ファンタジア！！

第10章 「俺たちの運命を変える。」

「心にもない言葉...。」

 「...虎雅さん？？？...その...お金を入れてもらっている身で、こんなこと言いにくいんですけど...。俺...しばらくアイドル活動できそうもないです。父親も母親も仕事が忙しくて...弟達の面倒を俺が見ないといけなくて...。その...本当にすみません！！！！」

 俺は、この時...マネージャーに脅されていた...。

 最近...優がアイドル活動を休むことが日に日に多くなっていた...。

 そのため、しびれを切らしたマネージャーが「優に対して一喝してくれ。」...もし俺が、ここで優に一喝を入れないと、マネージャーが俺たちのグループを潰すと言って脅してきていた...。

 俺は、仕方なく...優の心情をわざと考えないようにして、優に酷い言葉を投げかけたのだ。

 「優...お前、いい加減にしろよ！！！！！...皆が、どんな気持ちでアイドル活動していると思っているんだよ！！！！最近、日に日にお前はアイドル活動に参加しなくなっているし...それに、参加しないくせに、ちゃっかり俺らが一生懸命稼いだお金を、お前の家には入れているだろう？？？？...俺たちが、生活厳しくて空いた時間にバイトまで入れて、毎日くたくたになるまで働いて、ろくに眠りもせずに...それでもみんな文句一つ零さずに、お前が練習や収録に来られない分...俺たちが毎日必死で頑張っているんだ。そのことを知っていて、そんな事言えるのか？？？？...家のことが大変なのは分かる。でも、もう少し他のメンバーのことを考えたらどうなんだ！？？？？」

 大きな声で、優のことを怒鳴ったからか...周りで休憩していた翔真や奏也、七緒が慌てた様子で、口を挟んできた。

 「ちょっとちょっと！！！！！虎雅、落ち着いて！！！！みんなそれで了承して、これまでやってきていたんでしょ？？？？...今更、そんなこと言っても優は大変なんだから！！！！」

 「そうですよ、リーダー！！！優さんは、いつも俺たちの何倍も働いて...家のこともやっている。...そんな優さんに、これ以上多忙な日々を押しつけたら、倒れちゃいますよ？？？？」

 「いつもの心の広いリーダーじゃない！！！！...リーダー。甘い物が足りてないんだったら、俺の分けてあげるから！！！ほら、金平糖。」

 止めに入った三人の言葉を聞き終わった後...目の前の優は、酷く苦しい表情をした。

 そして俺に背を向け、冷たくこう言い放つと、そのままダンスの練習部屋を出ていった。

 「...虎雅さん。それと...翔真、七緒、奏也...。今まで散々、俺の家族のために時間を使わせてしまって、すみませんでした。俺は、もうこれ以上...このグループに迷惑は掛けられないです...。これからは、マネージャーと話し合いながら、辞めることも視野に入れて、アイドル活動をさせて頂きます。それと、もう今月から俺の所に、お金は振り込まなくて大丈夫なんで...。それでは、バイトがあるんで失礼します。」

 「いやっ、違っ...優、待っ...！！！ｶﾞｯﾁｬﾝ...。」

 『...。（汗）』

 俺は...最低な人間だ。

 何があっても、グループの仲間を守る...大切にすると、こう誓っていたにもかかわらず...俺は、結局...。

 優のことを傷つけてしまった...。

 はははっ、マネジャーに言われたからって......俺、リーダー失格だな...。（笑）