ダメな私と吸血鬼

日向 ずい

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第9章 「黒幕は...。」

なんで...ここにいるの...?

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 ラグルがモーリア夫妻に発砲し、無防備なモーリア夫妻の命をとれるのは、時間の問題と思われていたが...
「ラグル??...久しぶりだな...。でも、命の恩人に手を上げるのは...紳士ではないな...。」
と言って銃を構えるラグルの前に現れたのは
「...えっ、フィリエにぃーさん...。なんで...。だって、あの時に家族もろとも...!」
と言い、目の前に現れた自分の兄に対して目を見開き動きを止めた。
「んふふ、さすが...フィリエね~。あなたは、ラグルちゃんよりもよ~ぽど優秀よ!(笑)」
と言ってフィリエを褒めたハイアは、ラグルに挑発的な目を向けた。
 ラグルは、理性を失いかけており
「...フィリエにぃーさんと俺は違う...。比べるな...。比べて欲しくない...俺がやったこと...全部手柄を横取りしたフィリエにぃーさんなんかと...そのせいで、俺がどれだけいじめられたか...比べられたか...!!(怒)」
と言って銃をしまうと背中から大剣を抜き、フィリエに襲いかかった。
 そんなラグルにフィリエは
「はははっ、これはすごい嫌われようだな...。そうだね、あの時は、ラグルが馬鹿で俺も楽できたよ。(笑)...でも、もうちょっと上手くやってくれた方が良かったかな??(笑)」
と言って、襲いかかってきたラグルを交わすとラグルの背後をとり、ラグルを背中からぎゅっと抱きしめると
「...ねぇ??ラグル??ついでにもうひとつ俺からカミングアウトしてあげる♡...あの事件のあと、実は...事件が起きる寸前にあの屋敷から出て、報酬貰ってたんだ。(笑)馬鹿なお前にもわかるように言うと...家族を殺したのは、この俺ってわけ。(笑)」
「っ!?...お前!!!!(怒)生きて返してやるものか!!!(怒)今ここで死ね!!!いや、俺がその首を斬って二度と顔を見なくて済むように、顔を斬り裂いてやる!!!(怒)」
と言って背後から自分を抱きしめるフィリエに足で蹴りを入れると、距離をとり、数秒も経たないうちにフィリエに再度襲いかかった。
「ははっ、やっぱりラグルは、単純馬鹿だね。(笑)」
と言って、ラグルの攻撃を華麗に交わすフィリエに構わず、斬り込み続けるラグル。
 その様子を見ていたニーソンとエピーヌは、焦っていた。
「ったく...。自分の身のことだけを考えろって言っていたラグルは...何処に行ったんだよ...。お前が一番己を見失ってるだろうが...!(怒)」
「ラグル...。だめ、ラグル。やっぱり...私は、ラグルとの約束を守れない!!(汗)」
と言ってエピーヌは、物陰から立ち上がりラグルの元に駆けていった。
「はっ!!待て、エピーヌ!!今出ていくな!!!(汗)」
 その瞬間ニーソンもエピーヌの腕をつかみ、動きを止めようとしたが...遅かった。
「はははっ、ラグルは...剣の腕も劣ったか??(笑)」
「っくそ!!...てめぇみたいなうわべだけの奴に負けるかよ!!!」
と言ってラグルは、フィリエに飛びかかろうと体勢をとった時
「ダメ!!!!ラグル!!!!」
と言ってラグルの腕をぎゅっと握ったエピーヌに気付き、ラグルは目を見開いて
「えっ!...エピーヌ??...お前、なんで勝手に出てきてるんだよ!!!(汗)しかも...こんなところで...『こんなところだからだよ!!!何勝手に、自分見失って当の目的と違うことに突っ走ってるのよ!!!私に忠告する前に、自分に忠告しなさいよね!!!!(怒)』...るせぇよ...。てめぇに何がわかるんだよ...。俺の過去も...無惨な過去を何一つ知らないくせに勝手なことばかり言うな!!!」
と言ってエピーヌの腕を振り払うとフィリエに斬りかかった。
「ねぇ...ラグル??そちらの可愛らしい女の子は??...まさか、君の彼女...とか??(笑)って、そんな訳ないよね...。こんなやつと付き合うとか、正気の沙汰じゃないと思うし。(笑)」
と言ってラグルの攻撃をまたもや華麗に交わすと、さっとエピーヌの後ろにまわり、ラグルに低い声で言った。
「ねぇ、ラグル...。このかわいい女の子の血を...俺も貰っていい??...どうやら、この子。普通の人間って訳でもないみたいだし??...きっと、血にも特別な力が...。(笑)『はっ!!...おい、フィリエ!!やめろ!!やめてくれ!!!エピーヌには、危害を加えるな...頼む!!(汗)』...ふーん、そんなにこのエピーヌちゃんって子が大切なんだね...。分かったよ...。そんなに大切なら......俺が、可愛がってやるよ!(笑)」
と言ってエピーヌの首元の髪をどけると、牙を突き立てた。
「っ!!...私は、どうなってもいいからラグルだけは...どうか、これ以上ラグルにひどい事言わないで...。人と比べられることの恐怖をあなたは分かっていない...。どれほど...残酷なのか...。っ!!!」
 エピーヌが必死にフィリエに頼んでいる姿を、呆然と見ていたラグルは
「...おい、フィリエ!!今すぐにエピーヌから手を離せ!!!さもなくば、お前を...お前を殴り殺す!!!(怒)」
と言って怒るラグルの目は、これまでとは比べ物にならないくらい鋭く...まるで、悪魔に取り憑かれたようだった。
 そんなラグルにはお構い無しで、フィリエはエピーヌの血を構わずに吸い続けていた。
「...っ...フィリエさん...。お願い...ラグルを...これ以上痛めつけないで...。『ん??...そんなにラグルが大切なの...??...そうだな...じゃあ、取引しようか??(笑)ラグルに罵声を浴びせたり、危害を加えたりしないし、これまでのことも全部謝るから...エピーヌちゃんを、俺にちょーだい??(笑)』...うっ...もしも、はぁ...私がその条件をのんだら...はぁ...はぁ...ラグルは、助けてもらえるのね...??」
と言ってフィリエはエピーヌに、甘い交渉を持ちかけた。
 そんな二人にラグルは焦った顔をいっそう険しくさせ、エピーヌを見つめていた。
「...エピーヌ...。やめろ!!そんな条件絶対のむな!!!...全てを差し出すということは...お前は、奴隷以下の扱いを一生受けるってことだ!!!!(汗)」
といったラグルをエピーヌは、意識が朦朧とする中...目に捉えると
「...それって、ラグルがモーリア夫妻に毎月毎月...血を供給しに来ていたって言うことと...同じこと??だったら...別に構わない...。だって、ラグルが平気な顔して私の前に現れていた時も、血を供給していたんでしょ??だったら耐えられる...私でも...耐え...る...ことが...できる...は...ず...。...フィリエ...さん??...条件を...のみます...。」
と言ったのを最後に、意識を手放したエピーヌにニヤッと気味の悪い笑みを浮かべたフィリエは、ラグルを見据えて
「はははっ、お前の近くにいるやつも...お前と同じぐらい馬鹿だな。(笑)」
と言って、エピーヌを床に落とすとフィリエは
「力がみなぎるって言うか...エピーヌちゃんの血って...魅力ありすぎ...。(笑)」
と言い、舌なめずりをすると呪文を唱えだし...突如として、巨大なカラスに変化した。
 その様子を目の当たりにしたラグルは、困った表情をしていた。
「くそっ、こうなったら俺が倒れても、こいつの首だけは取る!!(怒)」
と言って、床に倒れたエピーヌをじっと見つめ、固く決意するラグルなのであった。
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