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第8章 「俺達の...スタートライン。」
「...金で買った地位。」
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「...みんな!!!大変だ!!!!」
「...えっ...そんなに急いでどうしたの???...というより、ここのサークル棟ボロだから、そんなに勢いよく扉開いたら、ドアが取れるよ???...備品は大切にね???」
血相をかえて、俺たちの練習部屋に入ってきたのは、ある一枚の封筒を抱えた翔真だった。
翔真は、優の適切な注意を軽く受け流すと、額の汗もそのままに、自らの持ってきた白い封筒を、みんなの集まるソファ近くの机の上で、開けだしたのだった。
「...翔真さん???...それなんですか???」
「翔真...???...一体どうしたよ??」
俺と七緒の問いかけに、封筒を慎重に開いた翔真は、中から一枚の手紙を取り出すと、俺たちに向けてその紙を見せつけてきた。
おーい、嘘だろ...。
マジか...マジなのか...!!!
これはヤバいだろ!!!
俺が、翔真の見せてくれた紙の内容を理解したのと同時に、チョコレートをかじりながら、翔真が示した書類の内容に目を通し、思わず嬉しさが抑えきれなくなった奏也は、次の瞬間、俺の心の声をまるまる代弁してくれたのだった。
「...嘘でしょ!???...俺たち...第一審査突破だって!!!!...なになに......月並みの皆様へ...この度は、ウィンター・ソニック・オーディションへのご参加、ありがとうございます。...先日行われた一次試験の結果をお知らせ致します。......月並みの皆様は、厳正な審査により...無事に一次審査を突破したことをここに証明致します。......二次審査につきましては、同封してある別紙の紙をご覧下さい。......二次審査でも、華のある演奏...楽しみにしております。......だってさ!!!!!わきゃーーーーー!!!!...やばすぎヤバたん...やばばばいあいあいだよ!!!!!」
最後の言葉は......1ミリも思っていないから。
あくまで、奏也の言葉であって、俺の言葉じゃないし......。
とにかく...俺達は、無事に一次審査を突破することが出来たんだ。
そうしてまた、暫く時が経ち、気がつけば第2次審査の日当日になっていた。
俺は、目の前で難しい顔をしている奏也をほったらかして、朝早くから練習部屋に集まる『月並み』のメンバーにこう声をかけた。
「みんなおはよう!!!...俺達は、今日...ウィン・ソニの二次審査を受けに行く訳だが、前回同様に頑張れば...きっと今回もいける!!!...なぁ???...だから、気合い入れていくぞ!!!!...特に、奏也???...その仏頂面(ぶっちょうづら)は、審査までに何とかしておけよ????」
俺のこの言葉に、はっと目を覚ました奏也は、俺の顔を見つめると...慌てた様子で、コクコクと頷き返してくるのだった。
不覚にも可愛いと思ったことは...内緒だけどな。
そんなこんなで、前回同様に電車に乗り込むと俺達は、戦場の舞台であるウィンター・ソニックの事務所へと足を進めるのだった...。
「いや......前回来た時よりも、広々としてるね。」
「そりゃ当たり前だよ、前回の審査でふるいにかけられたのは、1万2千人で...そのうち生き残ったのは、たったの100人なんだから。」
「えっ...嘘!???...倍率としては...100人の10倍が、1000人だから...『うん、120倍だね...。』...うぎゃーーーー!!!!!...やばいヤバたんうさたんだよ!!!!!」
おーい、奏也...お前の造語は、なんかいつも変だぞ...。
うん...決して、こういう話がしたい訳ではなくて...そう。
俺達は、120倍という倍率を勝ち残って二次審査に来ているんだ。
当然、生半可な気持ちでは......。
内心、こんなことを考えていた俺の目には......写してはいけないものが、写りこんでしまった。
「...あっ、虎雅くんだ~!!!...なぁに、二次審査にまさか通ったとか???...はははっ、まぐれもあるもんだね~。まあ、せいぜい...ここまで来れたことを喜びながら、オーディションに望んだ方がいいよぉ????...じゃあな。」
...くそっ...アイツらは、楽器なんてとても弾ける奴らじゃなかったはず...。
なのに、なんで120倍という超高倍率を勝ち残ってこられたんだ????
俺は頭の中で、疑問をグルグルさせながら、この間みたいに...翔真に自分の心配をさせまいと、満面の笑みで仲間にこう呼び掛けたのだった。
「さぁ、気を取り直して......いざいかん、戦場の世界へ!!!」
「アイアイサー!!!...ヨーソロー!!!!!」
いつしかこれが、俺達の勇気の掛け声となっていた。
大丈夫...だよね???
なんて言ったって、二次審査は、一次審査みたいに...飾らずにオリジナルの曲を演奏すればいいんだもんね...???...きっと...いけるよね。
こう考える俺の手のひらは、無意識のうちに小刻みに震え、それはまるで俺の心を表しているかのように、悔しいが、なかなか止まることはなかった。
「...えっ...そんなに急いでどうしたの???...というより、ここのサークル棟ボロだから、そんなに勢いよく扉開いたら、ドアが取れるよ???...備品は大切にね???」
血相をかえて、俺たちの練習部屋に入ってきたのは、ある一枚の封筒を抱えた翔真だった。
翔真は、優の適切な注意を軽く受け流すと、額の汗もそのままに、自らの持ってきた白い封筒を、みんなの集まるソファ近くの机の上で、開けだしたのだった。
「...翔真さん???...それなんですか???」
「翔真...???...一体どうしたよ??」
俺と七緒の問いかけに、封筒を慎重に開いた翔真は、中から一枚の手紙を取り出すと、俺たちに向けてその紙を見せつけてきた。
おーい、嘘だろ...。
マジか...マジなのか...!!!
これはヤバいだろ!!!
俺が、翔真の見せてくれた紙の内容を理解したのと同時に、チョコレートをかじりながら、翔真が示した書類の内容に目を通し、思わず嬉しさが抑えきれなくなった奏也は、次の瞬間、俺の心の声をまるまる代弁してくれたのだった。
「...嘘でしょ!???...俺たち...第一審査突破だって!!!!...なになに......月並みの皆様へ...この度は、ウィンター・ソニック・オーディションへのご参加、ありがとうございます。...先日行われた一次試験の結果をお知らせ致します。......月並みの皆様は、厳正な審査により...無事に一次審査を突破したことをここに証明致します。......二次審査につきましては、同封してある別紙の紙をご覧下さい。......二次審査でも、華のある演奏...楽しみにしております。......だってさ!!!!!わきゃーーーーー!!!!...やばすぎヤバたん...やばばばいあいあいだよ!!!!!」
最後の言葉は......1ミリも思っていないから。
あくまで、奏也の言葉であって、俺の言葉じゃないし......。
とにかく...俺達は、無事に一次審査を突破することが出来たんだ。
そうしてまた、暫く時が経ち、気がつけば第2次審査の日当日になっていた。
俺は、目の前で難しい顔をしている奏也をほったらかして、朝早くから練習部屋に集まる『月並み』のメンバーにこう声をかけた。
「みんなおはよう!!!...俺達は、今日...ウィン・ソニの二次審査を受けに行く訳だが、前回同様に頑張れば...きっと今回もいける!!!...なぁ???...だから、気合い入れていくぞ!!!!...特に、奏也???...その仏頂面(ぶっちょうづら)は、審査までに何とかしておけよ????」
俺のこの言葉に、はっと目を覚ました奏也は、俺の顔を見つめると...慌てた様子で、コクコクと頷き返してくるのだった。
不覚にも可愛いと思ったことは...内緒だけどな。
そんなこんなで、前回同様に電車に乗り込むと俺達は、戦場の舞台であるウィンター・ソニックの事務所へと足を進めるのだった...。
「いや......前回来た時よりも、広々としてるね。」
「そりゃ当たり前だよ、前回の審査でふるいにかけられたのは、1万2千人で...そのうち生き残ったのは、たったの100人なんだから。」
「えっ...嘘!???...倍率としては...100人の10倍が、1000人だから...『うん、120倍だね...。』...うぎゃーーーー!!!!!...やばいヤバたんうさたんだよ!!!!!」
おーい、奏也...お前の造語は、なんかいつも変だぞ...。
うん...決して、こういう話がしたい訳ではなくて...そう。
俺達は、120倍という倍率を勝ち残って二次審査に来ているんだ。
当然、生半可な気持ちでは......。
内心、こんなことを考えていた俺の目には......写してはいけないものが、写りこんでしまった。
「...あっ、虎雅くんだ~!!!...なぁに、二次審査にまさか通ったとか???...はははっ、まぐれもあるもんだね~。まあ、せいぜい...ここまで来れたことを喜びながら、オーディションに望んだ方がいいよぉ????...じゃあな。」
...くそっ...アイツらは、楽器なんてとても弾ける奴らじゃなかったはず...。
なのに、なんで120倍という超高倍率を勝ち残ってこられたんだ????
俺は頭の中で、疑問をグルグルさせながら、この間みたいに...翔真に自分の心配をさせまいと、満面の笑みで仲間にこう呼び掛けたのだった。
「さぁ、気を取り直して......いざいかん、戦場の世界へ!!!」
「アイアイサー!!!...ヨーソロー!!!!!」
いつしかこれが、俺達の勇気の掛け声となっていた。
大丈夫...だよね???
なんて言ったって、二次審査は、一次審査みたいに...飾らずにオリジナルの曲を演奏すればいいんだもんね...???...きっと...いけるよね。
こう考える俺の手のひらは、無意識のうちに小刻みに震え、それはまるで俺の心を表しているかのように、悔しいが、なかなか止まることはなかった。
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