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第5章「乙四の謎解き開始???」
「ディアマンの正体は...引きこもり???」
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「俺は...俺には、友達がいないんだ。...俺は...小学校から酷いいじめにあっていた...。理由は簡単だ...俺の両親は、かの有名な志乃楽(しのらく)の右腕に位置していた音楽家だったからだ...。その頃から...俺は、両親の元で厳しい音楽漬けの日々を送っていた...。あの頃は、友達と外で遊んだり、一緒に馬鹿やって怒られて...時には外で転んで怪我のひとつでもしてみたかったよ...。でも、そんなごく当たり前と思われていることさえ、あの頃の俺には、何一つ許されなかったんだ...。ある日俺が、友達と遊びたいと言っても、ピアノの練習がすむまで遊んではいけないと言われて、俺はその言葉を信じ、一日で到底終わるはずもない課題の山を必死に頑張った。...だけど答えは当然見えてて、俺は結局、いつも親からのだめだしばかりで、やっと練習が終わった頃には、大抵日付が変わっていた。こんな望まない生活のせいで、俺が友達からの誘いを断り続けた結果、俺は小学生で酷いいじめに遭うはめになったんだ。...中でも酷かったのは、教科書がなくなっていることなんて、日常茶飯事だったが...俺をいじめている奴らの、虫の居所が悪かった、その時は...俺の教科書が......トイレの便器の中に、乱暴に投げ捨てられていた。...俺はその時から、徐々に学校にいかなくなり...最終的には、いじめっ子にはさみで髪の毛を切られたときに、抵抗した俺と手元が狂った刃先のせいで、俺は片目を失明したんだ。俺は、このことを機に、学校から完全に距離をおいた。...それから俺は、学校にいかない分を、家庭教師に勉強を教えてもらう事で補っていた。そうして...完全通信制の中学と高校を出ると、俺は大学には行かずに、そのまま家のピアノ教室の臨時職員となった。...ピアノ教室での俺は、色んな人にピアノの才能を期待された。俺は小さい時に受けた、いじめの後遺症であった人間恐怖症が...次第に、人に対しての恐怖心が消え失せ、やっと安心して、幸せな日々を送れるはずだった。...そんなある日、俺の前に現れたのは.....俺の事をいじめた挙げ句、俺の片目と共に、人生を奪い去った憎い小学生時代の同級生だった。...そいつは、ピアノ教室に直接出向いてくると、俺に向かってあり得ないことを要求してきたんだ。『...俺のために曲を書いてくれないか???お前のこと、あんなにいじめて悪かった。お前の才能を買いたい......。』と。...俺は暫く何も言えなかった。小学生の頃に、散々いじめ倒して周りの奴と、俺の事を笑っていた目の前の奴が、大人になってからノコノコとやってきて、謝るでもなく...俺の曲が欲しいと...才能を買いたいと......正直ぶん殴ってやりたかった。でも、俺は彼の提案をのむことにしたんだ。仕方ないだろ...志乃楽の母と父を従えていたのは、そいつの親だったのだから...。従うしかなかったんだ...。それから俺は、奴に曲を提供し続ける日々を送るようになっていた。...そうして俺は、いつしか奴のゴーストライターになっていた。奴は...俺が提供した曲を使って、瞬く間に世界に名をとどろかせる大物へと、変貌をとげていった。俺は....そんな幼いときから変わらない奴に嫌気がさし...悪魔の曲と言われる乙四を彼に聴かせて、彼を乙四中毒者に仕立て上げたんだ。最初は、上手くいくなんて思ってなかったんだ...ネットに載っていた事を参考に、奴に乙四を聴かせたらなんと奴は...俺が曲を聴かせた次の日から、ピアノの前から一歩も動くことが出来なくなり、最終的にピアノの弾きすぎ...多疲労のせいで亡くなった...。その時に思ったのさ...!!俺は、乙四を使えば奴みたいな権力とお金で世間に物を言わせる奴に、一泡も二泡も吹かせることが出来るのではないのかとね...!!!」
ディアマンこと吉波は、俺たちに自らの過去を語ると、何かを考えるように急に黙りこんでしまった。
そんな吉波に優は、うんうんと頷くと、こう優しく声を掛けたのだった。
「...それは辛かったですね...。俺も分かりますよ??...俺も昔、父親に海外のお金持ちの家に売り飛ばされて、良いように使われていたんで...。俺が小学生の時に、初めてあなたに声を掛けてもらったことを今でも覚えています。あの時は、怖くて...人間の形をした黒い影がピアノを弾いているのが見えて...本当に悪魔がいるのではないのかと思ったほどだった...。『それは...あの劇場には、お金と権力をわんさか持った人たちが沢山いることを耳にしたから、いい機会だと思って...。数日前から劇場に機材を取り付けて、黒い影がピアノを弾いているみたいに見える特殊な細工、演出を施したんだ....。(汗)まさか、あんなに上手くいくなんて思ってなくて....君がピアノを弾く前にピアノを弾いた子は、たまたま俺と同じ境遇を持ち合わせていて、貴族に良いように利用されて...酷く恨みを持っていたんだろうね。だから、俺と同じように...乙四をあの場で演奏して、自分の命と引き替えにそいつらに復讐したかったんだと思う。ははっ、あれは、予想外だったなぁ。』....そうだったんですね。...でも、私は...あなたは小学生の頃に、あなたのことをいじめていた奴よりたちが悪い方だと思いますよ。...本当に悔しいんだったら、面と向かってぶつからないと...状況は何一つ変わりはしないんですから...!!だから、私は同情しません!!」
優の言葉に、何か打たれるところがあったのか、吉波は鼻をすすり...顔は見えなくとも、泣いていることが容易に理解できた。
俺は、優の言葉にじんと胸に突き刺さるものがあって、大学に入りたての頃に所属したバンドグループの先輩を思い出していた。
俺も...面と向かって先輩方に挑まないと、いつまでもこの状況は続いていくんだよな...。
なんて事を考えていると、目の前の奏也が優と吉波の会話に急に割って入っていた。
「ねぇねぇ、吉波さん!!!友達がいなくて寂しいならさ...俺が友達になる!!...どう???」
「どうって...奏也???お前と友達になるなんて、せいぜい俺ぐらいだと思うぞ???」
「はぁ????それどういう意味だよ!!七緒...もしかして嫉妬???....男の嫉妬は見苦しいぞ~~~!!!『馬鹿か、お前は!!!...お前みたいに、甘い物の事で脳みそいっぱいのやつなんて、誰も友達になってくれないって事だよ!!!!』...あれ???でもさ、七緒は友達じゃん...???それはなんで???」
奏也の脳天気なお誘いに、七緒は慌てた様子で奏也の提案を止めた。
そんな七緒の様子に奏也は、首をかしげて、いつも自分の事を散々振り回している七緒を、少しからかってやりたくなり、冗談を言った。
こんな奏也に七緒は、少し考えた後、顔を太陽のように真っ赤にして小さくこう言った。
「...だから...それは....俺は特別って事...あーーーー!!!!!もういいだろ!!!!(照)...照れるからやめてくれ!!」
いつもはクールな感じの七緒が、赤面して動揺を隠せていない姿が、あまりにも新鮮すぎたため、奏也は目を点にして一言
「えっ...まじもの...七緒って....男の娘???わぁーーーーお!...じゃあ、次の飲み会では七緒が女装担当ね!!!」
「お前...あとでぶっ殺してやるから覚悟してろよ???...1ヶ月間甘いものが食べられなくなるようにしてやるからな。」
七緒と奏也の会話を聞いていた吉波が、ぶっと吹き出しながら、少し照れたような声色で奏也に対してこう言った。
「...君と友達になったら、さぞ世界が180度違って見えるんだろうね。...興味深いな。...その...もし良かったら俺と...友達になってくれないだろうか...あっ。勿論、君さえ良ければ何だが...。」
ディアマンこと吉波は、俺たちに自らの過去を語ると、何かを考えるように急に黙りこんでしまった。
そんな吉波に優は、うんうんと頷くと、こう優しく声を掛けたのだった。
「...それは辛かったですね...。俺も分かりますよ??...俺も昔、父親に海外のお金持ちの家に売り飛ばされて、良いように使われていたんで...。俺が小学生の時に、初めてあなたに声を掛けてもらったことを今でも覚えています。あの時は、怖くて...人間の形をした黒い影がピアノを弾いているのが見えて...本当に悪魔がいるのではないのかと思ったほどだった...。『それは...あの劇場には、お金と権力をわんさか持った人たちが沢山いることを耳にしたから、いい機会だと思って...。数日前から劇場に機材を取り付けて、黒い影がピアノを弾いているみたいに見える特殊な細工、演出を施したんだ....。(汗)まさか、あんなに上手くいくなんて思ってなくて....君がピアノを弾く前にピアノを弾いた子は、たまたま俺と同じ境遇を持ち合わせていて、貴族に良いように利用されて...酷く恨みを持っていたんだろうね。だから、俺と同じように...乙四をあの場で演奏して、自分の命と引き替えにそいつらに復讐したかったんだと思う。ははっ、あれは、予想外だったなぁ。』....そうだったんですね。...でも、私は...あなたは小学生の頃に、あなたのことをいじめていた奴よりたちが悪い方だと思いますよ。...本当に悔しいんだったら、面と向かってぶつからないと...状況は何一つ変わりはしないんですから...!!だから、私は同情しません!!」
優の言葉に、何か打たれるところがあったのか、吉波は鼻をすすり...顔は見えなくとも、泣いていることが容易に理解できた。
俺は、優の言葉にじんと胸に突き刺さるものがあって、大学に入りたての頃に所属したバンドグループの先輩を思い出していた。
俺も...面と向かって先輩方に挑まないと、いつまでもこの状況は続いていくんだよな...。
なんて事を考えていると、目の前の奏也が優と吉波の会話に急に割って入っていた。
「ねぇねぇ、吉波さん!!!友達がいなくて寂しいならさ...俺が友達になる!!...どう???」
「どうって...奏也???お前と友達になるなんて、せいぜい俺ぐらいだと思うぞ???」
「はぁ????それどういう意味だよ!!七緒...もしかして嫉妬???....男の嫉妬は見苦しいぞ~~~!!!『馬鹿か、お前は!!!...お前みたいに、甘い物の事で脳みそいっぱいのやつなんて、誰も友達になってくれないって事だよ!!!!』...あれ???でもさ、七緒は友達じゃん...???それはなんで???」
奏也の脳天気なお誘いに、七緒は慌てた様子で奏也の提案を止めた。
そんな七緒の様子に奏也は、首をかしげて、いつも自分の事を散々振り回している七緒を、少しからかってやりたくなり、冗談を言った。
こんな奏也に七緒は、少し考えた後、顔を太陽のように真っ赤にして小さくこう言った。
「...だから...それは....俺は特別って事...あーーーー!!!!!もういいだろ!!!!(照)...照れるからやめてくれ!!」
いつもはクールな感じの七緒が、赤面して動揺を隠せていない姿が、あまりにも新鮮すぎたため、奏也は目を点にして一言
「えっ...まじもの...七緒って....男の娘???わぁーーーーお!...じゃあ、次の飲み会では七緒が女装担当ね!!!」
「お前...あとでぶっ殺してやるから覚悟してろよ???...1ヶ月間甘いものが食べられなくなるようにしてやるからな。」
七緒と奏也の会話を聞いていた吉波が、ぶっと吹き出しながら、少し照れたような声色で奏也に対してこう言った。
「...君と友達になったら、さぞ世界が180度違って見えるんだろうね。...興味深いな。...その...もし良かったら俺と...友達になってくれないだろうか...あっ。勿論、君さえ良ければ何だが...。」
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