
バカな僕でも察することのできる状況だ。
「野宿しなきゃいけない!?!?!?」
全く…これから先の旅もこんなのでいいのかと…溜息をつきながら思った。
この世界において、人間の秩序は亡くなり、すべての物が神に与える供物と化した。
しかし、その中で神に対抗出来る人間が世界には100万人に1人はいるという。
この産廃した世界において人類の人口は大幅に減り、総人口は約600万ほどだ。
しかし、その中で6人も神に対抗できる「オクタヴィア」が居るとは限らない。
だがその中に「オクタヴィア」が居ることは確実だ。
僕も「オクタヴィア」については話だけで、その素性や、所在地を知っているわけでもない。
僕は父から【選ばれし4人】を探し出すことを受け継いだ。
つまり、父の話が正しければ、この世界にオクタヴィアは4人存在する。
さっきも言ったとおり、話だけで詳しくは知らないが、オクタヴィアとしての
候補を選び出す手段は教えられた。
4人すべてに共通していることだ。その4人は全員、左右非対称の瞳、「オッドアイ」らしい。
だが、それだけではない。オクタヴィアは全員16歳の少女だという。
この二つだけを頼りに、父の探していたオクタヴィアを探している。
彼女達のことはわからないが、自分が彼女たちにどうしてもしてもらわなければいけないことがあるのは確かだった。
「坊主、前を向いて歩かなきゃダメだろ」
聞き覚えのある低い声。
またか……溜息と同時に、少しだけ安心感を覚えた。
「坊主、坊主って……いい加減名前を憶えてください」
そうだ。彼とは長い付き合いだが、その中で一回も彼に名前を呼ばれたことはない。
「ほう、面白いこと言うじゃねえか、坊主」
「というか……なんでついて来てるんですか!」
そうだ。今は彼と名前についてのやり取りをしている暇はない。
彼は、数日前から、なぜかずっと僕についてくる。
「なんでって聞かれても……なあ……」
彼は父の知り合いだ。しかし、彼まで僕の旅についてくる義務はない。というか、邪魔されたくない。
「まあいいじゃねえか、お前さんの父親に言われてんだ」
言われた? 初耳だ。そんなことは事前に父から聞かされてない。でも、なんで彼に頼んだんだ……? 父さんは。
「でも、お前ひとりで彼女たちを見つけるのは無理だろう?」
「確かに……そうですが……」
確かにそうではある。僕一人で4人も全く素性の分からない人間を見つけるのは不可能だ。でも、それをやるのが僕の仕事だ。
「まあ、そういうことだ。坊主の父親だと思って優しくしてくれや」
それは逆じゃないか?
父親なら父親が子供に優しくするのが普通じゃないか?
まあ……そもそも家族ですらない彼に言うのは間違っている。
「なあ…坊主」
「……なんですか」
「そこまで一人にこだわりたい理由があるのか?」
「理由……そんなの、あるわけないじゃないですか……ロメオさん」
忘れていた。彼はロメオ・ゴメス。
父の冒険仲間で、父とともにオクタヴィアを探しに冒険に出ていた。
「それになあ…俺たちは幾度となくオクタヴィア探しをしたんだ。探し方のわからない甘ちゃんの坊主ひとりより、俺がついてた方が色々いいだろ?」
まあ……そうだ
「…分かりました…もう何も言いませんよ…」
何故だろう。言葉は勝手に口にしてい。別にロメオの事を嫌いなわけじゃない。
「坊主、さすがにその言い方には傷つくぞ」
「……謝りませんよ」
ああ、まただ。言葉っていうのは自分の意思とは別に口にしてしまうこともある。
今はまさにそれだ。
「まあいい、坊主、今晩はどうするんだ?」
「今晩……?まだ、決めてませんけど……」
「なら、このあたりにちょうど前の冒険で知り合った宿主が居るんだ。彼のとこに行ってみないか?」
「まあ、いいですけど……」
さすがに宿の一つくらいは知っているとは思っていた。しかし、前の冒険といった。
前の冒険……すなわち、1週間前だ。
その1週間で宿主と仲よくなった……?
彼がフレンドリーな性格じゃなければ無理だろう。
「まあ、前に行ったときはただ泊まっただけなんだがな」
ロメオは高笑いを上げながらそう言った。
ロメオのフレンドリーな性格じゃなければ確実に切れていた。そう思って次に口にした言葉は……
「でも、宿代は?」
そうじゃない。宿代くらいはさすがにロメオでも持っているだろう…
「ん? そんなもの元から用意してないぞ? わはは」
そこは笑う場所じゃないだろ。と、僕の中で鋭い突っ込みが入った。
でも、突っ込みどころじゃない。僕も宿代はない。
「この状況って……」
バカな僕でも察することのできる状況だ。
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