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第7章「紫翠との熾烈な戦い。」
「マフィアの鉄の掟。」
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そうして、レミが全てを白状していた時...広場には電気が戻り、耳を塞いでいた市民達は、耳から手を離した瞬間...レミの企みを聞いてしまい、途端に恐怖に引きつった顔をすると、四方八発に逃げ出したのだった...。
俺達は、暫く幕の後ろで市民がこの広間からいなくなるのを待っていた。
そんな時...地面に伸びていた俺の部下がムクっと起き上がると、服をパタパタと叩き、俺の方をじっと見つめ、何事も無かったかのような顔でこう言った。
「あの...自分は何を???...すみません...ずっと起きてたんですけど、起き上がるタイミングを見失ってしまって......。」
なんという...優秀な部下にもお茶目なところが...!!!
可愛さMAXじゃないか!!
って、ダメだダメだ。
何をアメリカまで来て、部下に萌え萌えキュン!ってならないとダメなんだよ。...ったく、俺には雅がいるって言うのに。
俺は、周りの人に思考を探られないよう、咳払いをひとつすると、目の前の部下にこう言った。
「あぁ、ご苦労だったな。...流石は、俺達組織の部下だ。レミを騙してくれて助かったよ。お前には、特別報酬を与えてやるから、何がいいか考えておけ。それからレミは...米警がある程度拷問して...最終的にはラットにでも使ってくれるだろうよ??...ご苦労だったな。もう、戻ってもいいぞ。」
俺のこの言葉に、ニッコリとほほ笑みを浮かべた部下は、嬉しそうに一礼するとその場から去っていった。
そんなことをしている合間に、客はみんないなくなったようで、俺達はステージの表に出ることにした。
表に出ると会場はガラッとしていて、所々ゴミが落ちており、市民が逃げ惑った後が見て取れた。
俺は、プルプルと顔を振るうと、隣に立っている米警にこう告げた。
「...レミを、裁いてやってくれ。あっ、でも、ある程度痛ぶったら、ラットにしてやってくれよ??折角なら、市民の役にたってからあの世へ行くのがベストだろうし??という事で...よろしく頼んだ。報酬は...特別だ、1000万ドル出す。」
「...っ、本当ですか!??ありがたきお言葉!!...それでは我々はこれで失礼致します!」
俺の報酬の話に、にんまりと微笑んだ金の亡者...米警は、俺に軽く頭を下げるとレミを連れて、俺の前から去っていった。
「...さぁて、紫翠???早速だが...今回のことを、コンシリエールに報告に行こうか??」
俺は、米警を見送ると...隣に佇むバイオレットにこう声をかけ、コンシリエールのいる収穫祭の一角に足を向けるのだった。
俺とバイオレットは、コンシリエールのいる広間に着くと...部下を数人構えたコンシリエールの元に近寄って行った。
「...コンシリエール。...バイオレットを連れて参りました。」
俺は目の前のコンシリエールに、内心ビクビクしながら、冷静な振る舞いでこう声をかけた。
声をかけたあと、俺の横に佇むバイオレットを横目に見ると、目の前のコンシリエールに対して紫翠は、目をカッと見開き、勢いよく頭を下げていた。
「...コンシリエール。...バイオレットを改め...紫翠と申します。...お久しぶりにお目にかかります...。お元気そうで何よりでございます。」
紫翠のこの言葉にコンシリエールは、何を考えているのか分からない顔で、目の前の紫翠にこう話し出した。
「...あぁ、そんな堅苦しい挨拶より......おい、紫翠??...お前にちっと聞きたいことがあるんじゃが???......まず、今回のことは...災難じゃった。だが、よくぞ、乗り切ってくれた。それは褒めてやる。...だが、今回話しをしたかったのはこのことでは無い。...それよりも...お前、日本の企業に自らの名を使って、自身の息子を捜していたそうじゃないか???...えぇ???...お前...マフィアの規則は知ってるじゃろ???...実の名を世間に晒すとは...何たる命知らずの馬鹿なんじゃっ!!!...お前は、自分だけじゃなく仲間の命までもを、危険に晒すのか!!!...この阿呆。...お前は、組織の掟を破ったんじゃ。組織の掟を破ったやつはな......抹消される運命にあることをお前は知っているのじゃろう???なぁ、どうなんじゃ紫翠...答えるんじゃ。」
目の前のコンシリエールは、優しい表情をしているが、言葉には抑えきれていない怒りが溢れていた。
そんなコンシリエールに、頭をじっと下げている紫翠は、体勢はそのままに、こう言葉を返したのだった。
「確かに...知っていました...。...掟を破っていることは...。」
「...理由は言わんのか???...何故...実の息子を捜し回っていたのか...その理由は...言わんでいいんか??」
コンシリエールのこの言葉に、紫翠は一瞬肩を揺らしたが、それ以上何も言わずに、ただ押し黙っているだけだった。
そんな紫翠にコンシリエールは、ただ一言こう告げると、部下を連れて去っていった。
「...紫翠......ご苦労じゃったな。」
「っ...。...コンシリエール......。」
「...。」
コンシリエールが、実の名前で相手への労いの言葉をかける時......そしてこの一言は......紫翠の今の地位であるボスからの解雇...及び、レミと同じように、ラット(実験体)になることが確定したことを意味している。
だが、紫翠の判断は賢かった。
さっき、息子を捜し回っていたことに対して、もし口を開いていれば......コンシリエールの隣に控えている部下が、懐から拳銃を抜き、容赦なく紫翠の心臓を貫いていただろう。
マフィアの鉄の掟には...掟を破ったものは、いかなる理由があろうとも...それを墓場まで持っていくこと。
と言う、何よりも重い規則があるんだ...。
厳しいがこれが...今を生きるマフィアの実態なんだ。
だから紫翠は、息子に会いたかった本当の理由を、墓場まで持っていくことを決意し...自らのマフィア人生に、自ら終止符を打つことを選んだんだ...。
裏切り者だったし...最初は、コンシリエールと一緒に俺も奴を殺すつもりでいたが......紫翠の近くにいて分かった。
紫翠には、ボスになる素質があったんだって...。
誰にも負けない程の、度胸が...勇気があったんだって。
きっと、お前の名前はこれからも語り継がれていくだろうな...なぁ、バイオレット??
もし語り継がれなくても、その時は俺がお前の勇気を死ぬまで覚えておいてやるから、安心しろ。
俺は、コンシリエールの側近に拘束され、為す術なく連れていかれる紫翠の後ろ姿が見えなくなるまで、じっと目に焼き付けていたのだった。
俺達は、暫く幕の後ろで市民がこの広間からいなくなるのを待っていた。
そんな時...地面に伸びていた俺の部下がムクっと起き上がると、服をパタパタと叩き、俺の方をじっと見つめ、何事も無かったかのような顔でこう言った。
「あの...自分は何を???...すみません...ずっと起きてたんですけど、起き上がるタイミングを見失ってしまって......。」
なんという...優秀な部下にもお茶目なところが...!!!
可愛さMAXじゃないか!!
って、ダメだダメだ。
何をアメリカまで来て、部下に萌え萌えキュン!ってならないとダメなんだよ。...ったく、俺には雅がいるって言うのに。
俺は、周りの人に思考を探られないよう、咳払いをひとつすると、目の前の部下にこう言った。
「あぁ、ご苦労だったな。...流石は、俺達組織の部下だ。レミを騙してくれて助かったよ。お前には、特別報酬を与えてやるから、何がいいか考えておけ。それからレミは...米警がある程度拷問して...最終的にはラットにでも使ってくれるだろうよ??...ご苦労だったな。もう、戻ってもいいぞ。」
俺のこの言葉に、ニッコリとほほ笑みを浮かべた部下は、嬉しそうに一礼するとその場から去っていった。
そんなことをしている合間に、客はみんないなくなったようで、俺達はステージの表に出ることにした。
表に出ると会場はガラッとしていて、所々ゴミが落ちており、市民が逃げ惑った後が見て取れた。
俺は、プルプルと顔を振るうと、隣に立っている米警にこう告げた。
「...レミを、裁いてやってくれ。あっ、でも、ある程度痛ぶったら、ラットにしてやってくれよ??折角なら、市民の役にたってからあの世へ行くのがベストだろうし??という事で...よろしく頼んだ。報酬は...特別だ、1000万ドル出す。」
「...っ、本当ですか!??ありがたきお言葉!!...それでは我々はこれで失礼致します!」
俺の報酬の話に、にんまりと微笑んだ金の亡者...米警は、俺に軽く頭を下げるとレミを連れて、俺の前から去っていった。
「...さぁて、紫翠???早速だが...今回のことを、コンシリエールに報告に行こうか??」
俺は、米警を見送ると...隣に佇むバイオレットにこう声をかけ、コンシリエールのいる収穫祭の一角に足を向けるのだった。
俺とバイオレットは、コンシリエールのいる広間に着くと...部下を数人構えたコンシリエールの元に近寄って行った。
「...コンシリエール。...バイオレットを連れて参りました。」
俺は目の前のコンシリエールに、内心ビクビクしながら、冷静な振る舞いでこう声をかけた。
声をかけたあと、俺の横に佇むバイオレットを横目に見ると、目の前のコンシリエールに対して紫翠は、目をカッと見開き、勢いよく頭を下げていた。
「...コンシリエール。...バイオレットを改め...紫翠と申します。...お久しぶりにお目にかかります...。お元気そうで何よりでございます。」
紫翠のこの言葉にコンシリエールは、何を考えているのか分からない顔で、目の前の紫翠にこう話し出した。
「...あぁ、そんな堅苦しい挨拶より......おい、紫翠??...お前にちっと聞きたいことがあるんじゃが???......まず、今回のことは...災難じゃった。だが、よくぞ、乗り切ってくれた。それは褒めてやる。...だが、今回話しをしたかったのはこのことでは無い。...それよりも...お前、日本の企業に自らの名を使って、自身の息子を捜していたそうじゃないか???...えぇ???...お前...マフィアの規則は知ってるじゃろ???...実の名を世間に晒すとは...何たる命知らずの馬鹿なんじゃっ!!!...お前は、自分だけじゃなく仲間の命までもを、危険に晒すのか!!!...この阿呆。...お前は、組織の掟を破ったんじゃ。組織の掟を破ったやつはな......抹消される運命にあることをお前は知っているのじゃろう???なぁ、どうなんじゃ紫翠...答えるんじゃ。」
目の前のコンシリエールは、優しい表情をしているが、言葉には抑えきれていない怒りが溢れていた。
そんなコンシリエールに、頭をじっと下げている紫翠は、体勢はそのままに、こう言葉を返したのだった。
「確かに...知っていました...。...掟を破っていることは...。」
「...理由は言わんのか???...何故...実の息子を捜し回っていたのか...その理由は...言わんでいいんか??」
コンシリエールのこの言葉に、紫翠は一瞬肩を揺らしたが、それ以上何も言わずに、ただ押し黙っているだけだった。
そんな紫翠にコンシリエールは、ただ一言こう告げると、部下を連れて去っていった。
「...紫翠......ご苦労じゃったな。」
「っ...。...コンシリエール......。」
「...。」
コンシリエールが、実の名前で相手への労いの言葉をかける時......そしてこの一言は......紫翠の今の地位であるボスからの解雇...及び、レミと同じように、ラット(実験体)になることが確定したことを意味している。
だが、紫翠の判断は賢かった。
さっき、息子を捜し回っていたことに対して、もし口を開いていれば......コンシリエールの隣に控えている部下が、懐から拳銃を抜き、容赦なく紫翠の心臓を貫いていただろう。
マフィアの鉄の掟には...掟を破ったものは、いかなる理由があろうとも...それを墓場まで持っていくこと。
と言う、何よりも重い規則があるんだ...。
厳しいがこれが...今を生きるマフィアの実態なんだ。
だから紫翠は、息子に会いたかった本当の理由を、墓場まで持っていくことを決意し...自らのマフィア人生に、自ら終止符を打つことを選んだんだ...。
裏切り者だったし...最初は、コンシリエールと一緒に俺も奴を殺すつもりでいたが......紫翠の近くにいて分かった。
紫翠には、ボスになる素質があったんだって...。
誰にも負けない程の、度胸が...勇気があったんだって。
きっと、お前の名前はこれからも語り継がれていくだろうな...なぁ、バイオレット??
もし語り継がれなくても、その時は俺がお前の勇気を死ぬまで覚えておいてやるから、安心しろ。
俺は、コンシリエールの側近に拘束され、為す術なく連れていかれる紫翠の後ろ姿が見えなくなるまで、じっと目に焼き付けていたのだった。
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