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第1章 「俺たちの出会い。」
乙四奏者の彼は...。
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虎雅のことを大方説明した俺に対して、隣では目を点にして、俺と優さんの話の行方を伺っている虎雅の姿があった。
優さんは、虎雅のことをあらかた聞くと、納得したように俺の隣にいる虎雅に声をかけた。
「...あの、桜宮さん。乙四奏者のことを知っているということは、貴方はただの音楽マニアではないという事で、いいですよね...??どこで乙四のことを知ったのですか???」
目の前で、この間の冷たい雰囲気とは180度違う優の姿に虎雅は、酷く困惑していたが、我に返ると深呼吸を一つして、目の前の優に向かって口を開いた。
「実は...ここの店の店主であるおじさんが、俺が初めてこの店に来た時に、弾いていた曲があの曲だったんだ...。俺は、元々このお店に来る予定ではなかったが、店の前を通った時に、例の曲が聴こえてきて、それで何故かわからないけど、気がついたら店の中に入ってピアノの旋律が聴こえる方に、何も考えずに歩いていっていたんだ。ピアノを引き終わったおじさんは、俺に気づくとニコッと微笑んで、『この曲...分かるのかい??』って言われたことが、俺が乙四奏者の存在を知った経緯と、このお店に通う理由だ...。」
こう言って話し終えた虎雅は、どこか照れくさそうに、目の前で自分の話を真剣に聞いていた優を見つめた。
そんな虎雅に、興味深そうな顔をして優は、目の前の俺と虎雅にこう声をかけた。
「あの...お二人にお願いがあります。俺がこの曲を弾いていること...他の人には言わないで貰えませんか???」
「えっ、なんで...??」
優の慌てた様子に虎雅は、訳が分からないと言わんばかりの顔で、優に尋ね返した。
すると優は、困った表情で終始言いにくそうにしていたが、顔を上げるとゆっくり口を開いた。
「俺が...困るから...昔、ある事件が起こって...それから...。」
「ある事件って、一体なんだよ??」
「それは...言えない...。」
「はぁ!?意味わからないだろ!!」
「...。」
虎雅の問いに大雑把に答えた優に対して、虎雅は、ますます訳が分からなくなり、もどかしい気持ちで優を見つめると声を荒らげた。
そんな虎雅に優は、それ以上何も言えずただ俯いていた。
虎雅は、優に痺れを切らして次の瞬間、優の肩を掴むと、低い声でこう呟いた。
「...理由...理由を言ってくれなきゃ、俺達が困る...。優さんを、俺達のバンドに入れるためにも...言ってくれなきゃわからない...。」
「...っ!?...俺は、あなた達のバンドに入るなんて一言も言ってない!!(怒)勝手に決めないでくれないか!!...分かった、俺が理由を話せばお前達は、納得してくれるんだな???」
「あぁ、納得するとも。」
虎雅の言葉に優は、びっくりしたような顔をしていたが、虎雅の勝手さに苛立ちが立ち込めてしまい、半ばやけくそに優に言い返していた。
そんな優に虎雅は、大きく頷いた。
虎雅の様子にため息を一つつき、優は諦めたように話し始めた。
「...はぁ、俺は...ここの楽器店の店主が大嫌いだ。...嫌いで嫌いで...憎いから...だから『はぁ!?...てめぇ、いい加減にしろよ!!やっと喋ったと思って、黙って聞いてれば、店主のおじさんの悪口ばかりいいやがって!!!...お前は、ピアノを弾かせてもらってるんじゃないのか???おじさんは、優しいから...お前のような、無神経な奴にまで優しくするんだよ!!!!...そんなにおじさんのことが嫌いなら...もう二度とこの店に来るな!!!!!おじさんが、可哀想だ!!そんなお前が、この店に来る資格なんてない!!!!!』...っ。『なんの騒ぎだい!??ちょっと、虎雅くん!?...あっ、優くん!!待って!!!』...おじさん、今までありがとう...でも、もうこの店に来ることは無いから...じゃあ、今までお世話になりました。」
優の話を黙って聞いていた虎雅だったが、優の余りにも酷い言い様に、ついには堪忍袋の緒が切れ、優の胸ぐらを掴むと、大声で怒鳴り散らした。
近くで見ていた翔真も流石にまずいと思い、止めに入ろうとしたが、虎雅が翔真を睨みつけてそれを拒んだため、翔真はその場を動くことが出来なかった。
虎雅の大声に店主のおじさんは、買い出しから帰ってきて早々に、目を丸くして慌てた様子で店に入ってきた。
そんなおじさんに気がついた優は、何も言わずに店を出ていこうとしたが、おじさんに腕を掴まれて、動きをとめられてしまった。
だが引き留めるおじさんには構わずに、小さくお礼を言うと、優はおじさんの腕を振り払って、足早に店を出ていった。
残された虎雅と翔真におじさんは、困った顔をして静かにこう言った。
「...何があったのかわからないけど...少し、君たちに話しておきたいことがあるんだ。...温かい飲み物を入れてあげるから、バックヤードまでついてきてくれるかな??」
こう言うとおじさんは、さっとバックヤードに歩みを進めた。
「...。」
「...はい、分かりました。行くぞ...翔真。」
おじさんの顔は、いつになく真剣で、これからされる話は、100パーセント笑えるものでは無いことが、虎雅と翔真には容易に察することが出来た。
翔真の息を呑む音に気付いた虎雅は、翔真に短く声をかけると、一足先にバックヤードへと向かっていった。
翔真も、覚悟を決め、虎雅の後を追う形で、バックヤードに入っていった。
優さんは、虎雅のことをあらかた聞くと、納得したように俺の隣にいる虎雅に声をかけた。
「...あの、桜宮さん。乙四奏者のことを知っているということは、貴方はただの音楽マニアではないという事で、いいですよね...??どこで乙四のことを知ったのですか???」
目の前で、この間の冷たい雰囲気とは180度違う優の姿に虎雅は、酷く困惑していたが、我に返ると深呼吸を一つして、目の前の優に向かって口を開いた。
「実は...ここの店の店主であるおじさんが、俺が初めてこの店に来た時に、弾いていた曲があの曲だったんだ...。俺は、元々このお店に来る予定ではなかったが、店の前を通った時に、例の曲が聴こえてきて、それで何故かわからないけど、気がついたら店の中に入ってピアノの旋律が聴こえる方に、何も考えずに歩いていっていたんだ。ピアノを引き終わったおじさんは、俺に気づくとニコッと微笑んで、『この曲...分かるのかい??』って言われたことが、俺が乙四奏者の存在を知った経緯と、このお店に通う理由だ...。」
こう言って話し終えた虎雅は、どこか照れくさそうに、目の前で自分の話を真剣に聞いていた優を見つめた。
そんな虎雅に、興味深そうな顔をして優は、目の前の俺と虎雅にこう声をかけた。
「あの...お二人にお願いがあります。俺がこの曲を弾いていること...他の人には言わないで貰えませんか???」
「えっ、なんで...??」
優の慌てた様子に虎雅は、訳が分からないと言わんばかりの顔で、優に尋ね返した。
すると優は、困った表情で終始言いにくそうにしていたが、顔を上げるとゆっくり口を開いた。
「俺が...困るから...昔、ある事件が起こって...それから...。」
「ある事件って、一体なんだよ??」
「それは...言えない...。」
「はぁ!?意味わからないだろ!!」
「...。」
虎雅の問いに大雑把に答えた優に対して、虎雅は、ますます訳が分からなくなり、もどかしい気持ちで優を見つめると声を荒らげた。
そんな虎雅に優は、それ以上何も言えずただ俯いていた。
虎雅は、優に痺れを切らして次の瞬間、優の肩を掴むと、低い声でこう呟いた。
「...理由...理由を言ってくれなきゃ、俺達が困る...。優さんを、俺達のバンドに入れるためにも...言ってくれなきゃわからない...。」
「...っ!?...俺は、あなた達のバンドに入るなんて一言も言ってない!!(怒)勝手に決めないでくれないか!!...分かった、俺が理由を話せばお前達は、納得してくれるんだな???」
「あぁ、納得するとも。」
虎雅の言葉に優は、びっくりしたような顔をしていたが、虎雅の勝手さに苛立ちが立ち込めてしまい、半ばやけくそに優に言い返していた。
そんな優に虎雅は、大きく頷いた。
虎雅の様子にため息を一つつき、優は諦めたように話し始めた。
「...はぁ、俺は...ここの楽器店の店主が大嫌いだ。...嫌いで嫌いで...憎いから...だから『はぁ!?...てめぇ、いい加減にしろよ!!やっと喋ったと思って、黙って聞いてれば、店主のおじさんの悪口ばかりいいやがって!!!...お前は、ピアノを弾かせてもらってるんじゃないのか???おじさんは、優しいから...お前のような、無神経な奴にまで優しくするんだよ!!!!...そんなにおじさんのことが嫌いなら...もう二度とこの店に来るな!!!!!おじさんが、可哀想だ!!そんなお前が、この店に来る資格なんてない!!!!!』...っ。『なんの騒ぎだい!??ちょっと、虎雅くん!?...あっ、優くん!!待って!!!』...おじさん、今までありがとう...でも、もうこの店に来ることは無いから...じゃあ、今までお世話になりました。」
優の話を黙って聞いていた虎雅だったが、優の余りにも酷い言い様に、ついには堪忍袋の緒が切れ、優の胸ぐらを掴むと、大声で怒鳴り散らした。
近くで見ていた翔真も流石にまずいと思い、止めに入ろうとしたが、虎雅が翔真を睨みつけてそれを拒んだため、翔真はその場を動くことが出来なかった。
虎雅の大声に店主のおじさんは、買い出しから帰ってきて早々に、目を丸くして慌てた様子で店に入ってきた。
そんなおじさんに気がついた優は、何も言わずに店を出ていこうとしたが、おじさんに腕を掴まれて、動きをとめられてしまった。
だが引き留めるおじさんには構わずに、小さくお礼を言うと、優はおじさんの腕を振り払って、足早に店を出ていった。
残された虎雅と翔真におじさんは、困った顔をして静かにこう言った。
「...何があったのかわからないけど...少し、君たちに話しておきたいことがあるんだ。...温かい飲み物を入れてあげるから、バックヤードまでついてきてくれるかな??」
こう言うとおじさんは、さっとバックヤードに歩みを進めた。
「...。」
「...はい、分かりました。行くぞ...翔真。」
おじさんの顔は、いつになく真剣で、これからされる話は、100パーセント笑えるものでは無いことが、虎雅と翔真には容易に察することが出来た。
翔真の息を呑む音に気付いた虎雅は、翔真に短く声をかけると、一足先にバックヤードへと向かっていった。
翔真も、覚悟を決め、虎雅の後を追う形で、バックヤードに入っていった。
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