ダメな私と吸血鬼

第8章 「人間界と魔界の繋がりについて」

「Magical Stone!」へようこそ！！

 ニーソンとエピーヌは、ラグルに言われた通りに「Magical Stone!」で怪しい動きをする人を探していた。
 カランコロンッとお店の扉が開く音がして、数人の男女が入ってきた。
「...？？...いらっしゃいませ！！『Magical Stone!』へようこそ！！あなたにピッタリの魔石がきっと見つかりますよ！！！（笑）」
という商売文句をいってお客さんを迎え入れたエピーヌは、お客さんの表情を見て一瞬...不自然だと思ったが...すぐにいつもの営業スマイルに戻り、接客をしだした。
「どのような魔石をお探しかしら？？」
と言って、エピーヌは、一人の女性に声をかけた。
 するとその女性は、ゆっくりとエピーヌに顔を向けると気味の悪い笑みを浮かべて...
「...あなた...とてもいい魔石を...作っているのね...？？美しいわ...。」
と言ってエピーヌの頬に手を添えた。
エピーヌは、急な女性の対応に一瞬固まっていたが
「...ふふっ...ありがとうございます...。えっと、それで...どういった魔石を...きゃ！？？？」
と言ってニーソンから習った営業スマイルを女性に向けると、頬に添えられた手をゆっくり自分から離しながら要望を聞こうと質問し直した。
 質問をしている途中で、急に背後にいた男性に背後から抱きとめられ...途端にエピーヌは、叫び声をあげた。
 その声に慌てて店の奥から出てきたニーソンは、エピーヌの状況を見るとハッとした顔をして
「...エピーヌ！？？おい、お客さん...うちの大切な従業員に何してるんですか！？？（汗）」
と言って武器を構えた瞬間
「...私たちは...私たちには、彼女が必要だ...くれ...クレ...ｸﾚ...ソノ...ﾁｶﾗ...。」
と言ってニーソンを焦点の合わない目で見つめると、抑揚のない声で話し出した。
 そんな彼らがつけていたピアス...ネックレス...ブレスレット...全てに緑色の魔石が付けられていた...。それに気づいたニーソンは
「...えっ...緑色の...魔石...。ということは...ははっ！！別にこいつら殺す勢いで、力使っちまってもいいんだよな？？（笑）」
と言ってニヤッと笑うとポケットから紫に光る魔石を取り出し彼らにかざすと
「喰らえ！！...お前らが嫌いなのは...このまやかしの紫色の魔石だろう...？？残念だったな...。何年魔石とともに生きてきたと思っているんだ...！！（笑）」
と言って彼らに紫色の魔石をかざし、呪文を唱えると...エピーヌを捕まえていた彼らの手が緩み...苦しそうな顔をして店から出ていった。
エピーヌは、力なく地面に座り込むと
「...はぁ、怖かったわ...。（汗）」
と言って震えていた。
 そんなエピーヌに走って駆け寄るとニーソンは
「...大丈夫...そうだね...良かった。...怪我がなくて...。でも、明日からはお店...暫く定休日にするべきだね...。」
と言ってエピーヌを抱き抱えるとお店のバックヤードにある休憩室のソファに横たえた。
「...はぁ、とりあえず...お店閉めてくるからそこで寝て待っててね？？『そんな！！大丈夫よ！！私なら...ほら、一人で歩いて帰れるもの...。』......そんなにガタガタ震えているくせに...独りで返すわけには行かない...。さっきの奴らがこの近くをうろついている可能性もある...。心配なんだ......。だから今は、甘えていなよ...ね？？？」
と言ってエピーヌを悲しそうな顔で見つめて息を吐くと笑顔に戻り、表の方に出ていった。
 独りになったエピーヌは
「...ちょっと...過保護すぎじゃないのかしら...？？（汗）」
と言って苦笑いを浮かべていた。