ファンタジア！！

第4章「乙四の開幕と奏也の危機。」

「何やってるんだよ！！！」

 俺は、皆に見捨てられたという複雑な気持ちを抱えたまま、家に迎えに来た両親と共に空港に向かった。

 俺は月並みの皆に、最後ぐらいさよならを言いたかったなと思いながら、本当に憎いくらい良く晴れた空を睨みつけながら、車窓から流れていく景色を眺めていた。

 暫くして空港に着き、飛行機に乗るために空港へと入った瞬間、俺の耳には信じられない音が響いていた。

「...ウソだろ。なんでこの曲がっ？？？...あっ。あいつら...なんで...こんな所に！？？だって、俺の自分勝手な性格に呆れて、俺の事を突き放したんじゃ...。」

 俺が声を荒げたのも無理はない。

 だって、俺の目の前にいたのは、楽器をかき鳴らしながら、俺の名前を時々呼ぶ月並みの皆だったのだから。

 俺は黙っていることが出来ず、目の前にいる月並みのみんなに声を掛けた。

「...お前ら。一体何やってるんだよ！！！！！空港で、しかも無許可で楽器を弾くなんて、どういう神経してるんだよ！！こんなことしたら、お前らは...。『俺らには奏也が必要だ。だから、奏也がいない月並みなんて、そんなの月並みじゃない。奏也？？俺たちと、もう一度一緒にバンドをしよう？？？なぁ？？？奏也がやりたかったのは、本当にオペラなのか？？？俺たちに見せてくれていた笑顔は、全部偽物だったのか？？？なぁ、奏也？？？答えろよ！！！！』...っ！！」

 俺は皆に方をじっと見つめながら、静かにこう言った。

「そんなの...決まってるじゃないか！！！俺は皆とバンドをしていたいんだ！！！でも皆は、俺が親と何を話していたのか聞いたとき...お前には関係ないと突き放しただろう？？？俺はその時、皆に見放されたんだと思ったんだぞ...。だから、どうせ必要とされていないのであれば、俺は海外に行くべきなんだと...『お前は馬鹿なのか！？？？どれだけ一緒に活動してきたんだよ！！！俺たちが、いつお前のことを拒んだんだよ！！！俺たちは、奏也の両親から聞かされた胸くそ悪い話に、イライラしていたんだ。...どうすれば、奏也を俺たちの元に連れ戻す事が出来るのかを考えるために、皆で話し合いがしたかったんだ。だから、決してお前のことが嫌いだとか、そういうことではない。勘違いも程々にしろ！！』...それならそうと言ってくれないと分からないよ！！！（怒）そんなの、俺だって皆と一緒にいたくていたくて...だから、俺も一緒に話し合いに参加したかったのに、皆は俺の事仲間だと思ってないのかよ！！！！仲間なら、一緒に戦わせてくれよ！！！！」

 俺の言葉に、目の前にいた虎雅さんの瞳が、微かに揺れたような気がした。

 俺がこう思った時虎雅さんは、俺の方をじっと見つめて、次の瞬間、目の前にいる俺に対して静かに頭を下げた。

 そして頭を下げたまま、こう口にした。

「申し訳なかった。奏也がそれほどまでに、俺のいった言葉を気にしているなんて、思ってもみなかった。奏也に、これ以上悲しい思いをさせたくなかったんだ。だから...『だから、俺は皆の話し合いから、除け者にされたんだね。...虎雅さん。言っておくけど、俺は悲しい思いなんてこれっぽっちもしてないし...勝手に決めつけないでくれる？？？』...っ...ごめん。そういうつもりじゃ...。奏也...。これからは、ちゃんと相談するから...。だから、もう一度月並みに帰ってきてくれないか？？？」

 虎雅さんに対して、心にもないことを言ってしまう俺は、どれだけ自分勝手なんだろうか。

 俺は、こんなことが言いたいんじゃないのに...。

 駄目だな...。

 俺...虎雅さんがあまりにも面倒見が良すぎて、ついつい甘え過ぎちゃってるんだろうな。

 はぁ、俺もいい加減大人にならないとな。

 こんなことを考えていると、背後から事の発端を運んできた、俺の両親が口を挟んできたのだった。