アスモディアンズは、カオスな仲間たち。

日向 ずい

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第2章 「あれ??...ターゲットって一人のはずだけど...?」

「タダでとは...ね??」

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 「あのっ!!!!すみません!!!!!少しお時間いいですか!???」

 「......???...はい、なんでしょうか???」

 「...あの...あの......私たちと共に、あることに協力して欲しいんです!」

 「あること...ですか...??...いや、そういういかがわしい勧誘は、お断りしているので...。」

 ルグは、ルムに腕を引っ張られ...そのままの勢いで、歩いている女の人の目の前に、ボンッと身を投げられたのだった。

 ルムの突然の行動に、いつも冷静なルグは、声を上ずらせながら、目の前で訝しげな顔をしている女の人に、恐る恐る話しかけたのだった。

 ルグの言葉に女の人は、酷く冷たい声で答えると、その場を去ろうと足を動かした。

 そんな女の人に対して、ルグは、慌てた様子で

 「いや、待って!!!!!...その......俺たち本気で困っているんです!!!!」

 と言うと、女の人に足をとめさせようと、女の人の前に回り込むと、両手を地面と平行に伸ばし、行く手を阻んだ。

 そんなルグの行動に女の人は、先程の清純派な言動から一変して

 「...いや...こっちも、あんたらみたいな得体の知れない男どもに、安安と体売っとる時間ないんじゃ!!!」

 と声を荒らげ、ルグに酷く反抗を示した。

 ルグはいよいよ本格的に怒り出した女の人に、たまたま近くにいたルーを、強引に引っ張ると、怒る女の人の前に差し出し、慌てた口調でこう提案を持ちかけた。

 「......そっ...そうだ!!!!!じゃあ、ここにいる天使のように可愛い男の子を、一日あなたの好きなように使っていいですよ!!!」

 こんなルグの突然の発言に、ルーは

 「はぁ!????...ちょっと、なんで俺っ!???......ルグ...本気で怒るよ!!!!!こんなおばさんに好き勝手されるなんて、俺のプライドが許さない!!!」

 と言い、巻き添えをくらったことへの怒りを露にした。

 「...さっきから黙って聞いていれば......何よ!!!!...おばさん????はぁ!???誰のこと言っとんじゃボケ!!!!!お前よりは、若いわこんちきしょうが!!!!!」

 ルーの何気ない発言に女の人は、遂に堪忍袋の緒を切らせ、ものすごい形相で、ルグたちを見つめていた。

 『うわっ!!!!悪魔だ!!!!!』

 「お前ら...逃げろ!!!!!...捕まれば、喰われるぞ!!!(汗)」

 女の人の形相に、たまらなくなったルグ達は、大声で女の人のことを化物発言し、全速力で逃亡したのだった。

 そんなルグたちを当然のように女の人は
 
「だーれが悪魔や!!!!!...あっ!逃げた!!!こら、待て!!!!!!!」

 と言い、激しく逃げ惑う魔族一同を、派手に追いかけ始めるのだった...。

 「...それで......なんの用かしら????...美人で麗しい私に対して...お・ば・さ・んって言ったアンタ達の意見を、聞いてやろうじゃないの???えぇ????」

 「うっ.........このおばっ...ぐはっ!!!...おネイさん...ギャー!!!!...別にオカマって意味でいったんじゃないのに......。...お寧さん......強っ......なかなか...凄い...。」

 「...おい、しっかりしろ!!!!ルー!!!!...俺も......めっちゃ殴られたが...いや、制裁されたが...女の力とは思えないぐらい凄い...力だ...。」

 「なぁ、このネェちゃんなら...俺らの世界を救うことも容易だろうよ...。」

  目の前の怪力おばっ......お寧さんにこっぴどくしごかれた一同は、道の端に盛大に伸びると、途切れ途切れの言葉でお寧さんの事を、侮辱...じゃなかった...褒めたたえたのだった。

 そんなルグ達の様子にお寧さんは、またしても拳を振り上げるのだった。

 「ふーん、それで......要するにあなた達の国に行って、私は、国を滅ぼそうとしている魔王様に会って、世界を救わないといけないってこと???......はははっ、面白い冗談ねぇ。...ぜーったいやるわけないでしょ!!!そんな嘘八百物語なんて...!!!!!」

 「そこをなんとか...その...俺たち、もう時間がないんですよ!!!!」

 「...ねェちゃん、頼むよ。...俺たち...国守れなかったら、魔法使いに恨まれちまう...。」

 「そうだよ、おばっ...おねいさん!!!俺たちの国を救う為にも、一緒に協力して欲しいんだ。」

 女の人は、外の暑さに負け、仕方なく近くのカフェに行き、ルグたちの話を聞いていたが、聞いた内容が余りにも非現実的すぎたため、ルグたちに罵声の嵐を浴びせたのだった。

 そんなお寧さんにルグ達は、一生懸命に頭を下げた。

 その様子を見たお寧さんは、ニヤッと不敵な笑みを浮かべると......ルグたちの方を向き、次の瞬間とんでもないことを言い出したのだった。

 「ねぇ、タダで...協力するなんてことは...当然、お互いにとってフェアではないわよねぇ...???...という事で.........私からお願いがあるの~。聞いてもらえる???」

 「はい!!!!お寧さんが協力して下さるのなら、なんでも致しましょう!!!!」

 即答したルグのこの言葉に...お寧さんは、ニヤッと微笑みを深くすると...続けてこう言ったのだった。

 「...交渉成立ね!.....という訳だから、私のお願い聞いてね!!......最近、私......スランプなのよ......。...私のお得意の...ベーコンレタスが描けないのよ!!!!...だから、協力してくれると助かるのよ!!!やっぱり、想像の世界だけでは、限界があるのよね...。(悩)」

 淡々と説明を始めるお寧さんにルグは、首をかしげながら

 「......あの......ベーコンレタスってなんですか???」

 と率直な疑問を、口から漏らしたのだった。

 それを聞いたお寧さんは、首を傾げるルグにウーンと少し唸ると、なんの躊躇もなく解説を始めた。

 「ベーコンレタスはね......ボーイズ・ラブ......つまり、BLの事よ!!!!...はぁ、こ~んなに人がいるんだもの!!!いい作品が描けるわ!!!」

 お寧さんの発言に、理解の追いつかないルムは隣に座っていたルーに

 「......おぃ、BLってなんだよ...。」

 と小声で聞くと、ルーは

 「えっ、俺もわからないんだけど...。」

 と、可愛く首を傾げて見せた。

 そんな二人にルグは、頭を掻きながら、長々と説明を始めた。

 「はぁ......BLとは......人間界辞典の275ページに載っている......人間界特有の...恋愛観なんだそうだ。...普通、俺らの世界だと、子孫を残す為に男と女が番(つがう)だろ???......でも、それが...何らかの原因で...男と男...女と女...のような、かけあわせになっちゃうことがあるんだそうだ...。複雑だがな...。」

 「ねぇ...ルグ???それってさ......今の俺たちって、お寧さんからもの凄ーくまずいこと...頼まれてない???」

 ルグの説明に、焦った顔を向けた察しの良いルーは、恐る恐る言葉を発していた。

 そんなルーにルグは、一呼吸置くと...

 「ルー。......俺達は、BLに目覚める必要がありそうだ。...どうか、覚悟を決めてくれ。」

 と言い、ルーに勢いよく頭を下げた。

 ルーは、ルグの無茶に大きな声で拒否したのだが...

 「はぁ!????...いや...待って...。それだけはムリ!!!!...って、えっ!????他のみんなはOKしちゃえるの!???...うそっ!どういう感性してんのお前ら!!!!」

 完全拒否するルーの目の前には、ルグの後ろで覚悟を決めている仲間の姿があり、それを見た瞬間ルーは、全身を鳥肌が覆い、急いでその場から逃げ出したのだった。

 そんなルーを、ものの数秒で捕まえたルグ達に、暫く喚き散らしていたルーがいた事は、言うまでもない。

 「ほんとに...お前らどうかしてるよ!!!!!」
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