女装男子の俺と...変態カメラマン?

日向 ずい

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第8号 「RANRAと琉架。」

RANRAと宮口。

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 琉架を部屋まで運んだ宮口は、撮影をしているRANRAの元に、急いで向かっていた。
 RANRAは、カメラの前でひときわ目を引く、満面の笑みでバッチリポーズを決めていた。
 撮影が終わり...RANRAは、カメラマンににっこりと微笑むと一言
「...ありがとうございました!!今回も、出来の良い写真...ありがとうございます!(笑)」
と言って、宮口の待つ椅子の置いてある待合場所に、やってきた。
 「...お疲れ様でございました。...すみません...撮影が始まる前に、ここに来ることが出来なくて...。ちょっと、所用が長引いてしまって...。(汗)」
「...そんなこと...どうだっていいのよ...。ちょっと、貴方に話があるから...控え室に来てちょうだい。」
こう言ったRANRAの表情は、険しく...目は、笑ってはいなかった。
 その様子に、ただ事ではないと思った宮口は、RANRAの声にただ一言
「...はい。承知致しました。」
とだけ言い、RANRAの持っている荷物を抱えてエレベーターを呼びに行った。
 そんな宮口は、RANRAをエレベーターに乗せると、自らは階段を使い、RANRAの控え室へと急ぐのであった。
 控え室に着くと...椅子に腕を組んで座っている、RANRAの姿が目に入った。
 宮口は、バクバクと鳴り響く心臓を必死に落ち着かせて、RANRAに話しかけた。
「...RANRAさん...。遅くなり、申し訳ございませんでした...。その...お話というのは...。」
「...まぁ、とにかく座ったら...??今の私は...とても気が立ってるのよね...。...私...分かってるのよ...??貴方が、倉庫の鍵を開けに行くために、私の撮影に遅れてきたってこと...。...何がしたいのかしら??私に...恥をかかせたいのかしら???(怒)」
 こう言ったRANRAの目は、鋭く宮口を睨みつけていた。
 宮口は、ただ目の前にいるRANRAを、何も言わずにじっと見つめていた。
 そんな宮口に、怒りを露わにして、RANRAは、目の前にあった雑誌を床にはたき落とした。
「...ちょっと!!!宮口!???何か言いなさいよ!!!(怒)貴方が、姫崎るかを助けたこと...知ってるのよ???ここにあった鍵を使って、倉庫を開けに行ったのよね...???(怒)」
「...。」
「はぁ...、なんで何も言わないのよ!!!いい加減にしてちょうだい!!!!(怒)」
 こう言うとRANRAは、椅子を立ち上がり宮口に近づくと、宮口の頬を思い切り平手打ちした。
「この...役たたずめ!!!!お前なんて...今日限りで、私のマネージャーをクビだ!!!!(怒)二度と...私にその恥さらしな顔を見せないでちょうだい!!!!(怒)」
 こう言うと、RANRAは近くにおいてあった花瓶の水を、宮口の頭上から勢いよくかけた。
 びしょびしょになった宮口は、ただ顔を伏せたままで、目の前のRANRAのことは、一回も見ることはなかった。
 そんな宮口に、痺れを切らし、手に持った花瓶を床に叩きつけ盛大に割ると、RANRAは、そのまま控え室を出ていった。
 RANRAが出ていったあと、ゆっくりと床に落ちた花瓶の欠片を、拾い始めた宮口は何も言わずに、ニコッとひとり微笑みを浮かべていた。
「...RANRAさん。貴方が、ストレスを溜めている時は、俺がそのストレスを全て受け止めます。それが...モデルに仕えるマネージャーの役目であり、辛い過去を持ったRANRAさんのためでもありますから。(笑)」
こう言うと、無言で荒れた控え室の片付けをし始める宮口なのであった。
 外に出たRANRAは、ひとり溜息をついていた。
「...分かってる...分かってるのよ...。(汗)宮口は、私のことを庇おうとしてくれてる...必死で守ろうとしてくれているって。(泣)分かっているんだけど、その優しさに甘えてしまうから...私は、ダメになっている気がするの...。(泣)本当は...宮口に当たることで、いけない自分を正当化しようとしていることも...分かっているのよ。はぁ...一体どうすれば、クロジカルでの私の人気を取り戻せるの...??ねぇ...誰か、私に教えてよ...。(泣)」
 RANRAは、自販機の置いてある休憩スペースの椅子に、力なく座り込むと、頭を抱え、拭いきれない心の痛みを耐えるように、項垂れるのであった。
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