ファンタジア！！

第11章 「俺たちの世界...ファンタジア。」

「マネージャーに届け。...俺たちの気持ち。」

 俺たちは、マネージャーと向かい合わせで、ウィンター・ソニックの事務所にある、会議スペースで話し合いをしていた。

 そう、話し合いというのは....もちろん、優のことについてだ。

 「マネージャー....俺たちは、みんなで集まって何度も考えました。...優がこのグループを抜けたいと言ったときに、俺たちは優がいなくなったファンタジアを想像したんです。そうしたら、優のいない俺らのユニットって.....どこにも存在しなくて...。その時に思ったんです。俺たちは、優がいないとやっていけないと....。もし、優のいない世界に俺たちが放り出されたとしたら、それこそ俺たちは耐えきれないと...。」

 「はぁ、だから何が言いたいの？？？？.....練習にも収録にもろくに顔を出さない人を、いつまでも事務所に置いておく訳にはいかないのよ？？...わかる？？？あなたたちは、アイドルなの！！つまりは、お客さんを...ファンの人を相手に商売をしているのよ！！！！それに、あなたたちの仕事によって明日暮らしていけるのかが、決まる人は数え切れないほどいる。その自覚をもっていない子を、これからも置けなんて生意気なこというもんじゃないわ？？？」

 俺は目の前の厳しい表情をしたマネージャーに対して、賭けに出ることにした。

 「マネージャー....俺たちは、もともとバンドをやっていたんです。だから...これからは......バンド活動をしながら、アイドルとしてやっていきたいです。...こればかりは、いつもお世話になっているマネージャーにさえ、譲ることが出来ません。」

 俺のこの言葉に、マネージャーは暫くうなった後、真剣な表情でマネージャーの出方を伺っていた俺たちに、ある条件を突きつけてきた。

 「....はぁ、貴方達の決意は、よく分かったわよ...。その条件引き受けましょう？？？でもね、あなた達だけに有利な条件は、私に何の得もないの。だから、私からも条件を出させてもらうとするわ？？？....もしも、アイドルとバンドの両立及び...そのそれぞれで成果がでなければ、問答無用でこの業界から出て行ってもらう...。これで...どうかしら？？？？」

 マネージャーのにんまりした嫌な表情に俺は、周りに座っている仲間の顔を見回したが、誰もマネージャーの提案を断ろうという者はおらず....俺たちは、一世一代を賭けた最後の大賭けに挑戦することとなった。

 俺たちならきっと...大丈夫だ。

 なんていったって、俺たちは....最強のグループ...ファンタジアであり...月並みなのだから。

 俺は、これからの起こる結果が全く予想出来ず、こう自身の心に強く呼びかけ、自らの不安をわざと隠すようにしたのだった。