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第4章「乙四の開幕と奏也の危機。」
「俺の話を聞いて下さい。」
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俺の背後から声をかけた、事の発端を運んできた両親は、月並みのみんなを目に留めた瞬間、鋭い目つきでこう言った。
「...っ!!!(汗)なんであなたたちがここにいるのよ!!しかも、大学生で昨日突きつけた条件を何とかするためにって...無許可で空港みたいな公共の場で、楽器を演奏するなんて、一体何を考えているの!!!こんなことをして、ただで済むはずがないわ!!!」
両親の意見に対して、俺の方を見つめていた虎雅さんは、両親の方に視線を移して、冷めた目でこう言った。
「勿論、そんなの決まっているじゃないですか!!!!俺たちは...俺たちだけでは月並みは成立しない。俺たちは...奏也がいてはじめて月並みなんだ!!!月並みとして、これからもバンド活動を行っていきたい俺たちは、それ相応の覚悟を決めてここに来たんだ。俺たちの覚悟を、何も知らないアンタたちに何が分かるんだ!!!これは、俺たちと奏也の問題だ!あなたたちには関係の無いことだ!」
こう言った虎雅さんの言葉に眉間に、より一層皺を寄せた俺の母親は、虎雅さんに罵声を浴びせた。
「あなたね...昨日も言ったけど、言っていいことと、言って悪いことの区別もつかないの!!???確かに、月並みというバンドで活躍するには奏也の才能が欲しくなるのも分かるわよ??でもね...奏也の才能を利用して売れたって、そんなの何の意味も無いわ!!!あなたたちが、自己満足するためだけに奏也の才能を悪用しないでちょうだい???目障りよ!!!」
母親の言葉に、流石に感情が押さえきれなくなった俺は、無意識のうちに反論の言葉を発していた。
「それは違うよ!母さん!!!俺が...俺の意思で月並みに入ったんだ!!...虎雅さんは他の人と違う。虎雅さんだけじゃない、翔真さんや優さん...それにずっと俺と一緒にいてくれた七緒...みんながこれまでの人生で出会った人たちとは違う。俺の才能じゃなくて、人格を見てくれたんだ。俺はそんな人たちだからこそ、このバンドに進んで入って、皆と練習に励んでいたんだ。母さんは、俺の気持ちを何一つ分かっていない。俺...今ならはっきり言えるよ、俺はオペラ歌手にはならない。俺は月並みとして、バンド活動がしたい。これが俺の答え。俺の気持ちだよ!!!」
俺がはっきりと自分の気持ちを伝えると、目の前の両親はひどく動揺した顔つきで俺の腕を掴むと、強引に飛行機の搭乗口に入ろうとした。
俺は必死に腕を振って、掴まれた腕を振り払おうとしたが、母親は俺の気持ちを受け入れられなかったのか、それは凄い力で腕を掴んでいたため、びくともしなかった。
そんなとき...俺の父親が、俺に向かってこう言った。
「...そうだったのか??奏也...奏也はオペラ歌手にはなりたくなかったのか??俺たちがお前の才能に期待していたから。その時の俺たちの反応を見るためだけに、オペラの勉強をこれまで頑張っていたのか????...俺たちが、お前と一緒にいなかったあの頃...お前は、俺たちの事を片時も忘れずにいてくれたのか???」
父親の言葉に俺は歩みを止めて、背後で苦痛に耐えるような顔をしていた父親に向かって、呆れた顔を向けた。
「...そうだよ!!!今頃気付いたのかよ!???遅いんだよ!!!......それでも、お前らは俺の両親だって胸を張って言えるのかよ!!!なぁ、どうなんだよ!俺の言葉に..子供である俺と真っ向から話すことが出来るのかよ!!!『...分からない。俺は...お前とこれまでしっかりと向き合ってこなかったから...こうやって、お前の口から正直な気持ちを聞くと...どう接していいのか。どんな言葉を掛けてやるべきなのか...分からないんだ。...ごめん。』...っ。」
父親の言葉に反論してやろうと思ったが、父親の顔を見た途端、口を出かかっていた言葉を飲み込みざる負えなかった。
だって...俺のことを申し訳なさそうな、今にも泣き出しそうな顔で見つめてきていたのだから。
そんな父親の様子に、痺れを切らした母親が、声を荒げてこう言った。
「あなた!???何馬鹿なこと言っているの???奏也は、もうオペラの学校に行くことになっているのよ???なのに、あなたが奏也の言葉に納得してどうするのよ!!!」
母親の厳しい言葉に、父親は驚くべきことを言ったのだ。
「じゃあ、チャンスをあげたらどうだ???月並みに納得させられたら、その時は大人しく、俺たちは身を引くというのは...それなら納得いくだろう???」
こう言った父親の目は、今までに見たこともないくらい真剣な眼差しであった。
「...っ!!!(汗)なんであなたたちがここにいるのよ!!しかも、大学生で昨日突きつけた条件を何とかするためにって...無許可で空港みたいな公共の場で、楽器を演奏するなんて、一体何を考えているの!!!こんなことをして、ただで済むはずがないわ!!!」
両親の意見に対して、俺の方を見つめていた虎雅さんは、両親の方に視線を移して、冷めた目でこう言った。
「勿論、そんなの決まっているじゃないですか!!!!俺たちは...俺たちだけでは月並みは成立しない。俺たちは...奏也がいてはじめて月並みなんだ!!!月並みとして、これからもバンド活動を行っていきたい俺たちは、それ相応の覚悟を決めてここに来たんだ。俺たちの覚悟を、何も知らないアンタたちに何が分かるんだ!!!これは、俺たちと奏也の問題だ!あなたたちには関係の無いことだ!」
こう言った虎雅さんの言葉に眉間に、より一層皺を寄せた俺の母親は、虎雅さんに罵声を浴びせた。
「あなたね...昨日も言ったけど、言っていいことと、言って悪いことの区別もつかないの!!???確かに、月並みというバンドで活躍するには奏也の才能が欲しくなるのも分かるわよ??でもね...奏也の才能を利用して売れたって、そんなの何の意味も無いわ!!!あなたたちが、自己満足するためだけに奏也の才能を悪用しないでちょうだい???目障りよ!!!」
母親の言葉に、流石に感情が押さえきれなくなった俺は、無意識のうちに反論の言葉を発していた。
「それは違うよ!母さん!!!俺が...俺の意思で月並みに入ったんだ!!...虎雅さんは他の人と違う。虎雅さんだけじゃない、翔真さんや優さん...それにずっと俺と一緒にいてくれた七緒...みんながこれまでの人生で出会った人たちとは違う。俺の才能じゃなくて、人格を見てくれたんだ。俺はそんな人たちだからこそ、このバンドに進んで入って、皆と練習に励んでいたんだ。母さんは、俺の気持ちを何一つ分かっていない。俺...今ならはっきり言えるよ、俺はオペラ歌手にはならない。俺は月並みとして、バンド活動がしたい。これが俺の答え。俺の気持ちだよ!!!」
俺がはっきりと自分の気持ちを伝えると、目の前の両親はひどく動揺した顔つきで俺の腕を掴むと、強引に飛行機の搭乗口に入ろうとした。
俺は必死に腕を振って、掴まれた腕を振り払おうとしたが、母親は俺の気持ちを受け入れられなかったのか、それは凄い力で腕を掴んでいたため、びくともしなかった。
そんなとき...俺の父親が、俺に向かってこう言った。
「...そうだったのか??奏也...奏也はオペラ歌手にはなりたくなかったのか??俺たちがお前の才能に期待していたから。その時の俺たちの反応を見るためだけに、オペラの勉強をこれまで頑張っていたのか????...俺たちが、お前と一緒にいなかったあの頃...お前は、俺たちの事を片時も忘れずにいてくれたのか???」
父親の言葉に俺は歩みを止めて、背後で苦痛に耐えるような顔をしていた父親に向かって、呆れた顔を向けた。
「...そうだよ!!!今頃気付いたのかよ!???遅いんだよ!!!......それでも、お前らは俺の両親だって胸を張って言えるのかよ!!!なぁ、どうなんだよ!俺の言葉に..子供である俺と真っ向から話すことが出来るのかよ!!!『...分からない。俺は...お前とこれまでしっかりと向き合ってこなかったから...こうやって、お前の口から正直な気持ちを聞くと...どう接していいのか。どんな言葉を掛けてやるべきなのか...分からないんだ。...ごめん。』...っ。」
父親の言葉に反論してやろうと思ったが、父親の顔を見た途端、口を出かかっていた言葉を飲み込みざる負えなかった。
だって...俺のことを申し訳なさそうな、今にも泣き出しそうな顔で見つめてきていたのだから。
そんな父親の様子に、痺れを切らした母親が、声を荒げてこう言った。
「あなた!???何馬鹿なこと言っているの???奏也は、もうオペラの学校に行くことになっているのよ???なのに、あなたが奏也の言葉に納得してどうするのよ!!!」
母親の厳しい言葉に、父親は驚くべきことを言ったのだ。
「じゃあ、チャンスをあげたらどうだ???月並みに納得させられたら、その時は大人しく、俺たちは身を引くというのは...それなら納得いくだろう???」
こう言った父親の目は、今までに見たこともないくらい真剣な眼差しであった。
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