ダメな私と吸血鬼

第8章 「人間界と魔界の繋がりについて」

さぁ、尻尾を掴んだぞ！

 エピーヌとラグルは、中央部にある屋敷の庭に来ていた。
「ねぇねぇ、ラグル？？誰が、魔界と人間界を行き来しているのかしら？？」
「ん？？さぁな、俺はこの屋敷のことなんざ、全く興味もなかったからな...。何にも、探りを入れていなかったせいで...悪いが分からない...。」
「あら、ラグルにしては珍しいのね...。普段は、どんな事もさっと答えてしまうのに...（笑）」
「はぁ！？？悪いかよ...分からないことがあったら...。」
「んふふ、そんなこと言ってないわ（笑）」
「だったら、笑うのやめろ...ったく！」
と言って言い合っていた二人をよそに屋敷のドアが開き...女の人が出てきた。
「ん？？あれ？？ヌーヴ姉様？？なんでこんな時間に？？？」
「普段は、この時間にお前の姉貴は、外に出ないのか？？」
と言って隣にいるエピーヌにラグルは、首をかしげながら聞いた。
「えぇ、いつも外に出る時は大概...馬車に乗るのよ...？？」
「ふーん、それで、お前も毎回馬車に乗っていたのか？？」
「...いいえ、私は外に出ることさえ許されていなかったの...。」
と言って悲しそうな顔をしたエピーヌにまずいと思い
「...あっ、すまない...。空気の読めない質問をして...。（汗）」
と言ってエピーヌを横目に様子を伺っていた。
 話し合っている二人には、気づかずヌーヴは、歩いてどこかに向かっているようだった。
 その様子にエピーヌは「...ねぇ？？ラグル？？私ひとりでヌーヴ姉様を追いかけてもいいかしら？？絶対に姉様が、犯人という訳では無いでしょ？？？」
と言ってラグルに交渉したエピーヌをラグルは
「...うーん、わかった...。でも、これを持っておけ...心配だ...。」
と言ってエピーヌに渡したのは、魔石で作られた指輪だった。
エピーヌは、それを受け取ると指につけ
「分かったわ！！何かあったら、ラグルに心で叫びかければいいのね！！それじゃあ、行ってくるわ！！ありがとう、ラグル！私を信用してくれて！！」
と言って走っていったエピーヌにラグルは
「...全く...活発な女の子だ事で...（笑）」
と言ってどこか嬉しそうな顔をしていた。
 そんな時、もう一度扉が開いて中から出てきたのは...一人の燕尾服を着た青年だった。その青年は、足早に人家のないところまで行くとさっと姿を消した。
「おっと...これは...俺と同じ...瞬間移動の魔法？？？...ということは、裏がありそうだな...。後を追うか...。」
と言ってラグルは、自らも瞬間移動の魔法をかけ、燕尾服の青年のあとをおった。