74 / 102
第7章「紫翠との熾烈な戦い。」
「父親<俺。」
しおりを挟む
「...そんな......山...座頭さん......俺の事を慰めたから...親父に殺されたの???...山座頭さんは......それを知ってて俺を慰めたの???...ねぇ、山座頭さんなんで!!!...自分が死ぬことになるのに...なんで俺と一緒にいたんだよ!!!!...ねぇ、山座頭さん起きてよ!!!...死ぬなんて俺が許さない!!!山座頭さん...ねぇ、山座頭さん!!!!」
俺の呼びかけに、近くに立っていた憎い......憎くて仕方がない...オヤジが...冷めた声でこう言ってきた。
「お前が悪いんだろう。......俺の息子なら、人が死ぬことぐらいでグチグチ言うな。泣くな...目障りだ。それとお前、俺の事を...山座頭に愚痴るなんて、俺の顔に泥を塗りたいのか???......これは、お前が全て招いた結果だ。後悔するなら、同じ過ちを二度と繰り返さないように、せいぜい努力しろ。...以上だ。...お前もさっさと部屋に戻れ。」
こう言って、大きな部屋から出ていこうとしたオヤジに俺は、初めて楯を突いたんだ。
「...待てよ。山座頭さんに......俺が相談してたんなら...俺を殺せよ!!!!俺を殺すのが筋だろ!!...なんで、なんの罪もない山座頭さんを殺したんだよ!!!!!...おい、聞いてんのかよ!クソ親父がよ!!!!...俺が招いた結果だぁ????...てめぇが殺さなけりゃ、済んだことだろうがよ!!!クソ親父...人殺し!!!お前がマフィアだったから、俺は夢を追いかけることが素直にできないんだろ!!!...お前がマフィアだったから、俺が普通の家族みたく生活できないんだろ!!!!お前が...お前が!!!!!!『ふみ坊っちゃん!!!...いい加減に!!!バチンッ。』...っ!!!」
俺はオヤジの部下に頬を平手打ちされ、親父に吐いていた暴言をとめた。
俺が赤くなった頬を抑えながら、殴ってきた張本人である男をじっと睨みつけると......そいつも悲しそうな表情をしていた。
今にも、泣きそうな顔でぐっと歯を食いしばり、俺にしかわからない程度に首を左右に振ると、何も言わない俺をじっと見つめてきた。
そしてそのまま、俺の事を振り返ることも無く、サッと部屋を出ていったオヤジのあとを、静かな足取りで追いかけて行ったのだった。
部下の顔を見て思ったが......きっとその時、あの場にいた親父以外のみんなが、山座頭さんの死を...泣きたいほどに、思っていたんだろう。
さっき俺の頬を殴った男も...親父に文句のひとつぐらい言ってやりたいって...あの状況をおかしいと思っていたに違いない。
でも、マフィアのボスの部下だから......泣きたくても...苦しくても......どれだけ、あの状況をおかしいと思っていたとしても...あれが普通だと思わなければならない...。
その時、俺は思ったよ。
オヤジみたいなマフィアのボスを、俺の時代で変えようって...。
ボスも部下も関係なく...微笑みあえる...助け合えるような...そんな組織を作ろうって。
それが.........温かな人の優しさを教えてくれた山座頭さんに出来る......唯一の恩返しだと思うから。
俺は、あの日から必死に勉強もギターもマフィアの事だって。
どんなに辛くても...どんなに泣きたくても......山座頭さんの死を思えば...頑張れた。
なにも独りで頑張っていた......訳じゃない。
雅のおかげ...雅こそが俺に力をくれていたんだ。
山座頭さんが亡くなってから、一週間が経ったある日、俺は山座頭さんが褒めてくれたギターの練習を、いつもの公園で頑張っていた。
そんな俺の元にやってきたのが、滑り台の上から俺のことをじっと観察していた雅だった。
最近毎日だ。
雅は、滑り台から降りてくると決まって俺の横に腰をかけ、俺がギターを弾くのをじっと見つめるのだった。
俺は......いつも通りに暫く無言でギターを弾いていた。
普段なら、俺の演奏に飽き飽きして勝手にどこかにいなくなるのだが。
その日は、いくら時間が経っても雅は、一向に帰ろうとしなかった。
だから俺は、そんな雅に痺れを切らして気付いた時には、こう声をかけていた。
「ねぇ、君...いつまで俺の下手なギター聴いているわけ???」
そんな俺の声に雅は、首を傾げながらニコニコ微笑んでいた。
「うーんとね、今日のお兄ちゃんのギター...なんでか、とても悲しい音色がするの。お兄ちゃんのギター......誰かに強く訴えかけているように聴こえるの。...ねぇ、お兄ちゃん...何かあったの???」
「...っ。」
くそっ...なんでこんな小さい子に俺の心情がバレているんだ。
確かに俺は、ギターを弾くことで父親に対する怒り...山座頭さんを失った心の穴......いろんな感情を整理しようとしていた。
だが...それを、俺よりも5歳は年下の男の子に見透かされるなんて...思ってもみなかった。
正直...無性に腹が立った。
だから俺は、まだ純粋無垢だった雅に...心にも無いことを言ってしまったんだ。
「へぇ...俺の心の声...聞いてくれるの??嬉しいなぁ。...じゃあさ、俺といい事しよっか。」
「...???」
この時の俺は...いつも夢で見る奴らみたいに、殺してやりたいほどのクソ人間となんら変わらないと思った。
何も知らない雅に......こんなこと頼むなんて...ほんと情けねぇの。
雅は、俺の顔を見ると首をかしげながら...小さくこくりと頷きこう返してきた。
「お兄ちゃん悲しいの???...いいよ。...ボクがお兄ちゃんを慰めてあげる!!...お兄ちゃん...泣きそうな顔してるもん!!...ねぇ、お兄ちゃん...名前は???」
「俺の名前...??名前はね......俺の事を慰めてくれたら、教えてあげるよ。(笑)」
「えー、いま教えてくれないの???むぅ...分かった。ボク...お兄ちゃんのギター下手だけど、大好きだから......だから、お兄ちゃんのこと沢山知りたい!!...ボク、お兄ちゃんのこと一生懸命慰めるよ!!」
何も知らない雅のこの言葉に俺は、不敵な笑みを浮かべ...雅を公園のトイレ近くにあった物置小屋に連れていったのだった。
俺の呼びかけに、近くに立っていた憎い......憎くて仕方がない...オヤジが...冷めた声でこう言ってきた。
「お前が悪いんだろう。......俺の息子なら、人が死ぬことぐらいでグチグチ言うな。泣くな...目障りだ。それとお前、俺の事を...山座頭に愚痴るなんて、俺の顔に泥を塗りたいのか???......これは、お前が全て招いた結果だ。後悔するなら、同じ過ちを二度と繰り返さないように、せいぜい努力しろ。...以上だ。...お前もさっさと部屋に戻れ。」
こう言って、大きな部屋から出ていこうとしたオヤジに俺は、初めて楯を突いたんだ。
「...待てよ。山座頭さんに......俺が相談してたんなら...俺を殺せよ!!!!俺を殺すのが筋だろ!!...なんで、なんの罪もない山座頭さんを殺したんだよ!!!!!...おい、聞いてんのかよ!クソ親父がよ!!!!...俺が招いた結果だぁ????...てめぇが殺さなけりゃ、済んだことだろうがよ!!!クソ親父...人殺し!!!お前がマフィアだったから、俺は夢を追いかけることが素直にできないんだろ!!!...お前がマフィアだったから、俺が普通の家族みたく生活できないんだろ!!!!お前が...お前が!!!!!!『ふみ坊っちゃん!!!...いい加減に!!!バチンッ。』...っ!!!」
俺はオヤジの部下に頬を平手打ちされ、親父に吐いていた暴言をとめた。
俺が赤くなった頬を抑えながら、殴ってきた張本人である男をじっと睨みつけると......そいつも悲しそうな表情をしていた。
今にも、泣きそうな顔でぐっと歯を食いしばり、俺にしかわからない程度に首を左右に振ると、何も言わない俺をじっと見つめてきた。
そしてそのまま、俺の事を振り返ることも無く、サッと部屋を出ていったオヤジのあとを、静かな足取りで追いかけて行ったのだった。
部下の顔を見て思ったが......きっとその時、あの場にいた親父以外のみんなが、山座頭さんの死を...泣きたいほどに、思っていたんだろう。
さっき俺の頬を殴った男も...親父に文句のひとつぐらい言ってやりたいって...あの状況をおかしいと思っていたに違いない。
でも、マフィアのボスの部下だから......泣きたくても...苦しくても......どれだけ、あの状況をおかしいと思っていたとしても...あれが普通だと思わなければならない...。
その時、俺は思ったよ。
オヤジみたいなマフィアのボスを、俺の時代で変えようって...。
ボスも部下も関係なく...微笑みあえる...助け合えるような...そんな組織を作ろうって。
それが.........温かな人の優しさを教えてくれた山座頭さんに出来る......唯一の恩返しだと思うから。
俺は、あの日から必死に勉強もギターもマフィアの事だって。
どんなに辛くても...どんなに泣きたくても......山座頭さんの死を思えば...頑張れた。
なにも独りで頑張っていた......訳じゃない。
雅のおかげ...雅こそが俺に力をくれていたんだ。
山座頭さんが亡くなってから、一週間が経ったある日、俺は山座頭さんが褒めてくれたギターの練習を、いつもの公園で頑張っていた。
そんな俺の元にやってきたのが、滑り台の上から俺のことをじっと観察していた雅だった。
最近毎日だ。
雅は、滑り台から降りてくると決まって俺の横に腰をかけ、俺がギターを弾くのをじっと見つめるのだった。
俺は......いつも通りに暫く無言でギターを弾いていた。
普段なら、俺の演奏に飽き飽きして勝手にどこかにいなくなるのだが。
その日は、いくら時間が経っても雅は、一向に帰ろうとしなかった。
だから俺は、そんな雅に痺れを切らして気付いた時には、こう声をかけていた。
「ねぇ、君...いつまで俺の下手なギター聴いているわけ???」
そんな俺の声に雅は、首を傾げながらニコニコ微笑んでいた。
「うーんとね、今日のお兄ちゃんのギター...なんでか、とても悲しい音色がするの。お兄ちゃんのギター......誰かに強く訴えかけているように聴こえるの。...ねぇ、お兄ちゃん...何かあったの???」
「...っ。」
くそっ...なんでこんな小さい子に俺の心情がバレているんだ。
確かに俺は、ギターを弾くことで父親に対する怒り...山座頭さんを失った心の穴......いろんな感情を整理しようとしていた。
だが...それを、俺よりも5歳は年下の男の子に見透かされるなんて...思ってもみなかった。
正直...無性に腹が立った。
だから俺は、まだ純粋無垢だった雅に...心にも無いことを言ってしまったんだ。
「へぇ...俺の心の声...聞いてくれるの??嬉しいなぁ。...じゃあさ、俺といい事しよっか。」
「...???」
この時の俺は...いつも夢で見る奴らみたいに、殺してやりたいほどのクソ人間となんら変わらないと思った。
何も知らない雅に......こんなこと頼むなんて...ほんと情けねぇの。
雅は、俺の顔を見ると首をかしげながら...小さくこくりと頷きこう返してきた。
「お兄ちゃん悲しいの???...いいよ。...ボクがお兄ちゃんを慰めてあげる!!...お兄ちゃん...泣きそうな顔してるもん!!...ねぇ、お兄ちゃん...名前は???」
「俺の名前...??名前はね......俺の事を慰めてくれたら、教えてあげるよ。(笑)」
「えー、いま教えてくれないの???むぅ...分かった。ボク...お兄ちゃんのギター下手だけど、大好きだから......だから、お兄ちゃんのこと沢山知りたい!!...ボク、お兄ちゃんのこと一生懸命慰めるよ!!」
何も知らない雅のこの言葉に俺は、不敵な笑みを浮かべ...雅を公園のトイレ近くにあった物置小屋に連れていったのだった。
0
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる