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第2章 「俺たちの仲間に!」
「俺自身の覚悟。」
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俺は、開いた口がふさがらなかった。
桜宮さんが、中二病臭い事を言ったからではない。
なぜなら、目の前にいる桜宮さんは頭のおかしなことを言っているくせに、目は本気さを含んでいたからだ。
俺は、桜宮さんの提案には最初から乗る気なんてなかった。だから、目の前に立っている二人に向かってこう言ったんだ。
「何を馬鹿なこと言っているんですか??今、俺があなた方に話したことを、一言一句漏らさずに聞いていましたか???俺は、あなた方にこれ以上関わって欲しくない。だから、乙四の危険性を知れば、俺の前から姿を消してくれると思ったのに...。なんで、こんなに執着的に、俺の事をバンドに誘ってくるんですか。あなたたちは、本当にどうかしてる...!!『...馬鹿なことですか??少なくとも、俺たちはあなたを自分たちのバンドに入れたいという、明確な理由を持った上で、こうやって行動に移しているんです。それを、馬鹿だって言うんですか??目標に向かって行動を取る人を、あなたは馬鹿だって言うんですか???そして、執着的にあなたを誘うのも、あなたを私たちのバンドに入れたい。あなたのピアノには、人を惹き付ける特別な魅力があると実感したからです。...これでも理由になっていませんか?』っ...仮に、俺がその条件を呑んだとして、俺は君たちのバンドメンバーの一員として一体何をさせられるの?雑用係?ストレス発散材???それとも、お金儲けの材料???...どれも、これまでに幾度となく経験してきた。そういうのが欲しいなら、もっと使える人を探した方がいいよ。『いいえ、俺たちは、優さんと一緒にバンドデビューすることが夢で有り、目標です。だから、俺たちの一員になった場合は、大学の講義が終わった後に、練習部屋に集まって、みんなで定期イベントの練習に参加してもらいます。勿論、強制ですよ??』...もし、俺が君たちのバンドに入ったら、俺に無理を言ったりしない??...俺に、心置き無くピアノを弾かせてくれる???」
俺の力ない言葉に、冬月さんはにっこりと微笑むと、俺のほうに近づいてきて、俺の目の前まで来ると、俺の手をぎゅっと握りしめて、こう言ってきた。
「もちろんですよ。だって私たちは、あなたのピアノの魅力に、惹かれてしまったんですから。あなたが、ピアノを弾かなくて、誰がピアノを弾いてくれるんですか??(笑)...これでも、まだ俺たちのことを拒み続けますか??」
冬月さんの言葉に俺は、意識せずに言葉が口から勝手に零れていた。
「...いいえ、俺をあなた方のバンドに入れて下さい。俺は、やっぱりピアノが弾きたいです...!」
俺は、冬月さんとその後ろにいる桜宮さんに対して、勢いよく頭を下げた。顔は見えなかったが、暫くの沈黙の後、目の前から笑い声が聞こえてきて、咄嗟に俺は顔をあげた。
「...何改まってるんですか???俺たちが誘ったんですから、俺たちがお礼言わないといけないのに。(笑)...優さん、ありがとうございます。これからよろしくお願いしますね。(笑)」
「だな!俺たちが誘ったのに、なんか、逆にお願いされると調子狂うよな!!(笑)...ありがとう。優さん、俺たちのこと信じてくれたあなたのその心、決して裏切ったりしませんから。」
俺は、その時心の中でこう思った。
この人達になら、俺は俺自身を任せられるかもしれないと。
こんなこと恥ずかしすぎて、直接言葉にすることは出来ないけれど。
でも、俺はこの人達について行く。
この人達を信頼する。
それが、俺の出した答え。俺の覚悟だから...。
「ということで、優さんも晴れて俺たちの仲間の一員ということで、近々アイスブレークと題した、飲み会したいと思うので、俺たちメンバーのグループ呼びますね。」
「...グループを呼ぶ??今からですか???(汗)」
俺がこう聞き返した瞬間、何かを悟ったであろう、目の前でスマホを手にしている冬月さんは、遠慮がちに俺にこう聞いてきた。
「もしかして...携帯電話の通話アプリとかって入れてなかったですか?」
「いや、そうじゃなくて...。俺...携帯自体持ってないんだ...。だから、その通話アプリっていうもの自体が分からない。ごめん。」
俺の言葉に対して、目の前の二人は顎が外れそうなほど口を開けていた。
そんな二人に、俺はどうしたものかと頭を悩ませていた。
携帯ないのって...おかしいのか??
すると次の瞬間、冬月さんがにっこり笑顔でこう言ってきた。
「じゃあ、俺たちの練習場所に、都合の良い時でいいから顔出してみて!!その日にいこう。その方が、いきなり感があって楽しいし、いつ来るかな~ってうずうずしながら待てるしね!!(笑)」
「おっ、じゃあいつ来るかで、練習部屋の掃除一ヶ月間を賭けるか??(笑)『ちょっと!虎雅!?それだけは、やめてって言ってるでしょ!!!!俺がおばけ嫌いなの知ってるよね!???」
こんな二人の様子を見て、俺は自然と笑みが零れていた。
もう一回...人を信じてみるのもいいかもしれないな...。(笑)
桜宮さんが、中二病臭い事を言ったからではない。
なぜなら、目の前にいる桜宮さんは頭のおかしなことを言っているくせに、目は本気さを含んでいたからだ。
俺は、桜宮さんの提案には最初から乗る気なんてなかった。だから、目の前に立っている二人に向かってこう言ったんだ。
「何を馬鹿なこと言っているんですか??今、俺があなた方に話したことを、一言一句漏らさずに聞いていましたか???俺は、あなた方にこれ以上関わって欲しくない。だから、乙四の危険性を知れば、俺の前から姿を消してくれると思ったのに...。なんで、こんなに執着的に、俺の事をバンドに誘ってくるんですか。あなたたちは、本当にどうかしてる...!!『...馬鹿なことですか??少なくとも、俺たちはあなたを自分たちのバンドに入れたいという、明確な理由を持った上で、こうやって行動に移しているんです。それを、馬鹿だって言うんですか??目標に向かって行動を取る人を、あなたは馬鹿だって言うんですか???そして、執着的にあなたを誘うのも、あなたを私たちのバンドに入れたい。あなたのピアノには、人を惹き付ける特別な魅力があると実感したからです。...これでも理由になっていませんか?』っ...仮に、俺がその条件を呑んだとして、俺は君たちのバンドメンバーの一員として一体何をさせられるの?雑用係?ストレス発散材???それとも、お金儲けの材料???...どれも、これまでに幾度となく経験してきた。そういうのが欲しいなら、もっと使える人を探した方がいいよ。『いいえ、俺たちは、優さんと一緒にバンドデビューすることが夢で有り、目標です。だから、俺たちの一員になった場合は、大学の講義が終わった後に、練習部屋に集まって、みんなで定期イベントの練習に参加してもらいます。勿論、強制ですよ??』...もし、俺が君たちのバンドに入ったら、俺に無理を言ったりしない??...俺に、心置き無くピアノを弾かせてくれる???」
俺の力ない言葉に、冬月さんはにっこりと微笑むと、俺のほうに近づいてきて、俺の目の前まで来ると、俺の手をぎゅっと握りしめて、こう言ってきた。
「もちろんですよ。だって私たちは、あなたのピアノの魅力に、惹かれてしまったんですから。あなたが、ピアノを弾かなくて、誰がピアノを弾いてくれるんですか??(笑)...これでも、まだ俺たちのことを拒み続けますか??」
冬月さんの言葉に俺は、意識せずに言葉が口から勝手に零れていた。
「...いいえ、俺をあなた方のバンドに入れて下さい。俺は、やっぱりピアノが弾きたいです...!」
俺は、冬月さんとその後ろにいる桜宮さんに対して、勢いよく頭を下げた。顔は見えなかったが、暫くの沈黙の後、目の前から笑い声が聞こえてきて、咄嗟に俺は顔をあげた。
「...何改まってるんですか???俺たちが誘ったんですから、俺たちがお礼言わないといけないのに。(笑)...優さん、ありがとうございます。これからよろしくお願いしますね。(笑)」
「だな!俺たちが誘ったのに、なんか、逆にお願いされると調子狂うよな!!(笑)...ありがとう。優さん、俺たちのこと信じてくれたあなたのその心、決して裏切ったりしませんから。」
俺は、その時心の中でこう思った。
この人達になら、俺は俺自身を任せられるかもしれないと。
こんなこと恥ずかしすぎて、直接言葉にすることは出来ないけれど。
でも、俺はこの人達について行く。
この人達を信頼する。
それが、俺の出した答え。俺の覚悟だから...。
「ということで、優さんも晴れて俺たちの仲間の一員ということで、近々アイスブレークと題した、飲み会したいと思うので、俺たちメンバーのグループ呼びますね。」
「...グループを呼ぶ??今からですか???(汗)」
俺がこう聞き返した瞬間、何かを悟ったであろう、目の前でスマホを手にしている冬月さんは、遠慮がちに俺にこう聞いてきた。
「もしかして...携帯電話の通話アプリとかって入れてなかったですか?」
「いや、そうじゃなくて...。俺...携帯自体持ってないんだ...。だから、その通話アプリっていうもの自体が分からない。ごめん。」
俺の言葉に対して、目の前の二人は顎が外れそうなほど口を開けていた。
そんな二人に、俺はどうしたものかと頭を悩ませていた。
携帯ないのって...おかしいのか??
すると次の瞬間、冬月さんがにっこり笑顔でこう言ってきた。
「じゃあ、俺たちの練習場所に、都合の良い時でいいから顔出してみて!!その日にいこう。その方が、いきなり感があって楽しいし、いつ来るかな~ってうずうずしながら待てるしね!!(笑)」
「おっ、じゃあいつ来るかで、練習部屋の掃除一ヶ月間を賭けるか??(笑)『ちょっと!虎雅!?それだけは、やめてって言ってるでしょ!!!!俺がおばけ嫌いなの知ってるよね!???」
こんな二人の様子を見て、俺は自然と笑みが零れていた。
もう一回...人を信じてみるのもいいかもしれないな...。(笑)
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